2020年7~11月
 
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2020-11-24


リサイクルプラスチック100%の3Dプリンター用フィラメント2種類を独自開発
市場回収複合機を有効活用し循環型社会の実現に貢献

キヤノンエコロジーインダストリー


 キヤノンエコロジーインダストリーは、初の自社開発製品として、リサイクルプラスチック100%の3Dプリンター用 フィラメント2種類(PC+ABS、HI-PS)を独自開発した。同フィラメントは、市場から回収した複合機の外装カバー、 カセットのリサイクルプラスチックを原料としている。

 樹脂や金属などの材料を用いた3Dプリンターは、多品種少量の部品を手軽に試作、製造できるため、広く普及している。一方で世界的に環境問題はより深刻化し、各国はSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた取り組みを求められている。こうした中、キヤノンエコロジーインダストリーでは、キヤノン製品のリユース・リサイクルを通じ て高度な資源循環を追求している。 このほど、更なるプラスチック資源循環を推進する新たな取り組みとして、リサイクルプラスチック100%の3Dプリン ター用フィラメントを開発した。リサイクルプラスチックの原料は、プラスチック材料として信頼性と実績があり、複合機の外装カバー、カセット等に多く使われているPC+ABS、HI-PS。キヤノン製品のリサイクルで培った技術を応用 し、市場から回収した複合機の外装カバー、カセットを最適な技術を用いて破砕、洗浄、押出成形することで、リサイク ルプラスチック100%でありながら安定した線径精度のフィラメントを製造することが可能となった。 耐熱性に優れ高強度であるPC+ABSフィラメントを造形物を作るメイン材料とし、耐衝撃性に優れリモネンに溶けや すいHI-PSフィラメントをサポート材として用いるなど、2種類のフィラメントを組み合わせて使うことで、単一材では難し かった複雑な形状の造形物も自由に作ることができる。

 キヤノンエコロジーインダストリーは、今後も豊かな生活と地球環境が両立する社会の実現を目指し、環境負の削減に取り組んでいく考え。

 種類 PC+ABS HI-PS
 カラー グレー ホワイト
 線径 1.75mm
 重量 フィラメント1巻の重量:750g
 フィラメント
 特徴 100%リサイクルプラスチックを使用
 説明
 非常に耐熱性に優れ、強度が高いプラスチッ クであるため工業用の部品の試作、最終部品、 治具作成に向いた材料である。リモネンに溶けやすく、複雑な形状を造形す る際のサポート材として非常に使いやすい材 料である
 フィラメント 元材料
 特徴 高強度、高難燃性 耐衝撃性に優れる 原資 複合機 外装カバー 等 複合機カセット 等
 説明
 プラスチックの中で、難燃性が高く、かつ強度 も高い 複合機の外装や自動車部品(ヘッドランプ、 コーナーランプ)等に使用されている
 一般的なポリスチレンにゴムを配合して耐衝 撃性が大幅に向上している 工業用パーツやOA機器、家電製品の内部 パーツ等に使用されている




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2020-9-9

スマホで個々人の暮らしに寄り添い健康・医療をDX、
健康管理アプリ「ポケットヘルスケア」を開発
KDDI

 KDDIは、スマートフォンで個々人の暮らしに寄り添い、健康・医療のDXを推進することを目的とした健康管理アプリ「ポケットヘルスケア」を開発し、2020年11月下旬から東京都豊島区と共に実施する東京都主催の「令和2年度 東京都次世代ウェルネスソリューションの構築事業 において活用する。

 健康管理アプリ「ポケットヘルスケア」は、歩数・体重・脈拍などの「健康データ」の管理機能や、健康データと健康診断・採血検査の結果データをもとに生活習慣病の発症リスク度を提示する「健康スコア」、利用者が自覚症状を複数の質問に回答することで適切な受診先を提示する「AI受診相談」、近隣の医療機関情報を提示する「医療機関検索」の機能などをパートナー企業と連携し、提供する。これにより、日頃の健康管理が同アプリ1つで可能になる。

