リコーは、温暖化による気候変動やプラスチックごみによる海洋汚染の社会問題の解決に貢献するために、植物由来のポリ乳酸(PLA)を活用した素材の技術開発に取り組んできた。これにより実現したしなやかで強い特徴を有する発泡PLAシートを「PLAiR(プレアー)」というブランドで、このほど市場開発を開始した。
植物由来の新素材「PLAiR」は、発泡倍率を変えることができるため、用途に応じて、緩衝・梱包材料から商品トレイまで幅広く対応することが可能。そのため、石油由来プラスチックの代替素材として早期の実用化が期待されている。リコーは、“安心して使える”があたりまえの未来に向けて、「PLAiR」のサンプル出荷を順次開始し、市場開発を進めていく考え。
市場開発を始めるにあたり、11月25日(水)から28日(土)まで開催される「エコプロOnline2020」(主催:日本経済新聞社、一般社団法人サステナブル経営推進機構・オンライン開催)の「海洋プラスチックごみ対策パビリオン」(協力:CLOMA)に新素材「PLAiR」を出展する。
植物からできた素材で、地球の未来を守りたい。
PLAは、トウモロコシやさとうきびなどに含まれるデンプンを原料とした植物由来のプラスチック素材。焼却しても大気中の二酸化炭素を増加させず(カーボンニュートラル)、また、土の中など一定の環境下で、水と二酸化炭素に分解する(コンポスタブル性)という環境にやさしい特性をもっている。また、PLA
製の製品はライフサイクル全体のCO
2排出量が他の樹脂製品に比べて削減されるという調査結果もある。
リコーは、環境保全活動と経営活動を同軸であると捉え、地球環境負荷の低減と再生可能能力を有する資源の活用を検討してきた。環境にやさしいPLAには早くから注目し、デジタル複合機の外装部材に使うなど取り組みを進めてきた。
しなやかで強く、しかも地球にやさしい。リコーの「CO2微細発泡技術」
このように環境にやさしいPLAだが、石油由来の樹脂と比べ、加工面において、従来の一般的な発泡方法ではPLAの特性上ほとんど発泡しないという課題があった。リコーは、これまでの研究開発で培ってきた技術と経験から、加工プロセスに超臨界CO
2を利用し、混練工程でPLA中にフィラー(発泡核剤)を均一に分散させ、そのフィラーを核に発泡させることで、数十ミクロン単位の均一な気泡を作成することに成功した。この独自の「CO
2微細発泡技術」により、しなやかで強い、環境にやさしい発泡PLAシート「PLAiR(プレアー)」が生まれた。
想定される用途
リコーの発泡PLAシートは、用途に応じて、発泡倍率を変えることができるため、緩衝材や梱包材、各種の容器など多くの暮らしのシーンに対応できると考えている。「安心して使える」があたりまえの未来に向けて、この地球に還る新素材「PLAiR」で貢献していく考えだ。