HOME

ニュース 開発情報 P-1

NEXT


2023-3-2

 NEC

デジタルツインの実現に向け、多数のカメラ映像のリアルタイムかつ
高精度な分析を可能とする技術を開発

 
「アプリアウェアICT制御技術」によりリアルタイムかつ高精度な分析を実現

 NECは、作業現場などに設置された多数のカメラ映像のリアルタイムかつ高精度な分析を可能とする「アプリケーションアウェアICT制御技術」を開発した。
 本技術は、大量の映像データの中から分析すべき重要な領域を自動的に抽出する「重要領域予測技術」と、抽出した映像内の領域の重要度やネットワークおよびコンピューティングの負荷状況に応じて作業現場の端末(エッジデバイス)とクラウドに分析処理を動的に振り分ける「ダイナミック負荷分散技術」という2種類のAIから構成されている。

 近年、物流・製造・建設などの現場では、業務改革や安全性向上などを目的としたDXの取り組みが加速している。特に、現実空間の活動をデジタル空間に再現するデジタルツインが注目されており、現場に多数のカメラを設置し、行動認識などの高度な映像分析AIを活用して、作業進捗状況や不安全行動などを把握するニーズが高まっている。こうした現場では、電源・設置場所の制約や多品種少量生産などによるレイアウト変更が発生することも多く、エッジデバイスの小型化や通信の無線化が求められる。しかし、現場の状況の変化により映像分析AIの処理量が増大すると、小型のエッジデバイスでは処理能力が不足する課題がある。また、クラウドに処理を割り振る場合、大容量の映像データを無線送信する必要があるため、カメラ数の増加時や電波状態の悪化時に、通信帯域が不足する課題がある。


 こうした課題を解決するため、映像内の分析すべき領域のみを抽出し、その重要度や負荷に応じて処理をエッジデバイスとクラウドに動的に割り振ることで、処理能力や通信帯域が限られた環境での映像分析を可能にする「アプリケーションアウェアICT制御技術」を開発した。本技術により、ICTリソースを効率的に活用することで、多数のカメラを設置した大規模な現場において、リアルタイムかつ高精度に状況を把握して生産性の向上を図ることや、不安全行動に対する注意喚起や回避策を実行することなどが可能となる。

 NECでは、今後「アプリアウェアICT制御技術」について物流倉庫や建設現場などでの実証を行い、2023年度中の実用化を目指す。


 コア技術の特長

 1. 重要領域予測技術

 カメラ映像に映った人やモノから、映像分析AIで処理すべき領域 (重要領域) を自動で抽出。映像内の人やモノ、地面などの背景、それらの境界といった領域単位で映像分析精度への影響を学習することで、処理すべき領域単位で重要度を予測する。この学習は、映像分析AIに入力する映像を変化させた場合の分析結果の変化のみに基づいており、行動認識や物体検出といった映像分析AIの種類、内部処理方法には依存しない。このため多様な映像分析AIに対して適用可能。

 2. ダイナミック負荷分散技術

 映像内の領域ごとの重要度や処理・通信負荷に応じて、処理をエッジデバイスとクラウドに動的に割り振る。具体的には、エッジデバイスの処理負荷やクラウドに処理を転送する際の通信負荷のリアルタイムな予測を行い、重要領域予測技術で判断された重要度の情報と組み合わせることで、処理能力および通信帯域を超えないように映像領域単位で処理を割り振りする。




▲TOPへ戻る










2023-1-31


世界最高感度のハイパースペクトルイメージング技術を開発
~パナソニック ホールディングス~


 

 パナソニック ホールディングスは、世界最高感度*1でハイパースペクトル画像*2を撮影する技術を、医療や宇宙探索の分野で活用が進む圧縮センシング技術*3を用いて開発した。本技術により、肉眼では判別できないわずかな色の違いを、従来のカラーカメラ*4と同様の操作性で識別できるようになり、画像分析・認識の精度向上が可能になる。こうしたハイパースペクトル画像撮影を実証した世界初の研究成果として、ベルギーの研究機関であるimecとの連名で英国科学雑誌「Nature Photonics」のオンライン版に2023年1月23日に掲載された。