 また、都公募事業での利用実績を踏まえ、2021年4月以降、同アプリの商用提供を目指す。

 ■「ポケットヘルスケア」提供の目的・背景
  • 日本の平均寿命は、医療介護分野の技術革新などにより、男女ともに過去最高を更新し続けている (該当項目へジャンプします注1)。人生100年時代が現実的なものとなるなかで、一人ひとりの健康を支える環境づくりの必要性がますます高まっている。
  • しかし、新型コロナウイルス感染症により、感染拡大の防止のために「不要不急の外出自粛」や「3密 (密閉・密集・密接) 回避」といった、新しい生活様式の実行が求められることとなった。新しい生活様式の広がりは、感染拡大に効果を示す一方で、外出自粛に伴う日々の活動量の急減など健康維持のための環境は悪化している。また、慢性疾患を抱える方や体調不良を感じている人が感染への不安や外出自粛の要請を真摯に受け止めるあまり、本来必要な受診を控えている実態も報告されている (該当項目へジャンプします注2)。医療機関側においても、受診控えによる患者数の減少により、経営が困窮し、廃業や規模の縮小を余儀なくされているという報告 (該当項目へジャンプします注2) もあり、地域医療を担う要が危機に瀕している。
  • そこで、KDDIは個々人の暮らしに寄り添い、健康管理や適切な医療受診を提案する同アプリを提供し、健康・医療のDXを推進する。

 ■「ポケットヘルスケア」について

 同アプリでは、多彩な健康管理機能を提供していく。

 1. 基本機能

 パートナー企業とともに開発のうえ、各機能を提供する。


項目 内容 開発社
健康データ 利用者が計測した日々の体重/血圧や健康診断の結果などのPHR (Personal Health Record) を記録。 KDDI株式会社
健康スコア 登録されたPHRを活用し、将来の生活習慣病発症リスクを提示する。 株式会社ARISE analytics
株式会社PREVENT
AI受診相談 利用者の自覚症状について所定の質問に回答することで、適切な受診先を提示。 Ubie株式会社
医療機関検索 利用者の近隣にある医療機関の情報を提示する。 KDDI株式会社
株式会社ウェルネス
(医療機関情報提供)


 2. 今後追加予定の機能 (オンライン診療・オンライン服薬指導)

 2021年4月以降の商用提供時には、パートナー企業と連携し、オンライン診療・オンライン服薬指導などの機能追加していく予定。
 
注1) 新規ウィンドウが開きます厚生労働省 令和元年簡易生命表の概況より出典。
注2) 新規ウィンドウが開きます2020年7月28日公開 日本医師会のニュースポータルサイト「日医on-line」より出典。




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2020-8-19


世界最速で可変画像印字が可能な高出力レーザーマーカーを開発
~大量生産する製品のラベルやパッケージへの個別情報印字を実現~

リコー

 リコーは、高速生産ラインの速度に追従しながら可変情報印字を可能とする「高出力レーザーマーカー」を開発した。
 同マーカーは、大量生産ラインで高速搬送されているフィルムやラベル等の包装材に対して、最大毎分300mの速度で個別に異なる情報の印字を可能とし、さまざまな製品の高速な生産ラインで速度を落とすことなく可変情報を印字することを実現した。

 大量生産する製品のラベルへの印字は版下を用いて同一内容の印字を実施することが一般的。一方で、期間限定の販促商品へのラベル印字や、商品の入出庫や配送状況の管理業務などの効率化を支援するトレーサビリティーを実現するためには、個別のデザインやバーコード、QRコードを印字する必要がある。シリアルナンバーといった英数文字の可変印字は、従来のレーザーマーカーでも可能だったが、画像やバーコード、QRコード等といった複雑な情報の可変画像の高速印字はできなかった。

 このほど開発した高出力レーザーマーカーは、リコーが長年培ってきた複合機のレーザービーム制御技術と、世界で高い評価を受けているリコーのサーマルメディアの技術を組み合わせることで、高速・高精細なサーマルメディアへの印字を実現したもの。