 <概要>

 画像認識技術の進化に伴い、画像データを産業的に利用し効率化・省人化・省エネルギー化を可能にする、マシンビジョンの応用が広がっています。マシンビジョンでは画像をコンピュータで認識するため、人間が知覚できない情報、例えば連続的な色変化(スペクトル情報)を用いた解析が可能になる。スペクトル情報をもつ画像はハイパースペクトル画像と呼ばれ、マシンビジョンの応用範囲を拡大する役割が期待されている。


 従来のハイパースペクトル画像撮影では、プリズムなどの光学素子や、特定の色(波長)の光を選択的に通すフィルタが用いられていました。しかし、これらの方法は光を波長ごとに分けて検出するため、波長の数に反比例して光の利用効率、つまり感度が低下するという物理的な制約があった。そのため、撮影時には晴れた日の屋外に匹敵する明るさの照明(照度10,000ルクス以上)が必要となり、操作性・汎用性に難があった。

 今回開発したハイパースペクトル画像撮影技術では、観測データを“間引く”ことで効率的に取得し、演算処理で“間引かれる前”のデータを復元する、圧縮センシング技術を応用している。これは、医療現場でのMRI検査やブラックホール観測でも使われている手法で、複数波長の光を通し画像データを適切に“間引く”特殊フィルタをイメージセンサ上に搭載し、独自のデジタル画像処理アルゴリズムによりデータを復元している。ソフトウェアが色を分ける機能の一部を担うことで、従来技術の課題であった波長数と感度の制約を突破。これにより、世界最高感度のハイパースペクトル画像撮影、さらには室内照明(550ルクス)下での動画撮影を実現している。

 今後は本技術の活用により、色情報に基づいて高精度に画像分析・認識を行う新たなセンシングソリューションや、高感度なハイパースペクトル画像撮影技術によるマシンビジョン用途の拡大を、パートナー様との共創も検討しながら目指すという。

 <特長>

 1. 複数波長の光をランダムに通す特殊フィルタを用いた観測データの“間引き”取得により、物理的制約を超えた感度向上が可能

 2. 世界最高感度(従来比約10倍)のハイパースペクトル画像撮影により、室内照明(550ルクス)で鮮明な撮影を実現

 3. 独自のアルゴリズムでフレームレート*5を動画レベル(>30fps)に向上し、カラーカメラ並みの操作性でスペクトル情報の取得を実現

*1:2023年1月26日時点。
*2:光の波長ごとに取得された画像の中で、波長数が4以上のものをマルチスペクトル画像、さらに波長数が概ね10以上のものをハイパースペクトル画像と呼ぶ。
*3:少ない観測データからより多くの信号を復元する手法。観測対象データがある表現空間(例えば周波数空間)では偏った分布になるという性質(スパース性)を利用する。MRIの高速化技術に応用されているが、近年ブラックホールの観測にも使われた。
*4:赤、緑、青の三種類のフィルタをイメージセンサ上に搭載し、三色の比率で色を表現するカメラ。デジタルカメラやスマートフォン搭載のカメラはほぼこれにあたる。




▲TOPへ戻る













2023-1-18


業界最高レベルのダイナミックレンジを実現した
監視用途向けCMOSセンサーを開発
領域ごとに最適露光を自動決定することで移動する被写体の認識精度が向上

 キヤノン

 
新開発のCMOSセンサーによる撮影例
(124dB程度の環境下) 
 
 キヤノンは、監視用途向けとして業界最高レベル※1のダイナミックレンジ148dB※2を実現した、1.0型で有効画素数約1,260万画素(4,152×3,024)の裏面照射積層型CMOSセンサーを開発した。明暗差の大きい環境でも、画面を736分割し、領域ごとに最適な露光を自動で決定できるため、一般的なハイダイナミックレンジ撮影で必要な合成処理が不要になり、データ量の低減や移動する被写体の認識精度向上に貢献する。

 近年、監視カメラの需要拡大に伴い、スタジアムの出入り口や夜間の道路など明暗差の大きい環境において高画質な画像を撮像できるイメージセンサーのニーズが高まっている。キヤノンが開発した新センサーは、こうした用途での使用を想定している。今後もさまざまな分野での活用が見込まれるセンサーの開発を進めていく考え。

 1. 業界最高レベルのダイナミックレンジ148dB

 監視用途向けのイメージセンサーでは業界最高レベルのダイナミックレンジ148dBを実現しており、約0.1lux(ルクス)から約2,700,000luxまでの撮像ができる。例えば、昼間の地下駐車場の出入り口で車両のナンバープレートと運転者の顔を同時に認識したり、スタジアムの出入り口で来場者の顔認証と背景の監視を両立したりするといった用途での活用が期待される。

 2. 領域ごとの明るさに応じて最適な露光時間を自動で決定

 明暗差の大きい環境下での撮影において、明部から暗部まで自然に見える画像を取得するために、一般的なハイダイナミックレンジ撮影では、露光時間を変えた複数の画像を合成する処理が必要。この処理を行うことで露光時間のずれが生じ、移動する被写体が重なって写ってしまう(モーションアーチファクト)という課題がある。同センサーは、画面を736分割し、領域ごとの明るさに応じて最適な露光時間を自動で決定するため、モーションアーチファクトが発生せず、移動する人物を撮影する場合でも顔認識の精度が向上できるようになる。また、合成処理が不要となり、1フレームあたりの扱うデータ量が少なくなるため、約1,260万画素の多画素で約60fps※2の高速な撮像性能の実現が可能となった。

 3. 設置環境や使用用途に応じて撮影条件をカスタマイズ可能

 動画は静止画(1フレーム)の連続でできているが、1フレームの時間内で露光条件の設定を完了させないと、明暗が激しく変化する環境や、速い動きの被写体の撮影に追従することが難しくなる。同センサーは、複数のCPUと専用の処理回路を内部に搭載しているため、1フレームの時間内で領域ごとの露光条件設定を同時に素早く処理することができるほか、撮影環境や使用用途に応じて撮影条件などをカスタマイズすることが可能。速い動きの被写体を高精度に撮影するニーズのある道路や駅、明暗が激しく変化するスタジアムの入り口などの環境での使用が期待される。

※1 監視用途向けCMOSセンサー市場において。2023年1月11日現在。(キヤノン調べ)
※2 30fps時のダイナミックレンジは148dB。約60fps時のダイナミックレンジは142dB。




▲TOPへ戻る











2023-1-10


シャープ、約175gの超軽量ボディと高精細映像を実現した、
スマートフォン接続型VR用ヘッドマウントディスプレイのプロトタイプを開発


 
VR用ヘッドマウントディスプレイのプロトタイプ

 シャープは、約175gの超軽量ボディと高精細映像を実現した、スマートフォン接続型のVR(仮想現実)用ヘッドマウントディスプレイのプロトタイプを開発した。

 同プロトタイプは、VR用超軽量ディスプレイや超薄型で明るい接眼用レンズなど同社独自の最先端デバイスの採用や、スマートフォンの開発で培った小型化技術・ノウハウの活用により、約175gの超軽量ボディを実現した。長時間使用しても疲れにくく、コンパクトに折りたためるので外出先などへの持ち運びにも便利。ディスプレイは、4K(片眼2K×2)高精細映像と、120Hz駆動によるなめらか表示を実現。リアリティあふれる映像で高い没入感を体験できる。

 また、ポリマーレンズの採用で超高速オートフォーカスに対応した同社独自のRGBカラーカメラモジュールを搭載。現実世界の周囲の様子を映像として取り込んでカラー表示する「カラースルー映像表示機能」や、VR空間上の一部に現実世界の周囲の映像をウインドウ表示する「POPUP映像表示」機能に対応している。ポリマーレンズの厚みを変化させることでピントを合わせるので、一般的なカメラよりもすばやくピント合わせができるだけでなく、ピントの位置が動いても画角(映る範囲)が変わらないため、映像に酔いにくく快適に使用できる。さらに、2つのモノクロカメラを搭載し、装着者の手の動きを認識してVR上の操作に反映する「ハンドトラッキング機能」にも対応。操作用のコントローラーがなくても直感的な操作が可能。

 同社は、この開発を皮切りに、現実世界と仮想世界を融合した新しい体験の創出を加速していく考え。

 同プロトタイプは、1月5日(木)から1月8日(日)まで、米国ネバダ州ラスベガスで開催中の世界最大級のテクノロジー見本市「CES 2023」に参考出展している。(同社出展場所:ウィン・ラスベガス ホテル ボールルーム「Petrus」、住所:3131 Las Vegas Blvd. Las Vegas, NV 89109, U.S.A.)