 リコー製のサーマルメディア層をコーティングしたラベル用のフィルムに、同時に192本のレーザーを照射することで200dpiの高精細な画像を最大毎分300mの速度で印字することを可能とした。また、レーザーマーカーとしては世界最高出力となる2000Wのレーザーにより、10万分の一秒程の超短時間照射でメディアに熱反応を起こすサーマル印字を可能とした。さらに、独自開発したレーザードライバーにより、192本のレーザーを同時に最高で毎秒8万回の変調制御を可能とした。これらの技術の組み合わせにより、大量生産ラインで商品が高速搬送される速度を落とすことなく、可変印字することを実現した。

 今後、リコーは高出力・高速度・高精細といった高出力レーザーマーカーの特徴を生かして、フィルムやラベルだけでなく、箱や袋などのさまざまな包装材料に対しても用途に応じた可変情報印字を実現し、課題解決に貢献していく考え。




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2020-8-17

カメラやFA機器などをローカル5Gのネットワークに接続し、
大容量データを高速に伝送できるローカル5G対応ルーターを開発
 シャープ

ローカル5G対応ルーター


 シャープは、ローカル5Gに対応したルーターの試作機を開発した。ローカル5Gの実証実験やネットワーク検証用として、今年9月以降に提供開始する予定。

 ローカル5Gは、企業や自治体が、自らの敷地内や工場内、農場など、特定のエリア限定で構築できる5Gネットワーク。高速大容量、低遅延、多数同時接続など、5Gの特長を生かしながら、個別ニーズに応じた独自のネットワークを構築できるため、建設現場での建機遠隔制御や医療施設での遠隔診療、生産効率を高めるスマート工場など、さまざまな用途での活用が期待されている。

 同機を介してカメラやFA機器、各種センサーなどを無線または有線でローカル5Gのネットワークに接続することで、大容量データを超高速で伝送することが可能となる。受信時最大約3Gbps/送信時最大約600Mbpsの超高速データ通信を実現。Wi-Fi6対応のほか、2.5GBASE-TのLANポートやUSB3.0を搭載するなど、無線、有線ともに接続機能が充実している。無線と有線の同時使用も可能なので、利用シーンや端末に応じた接続方法を選べる。

 また、同機は、ローカル5Gの周波数として2019年12月に制度化された「28.2-28.3GHz」に加え、今後の割当てが検討されている「28.3-29.1GHz」「4.6-4.9GHz」にも対応している。周波数の拡大も見据え、幅広いネットワークの検証に活用できる。

  主な特長

 1.ローカル5G対応ルーターの試作機を開発。本年9月以降に提供開始予定

 2.カメラやFA機器、各種センサーなどを無線または有線で接続し、大容量データを超高速で伝送することが可能

 3.ローカル5Gの制度化された周波数、および今後割当てが検討されている周波数にも対応





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2020-8-3


薄型・軽量な両眼視タイプのスマートグラスを開発
~リコー独自の薄型プラスチック導光板を採用し、長時間の着用が可能に~




 リコーは、独自の光学技術を用い、両眼視タイプとしては世界最軽量となる49gのスマートグラスを開発した。2020年8月3日から7日までオンライン開催されるディスプレイに関する国際学会SID Display Week 2020 Symposiumで発表予定。(同社発表情報:8月5日米国太平洋標準時間 セクション26.4)今後、事業化に向けパートナーを募集するとともに、実用化にむけてさらに開発を進めていく考え。

 * 発表時点における同社調べ。

 メガネ型のウェアラブル端末であるスマートグラスは、パソコンやスマートフォンなどと連携し、現実の視界をみながら、スマートグラスのディスプレイ上にデジタル情報を重ねて表示するもので、医療や建築、工場現場での作業指示や、一般ユーザーの歩行案内などの日常生活支援といった幅広い分野での活用が期待されている。しかし、これまでの両眼視タイプのスマートグラスの重量は一般的なメガネの3倍以上もするものがほとんどで、短時間の遠隔作業支援などが主な用途だった。オフィスや店舗、工場などでの一般的な業務や、個人での活用には、終日装用しても疲れない軽さと、多様な情報表示のための広い視野角を両立する技術が不可欠。