  主な特長

1.同社製最先端デバイスの採用やスマートフォンの開発で培った小型化技術・ノウハウの活用による約175gの超軽量ボディ

2.4K(片眼2K×2)高精細映像と120Hz駆動によるなめらか表示を実現

3.すばやいピント合わせと映像に酔いにくい快適性を実現する、ポリマーレンズを採用したRGBカラーカメラモジュールを搭載





▲TOPへ戻る











2022-10-31


「クレーン作業安全支援システム」を開発
~ステレオカメラ技術とAI認識技術を応用、NETISに登録~

リコーインダストリアルソリューションズ

 リコーインダストリアルソリューションズ(社長執行役員:竹本 浩志)は、東洋建設(本社:東京都千代田区 社長:武澤 恭司)と共同で実施した実証実験を通して、「クレーン作業安全支援システム」を開発した。同システムは、10月に新技術情報提供システム(NETIS)*1に登録され、クレーンを使用する現場における安全性向上への有効性が認められている。


 同システムは、これまで主に誘導員による目視で対応していた、クレーン作業の現場における安全確認を、デジタル技術で支援するもの。リコーインダストリアルソリューションズが長年培ってきたステレオカメラ技術に加え、AI認識技術を活用することにより、吊り荷と作業者を自動検出してその位置関係を立体的に測定できることが特徴。測定結果をもとに衝突の危険性を検知し、クレーン操縦者に知らせることで衝突事故を防ぐ仕組みで、建設、土木、製造業をはじめとする、作業の安全性に課題を抱えるさまざまな現場での活用が期待されている。


※1 国土交通省が新技術の活用のため、新技術に関わる情報の共有及び提供を目的として整備したデータベースシステム。


 背景

 建設、土木、製造業などさまざまな現場で活用されるクレーンは、作業現場に欠かせない一方で、作業環境によっては吊り荷と作業員の接触事故を引き起こす危険性も伴っている。特に、クレーン操縦者が吊り下ろし場所を直接目視確認出来ず、合図者の誘導にのみ頼る場合などは、作業者・操縦者・合図者の作業負荷や心理的負荷が非常に高くなるため、技術の活用による負担軽減が求められている。


 特徴

 ・クレーン先端に設置したステレオカメラの映像から、吊り荷と吊り下ろし場所の作業員の位置を検出・追尾し、吊り荷と作業員が接近すると警報を発することで、作業員全員の安全作業をサポート。
 ・クラウドと連携することで、遠隔地の管理者への通知や、作業状況の記録・管理も可能。
 ・クラウドを通して現場のデータを蓄積し学習、さまざまな現場においても高精度に作業員の位置を検出することが可能。これまでに海上での消波ブロック設置工事の作業における、人・フック・吊り荷の認識精度と認識結果、距離情報を使った危険判定の項目で有効性が確認され、NETISに登録。【NETIS登録番号:QS-220019-A】
 ・ブラウザ上で使用できるアプリを活用することで、クレーン作業安全支援システムにより抽出された各現場の危険シーンおよび作業シーンの録画を用いて、現場での危機管理の学習に活用が可能。


 今後の展開

 現在有効性が確認できている海上の現場だけでなく、建設、土木、製造業など様々なお客様の現場で運用していく。さらに現場の安全だけでなく、建設作業機械の自動化施工への応用のほか、作業効率やオペレーションスキルの可視化などデジタルサービスへの展開を検討していく方針。




▲TOPへ戻る











2022-10-21


リコー、医療分野に適用可能な画像認識AIの新アルゴリズムを開発
AIをてんかんの脳波判読へ応用、
診断の省力化に向けた研究開発を加速


リコーは、国立大学法人大阪大学との共同研究で、深層学習を用いた画像認識AI(人工知能)の新しいアルゴリズムを開発した。

 脳磁計で計測した脳波の分析に本研究で開発したアルゴリズムを応用することで、てんかんに特徴的な波形(てんかん波形)を見分けることが可能であることが、研究結果から示された。本技術をてんかんの手術前に行う脳磁図検査※1に適用することで、診断の大幅な省力化が期待されるほか、将来的に完全自動化できる可能性が開かれた。


 背景

 てんかんの脳磁図検査は、脳磁計を用いて無侵襲かつ高い精度でてんかん波形をとらえ、てんかんの場所を特定することをサポートする手法で、病巣を切除する手術を行う際の術前検査として、大きな役割を果たす。しかし、波形を正確に判読するには熟練した専門医が何時間もかけて解析する必要があり、大きな負担になっていた。
 リコーは30年以上前から画像認識技術の研究を行ってきており、近年ではAIの研究も進めている。こうした経験を活かし、今回、脳磁図検査で得られる磁場の波形データを画像に見立て、画像認識AIてんかん波形の判読を試みた。

 共同研究の概要

 リコーは大阪大学と共同で、画像を対象とした深層学習に独自の改良を加えたアルゴリズムを開発した。このアルゴリズムは、てんかん波を検出するだけでなく、その発生時刻と広がりも判読して、脳内のどこでてんかん活動が生じているかを、人間の操作なしに自動解析できるものとなっている。2種類の深層学習を組み合わせ、専門医が過去に解析した400以上の検査結果を学習させることによって実現したことが特徴。  
 大阪大学がこのアルゴリズムを実験的に用いて波形データを分析した結果、熟練の医師と同等の解析性能が得られることを確認できた。
 この結果により、手間のかかっていた波形判読を大幅に省力化し、将来的に完全自動化できる可能性が開かれた。そのため、てんかん専門医の負担の大幅軽減、検査結果の均質化が期待される。また、てんかん医療技術の向上にもつながるため、患者のQOL向上も期待されている。


 本研究成果は、米国科学誌「IEEE Transactions on Medical Imaging」の10月号に、10月1日に掲載されている。

 本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)

 てんかん脳磁図検査の普及、ひいては精度の高い無侵襲のてんかん診断の普及が見込まれている。この手法は脳磁図からのてんかん波形の判別にとどまらず、広く脳波判読の自動化への応用が期待されている。さらに近年、高齢者で認知症が疑われる方の中には、認知症だけでなく、てんかん発作が一定の割合で含まれていることもわかってきており※2、認知機能低下者のてんかんのスクリーニング等への応用も期待される。

※1 脳活動によって生じる磁場を、超電導素子を用いた高感度のセンサー約200個で計測することにより、脳のどこが活動しているかを精度よく、無侵襲で調べることができる検査。
※2 国立長寿医療研究センター,「それって認知症?『てんかん』かも!?」(2022年8月20日取得)




▲TOPへ戻る















2022-10-5


オンラインで日本型の会話「共話」を実現する音声通話システムを開発

NTTドコモ

 NTTドコモは、5GネットワークとMEC(Multi-access Edge Computing)1サービスを活用した低遅延・高音質の音声伝送と、口の動きから発話を先読みして自動ミュート制御を行う技術により、オンラインにおいても話し手と聞き手が一体になって会話を展開する日本型の会話「共話」を実現する音声通話システムを開発した。

 「共話」とは、あいづちや笑いなどのリアクションと発話の積極的なオーバーラップが織りなす共感的な会話であり、日本人が好む会話の型と言われている。対面ではごく自然に行われているが、オンライン環境では発言のたびに行うマイクのミュート操作や音声の遅れなどのため、お互いが息を合わせたような「共話」の実現は困難だった。

 これらの課題に対応するために同システムでは、リアクションを含む発話時にのみ自動でマイクのミュートを解除する仕組みを開発し、取り入れている。人は発話するおよそ0.01~0.1秒前には発話の準備のために口を動かすという性質に注目し、カメラで検出した口の動きに基づいて発話を先読みしてマイクのミュート制御を行うことで、バッファリングに伴う音声の遅れや話頭切れがなく、あたかも常時マイクのミュートを解除しているような体験を実現している。