 今回、リコーが開発したスマートグラスは、レンズ部分に独自に開発した薄型・軽量のプラスチック導光板を採用し、重量49gを実現している。さらに、1m先に約30インチの画面が見える広い視野角で、軽量・広視野を両立し、また、従来のスマートグラスは、ディスプレイユニットがレンズと一体化した構造であるため、鼻に大きな重みがかかることが課題だったが、リコーは、ディスプレイユニットをこめかみ付近に配置できる特殊な光学系を開発し、鼻にかかる荷重を一般的なメガネ程度にすることで快適な着け心地を実現している。これらには、リコーがこれまでプロジェクターやカメラ等の開発において培ってきた光学技術が活かされている。また、普段の生活の中で違和感なく着用できるよう、メガネメーカーの協力を得て、一般的なメガネのような親しみやすいデザインにもこだわっている。

 この技術により、いつでもどこでも必要な情報にアクセスすることが可能となる。リコーは、現実世界とデジタルとの融合で、お客様にとってより魅力あるデジタルサービスを提供するとともに、お客様のさまざまなワークプレイスと日常生活を変革するイノベーティブな製品・ソリューションの開発を今後も進めていく方針。

 関連情報

 (技術ページ)スマートグラス




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2020-7-22

 
キヤノン
ネットワークカメラ・産業用カメラ向け高感度CMOSセンサーを開発
0.08luxの低照度環境下でカラーのフルHD動画を撮像可能

 キヤノンは、1 ⁄ 1.8型で0.08lux(ルクス)の低照度環境下でもカラーのフルHD動画を撮像可能な高感度CMOSセンサー"LI7050"を開発した。21日にサンプル出荷を開始し、2020年10月下旬に発売予定。

 
おもな特長


 近年、IoTの進展に伴い、ネットワークカメラや産業用カメラの需要が高まっている。特にフルHDや、夜間でもカラーで撮影できるカメラのニーズが拡大している。キヤノンが新たに開発した高感度CMOSセンサー"LI7050"は、1 ⁄ 1.8型(対角9.03mm)、画素サイズが一辺4.1µm(マイクロメートル)と小型でありながら、低照度環境下でもカラーのフルHD動画を撮像可能。

 0.08luxの低照度環境下でもカラーのフルHD動画を撮像可能

 小型ながら高感度を実現できるよう画素構造を設計するとともに、低ノイズを達成し、0.08luxの低照度環境下でも、カラーのフルHD動画を撮像可能。一般的に、夜間監視においては赤外線カメラを用いて、モノクロで撮影するが、本センサーを搭載したネットワークカメラにより、例えば公共施設や道路・交通機関などにおいて、夜間でも人物の服装や車両の色情報を確認することに役立つことが期待される。また、小型かつ高感度なイメージセンサーが求められる、水中ドローンに搭載するカメラや、顕微鏡用カメラのほか、警備用のウエアラブルカメラなどへの活用が可能。

 120dBの広いダイナミックレンジを実現

 120dBの広いダイナミックレンジを実現するHDR駆動機能を搭載しており、例えば0.08luxから80,000luxまでの環境で白とび、黒つぶれなしで撮像できる。これにより、ビルの出入り口など明暗差の大きい状況においても高画質で撮像することが可能。通常駆動時でも75dBを実現し、例えば0.08luxから500luxまでの環境で白とび、黒つぶれなしで撮像できる。

 幅広い用途に対応するさまざまな仕様

 さまざまな用途のコンシューマー向けカメラや産業用カメラにも使用されているMIPI CSI-2インターフェースに対応することにより、幅広い機器に組み込むことが可能。また、任意の領域を選択し、読み出す情報量を削減することで、フレームレートを上げることができるROI(Region of Interest)機能や、カメラを天井などに逆さに設置した場合でも、センサー内で見やすい向きの画像にして出力する水平・垂直反転機能を搭載し、産業用途で求められる多様なニーズに対応している。

 
満月の夜の明るさの目安が0.3lux、三日月の月明かりの明るさの目安が0.01lux。





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