 低遅延・高音質音声伝送に自動ミュート制御機能を備えた同システムが「共話」を実現することを20代~50代の男女33名による主観評価試験で検証した。3名のグループで同システムを使った会話を行い、「共話」がどの程度実現しているか(共話実現性)を「話しやすさ」「リアクションの取りやすさ」「会話の間の自然さ」「声の聞き取りやすさ」の4項目で対面時と比較して評価した所、すべての評価項目における平均値が「対面と同程度~対面よりもわずかに劣る」の水準との結果から、同システムで対面に近い「共話」が実現されていることを確認した。

 コロナ禍で急増したオンラインコミュニケーションでは、仲の良い友達同士が会って話す時のような気軽で安心感のある直感的・共感的な会話が難しいという声や、リモートワークにおいてオフィスでの雑談のような共感的な雰囲気の会話が足りないという声が多く聞かれる。そこで、同システムを活用した職場におけるオンラインの気軽な雑談に焦点を当てたコミュニケーション促進サービスも検討を開始した。今後は、試作アプリを用いた検証を通じて、サービスの商用化をめざす。

 「共話」を実現する音声通話システムの概要

 概要

 ・オンライン環境においても、話し手と聞き手が一体になって会話を展開する日本型の会話「共話」を体験できる。 ・低遅延・高音質音声伝送により、あいづちや笑いなどのリアクションを伝えるための自然な間と、オーバーラップする発話の聞き取りやすさが実現できる。  ・口の動きから発話を先読みして自動ミュート制御を行う技術の導入により、マイク操作のわずらわしさを解消し、話したいときだけ即座に自動でマイクのミュートを解除できるため、お互いにリアクションを伝え合うテンポの良い会話ができる。

 システム構成

 ・音声通話のためのWebRTC1サーバとUI2関連機能を提供するためのアプリケーションサーバをdocomo MEC上に配置し、低遅延かつセキュアな通信を実現  ・音声通話アプリをクライアント端末(iOS端末)に配置、自動ミュート制御処理は音声通話アプリ内で完結し、これによる音声の遅延を生じない仕組み  ・5Gネットワークを通じてクライアント端末とサーバ間の通信を行う、MECの採用により物理的な通信距離を短くすることで、低遅延音声伝送を実現

 
システム構成図

※1 MEC(Multi-access Edge Computing)とは、移動通信網において、お客さまにより近い位置にサーバやストレージを配備する仕組み。




▲TOPへ戻る















2022-8-26


業界最高水準の認識精度98.87%の取引帳票向けAI OCR技術を開発
~手書き文字にも対応、紙帳票の電子化でバックオフィス業務のDXに貢献~

 リコー


 
 リコーは、請求書や納品書などの取引帳票において、業界最高水準となる98.87%の読み取り精度*1を実現するAI OCR技術を開発した。帳票に印刷された、かすれ、にじみ、ズレなどがある文字の読み取り精度を大幅に向上し、さらに手書き文字の読み取りにも対応している。同技術を2022年8月末に、クラウド型AI帳票認識OCRソリューション「RICOH Cloud OCR」シリーズへ実装し、リコーの他サービスにも順次展開していく考え。

 リコーは、OCRの読み取りに不利に作用する罫線などを検知・無効化する画像処理技術を開発し、帳票特有の語彙を元に単語の区切りや誤りを検出・補正する帳票知識処理と組み合わせることで、AI OCRの処理機能を向上させ、取引帳票の文字認識精度を大幅に向上している。また同時にOCRエンジンも手書き対応に進化させている。これらの技術により、さまざまな印刷・印字方式の紙帳票の電子化をサポートし、お客様の帳票処理業務を効率化することで、バックオフィス業務におけるDXに貢献する。
 リコーは、デジタルデバイス、ワークフローサービスの活用によるワークプレイスの変革を通じて、お客様のよりよい働き方の実現を支援していく方針。

※1自社調べ。請求書データの場合。様々な業種から無作為に収集した260社分の請求書を学習後に評価。
請求書の精度評価対象とした項目:請求元、請求書番号、請求日、請求額(税込)、請求額(税抜)、標準税率10%(税込)、軽減税率8%(税込)、標準税率8%(税込)、標準税率10%(税抜)、軽減税率8%(税抜)、標準税率8%(税抜)、銀行名、支店名、口座名義(カナ)、口座番号、口座種別




▲TOPへ戻る













2022-8-24


カーボンニュートラルの実現に向けた
「亜鉛による蓄エネルギー技術」の開発を開始
~シャープ~

革新的な電力貯蔵技術の確立と早期実用化をめざす


 シャープは、カーボンニュートラルの実現に向けて、大規模な電力貯蔵に好適な「フロー型亜鉛空気電池」を用いた蓄エネルギー技術の開発を開始した。これは、環境省「令和4年度地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業」の「ボトムアップ型分野別技術開発・実証」枠での採択を受けたもの。同社が長年培ってきた亜鉛空気二次電池技術をベースに、新たにフロー型方式を採用することで、低コストかつ大容量の蓄エネルギー技術の確立をめざす。



「亜鉛による蓄エネルギー技術」利用イメージ

 日本政府のエネルギー基本計画では、2030年度における太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの電力構成比を36~38%程度と見込んでいる。しかし、自然条件によって発電量が変動する再生可能エネルギーを主力電源化するには、蓄電池(二次電池)を活用した電力供給の平準化が必要不可欠。そのため、革新的な電力貯蔵技術の開発が期待されている。

 今回開発する「フロー型亜鉛空気電池」の技術は、蓄エネルギー物質に亜鉛を用いており、かつ蓄電池の充放電を担うセルと蓄エネルギー物質の貯蔵部が各々独立した構成になっているのが特長。豊富で安価な資源である亜鉛を利用すること、加えて貯蔵部の大型化による大容量化が容易なことから、低コストで大容量の蓄電池が実現可能。また、電解液には水系の液体を使用しているため、高い安全性も確保されている。

 同社は、カーボンニュートラルの実現に向け、「2050年における自社活動での温室効果ガス排出量実質ゼロ」を環境ビジョンとして掲げ、2035年までに60%削減(2021年度比)を目標に取り組んでいる。同技術を、オフィス・工場での自家消費用途や、発電所・マイクログリッドでの分散型電力貯蓄用途などへ展開し、再生可能エネルギーの普及促進とともにカーボンニュートラルの実現に向けて貢献していく方針。

 <「フロー型亜鉛空気電池」について>

  基本構成と蓄電の原理

 空気中の酸素を活用して充電や放電を行う空気電池の一種であり、電気を蓄える物質(蓄エネルギー物質)に亜鉛(Zn)を利用するもの。一般的な蓄電池の基本構成である充放電を担うセルと、フロー型方式としてセルで充電された亜鉛の貯蔵を担う貯蔵部から構成される。
 充電においては、酸化亜鉛(ZnO)が亜鉛に化学変化する際に、電子を蓄える。一方、放電においては、空気中に含まれる酸素との作用によって、亜鉛が酸化亜鉛に戻る際に、蓄えていた電子を放出するため、電気を取り出すことができる。
 このような酸化亜鉛と亜鉛の変化サイクルの活用により、繰り返し充電・放電が可能な蓄電池として活用することができる。


  技術的優位性

 ・安価な亜鉛を蓄エネルギー物質に利用するため、低コスト化が可能

現在、蓄エネルギー物質にリチウムを利用する蓄電池が主流となりつつあるが、リチウムは産出国や精製国が限られることから高価であり、需給が逼迫するリスクもある。一方、亜鉛は多くの地域で産出・精製されるため、安価な上、供給も安定している。


 ・フロー型方式のため、大容量化が容易

フロー型方式では、セルと貯蔵部が各々独立していることから、貯蔵部の大型化によって容易に大容量化が可能。また、原理上、貯蔵部はセルより低コストなので、安価な亜鉛の利用と相まって、低コストかつ大容量の蓄電池とすることが可能。


 ・水系電解液による高い安全性

亜鉛を浸している電解液に水系の液体を使用しているため、発火の可能性が極めて低く、有機溶剤(非水系)を用いた蓄電池よりも、高い安全性が確保されている。





▲TOPへ戻る












2022-8-23


「顔認証勤怠システム」を共同開発
佐川急便などの物流センター214カ所に導入し、8月上旬に本稼働を開始

 ~SGシステム、シャープマーケティングジャパンなど4社~


利用シーン(東京都江東区の次世代型大規模物流センター「Xフロンティア」)
 
 SGシステム、シャープマーケティングジャパンおよびデータスコープは、SGフィルダーの協力のもと「顔認証勤怠システム」を共同で開発した。佐川急便※1などの物流センター214カ所に導入し、今年8月上旬に本稼働を開始した。

 「顔認証勤怠システム」は、顔認証検温システムと勤怠管理システムを融合したソリューション。企業が利用中の勤怠基幹システムとの連携を実現し、勤怠および検温データ管理業務の効率化に貢献する。本システムは、高速かつ高精度な顔認証と検温機能を搭載。最大5万人分の登録データからすばやく個人を特定し、検温データとともにプライベートクラウド※2上の勤怠基幹システムに記録できるうえ、複数拠点の情報を一元管理することも可能。また、新開発の顔認証エンジンにより、顔のよく似た双子を高い精度で識別できるほか、同一人物の二重登録を抑制する「なりすまし防止」機能も搭載している。さらにディスプレイ横に「出勤」「退勤」など、5つの専用ボタンを装備しており、利用者は直感的な操作で簡単に打刻することが可能。

 SGフィルダーは、佐川急便を中核とするSGホールディングスグループの一員で、物流や製造分野を中心に各種人材サービスを展開している。本システムは、SGホールディングスグループのIT統括会社であるSGシステムが、SGフィルダーにおけるスタッフの勤怠管理状況や課題を綿密に調査、ヒアリングし、シャープマーケティングジャパンおよびデータスコープと連携して共同開発した。今般、SGフィルダーが庫内運営を請負う佐川急便などの物流センター214カ所に、計310台の顔認証端末を設置。計約2万人のスタッフを対象に、今年8月上旬に本稼働を開始した。

 これまでSGフィルダーでは、静脈認証方式による勤怠打刻を実施しており、新規スタッフ入職時に行う生体登録にかかる手間や出退勤のラッシュ時の混雑が課題となっていた。本システム導入後は、一人あたりの生体情報登録にかかる時間を約1/10※3、打刻にかかる時間を約1/2に短縮※4。さらに、これまで紙で管理していた検温データも顔認証勤怠システム上で確認できるようになり、事業場における勤怠管理業務の大幅な効率化に貢献している。

※1 代表取締役社長:本村 正秀、本社所在地:京都府京都市
※2 自社システム利用を目的として構築・運用されるクラウド環境のこと。
※3 SGフィルダーが従来導入していた静脈認証方式との比較において。生体情報登録時間は、従来システムの約300秒から約30秒に短縮。SGフィルダーによる実測値をもとに算出。
※4 SGフィルダーが従来導入していた静脈認証方式との比較において。勤怠打刻所用時間は、従来システムの約4秒から約2秒に短縮。SGフィルダーによる実測値をもとに算出。

 「顔認証勤怠システム」の主な特長

 1.最大5万人の登録データから、すばやく個人を特定し、検温データとともにプライベートクラウド上の勤怠基幹システムに記録。複数拠点の情報の一元管理も可能

 2.双子を高精度で識別できるほか、同一人物の二重登録を抑制する「なりすまし防止」機能も搭載

 3.「出勤」「退勤」など、5つの専用ボタンを搭載。利用者は目的の操作を簡単・確実に実行可能

  SGフィルダーによるシステム導入について

システム名 導入場所 稼働時期 
顔認証勤怠システム

SGフィルダーがスタッフを配置する

佐川急便などの物流センター:214カ所

*計310台の顔認証端末を設置しています。
*計約2万人のスタッフを対象に稼働中(2022年8月時点)

2022年8月上旬 


  各社の概要および本件における役割

◇SGフィルダー株式会社

・代表取締役社長:枝川 和弘

・本社:東京都江東区新砂1-6-35 JMFビル東陽町02 2階

・主な事業内容:製造・物流ほかフィールド業務分野向けの人材派遣や業務請負、人材紹介など

・役割:現場管理業務で必要なシステム要件の定義および本システムの導入、運用

 

◇SGシステム株式会社

・代表取締役社長:谷口 友彦

・本社:京都市南区上鳥羽角田町25

・主な事業内容:SGホールディングスグループのシステム設計開発・運用保守など

・役割:全体のプロジェクト管理及び本システムとSGフィルダー勤怠基幹システムとの連携
    システムの開発など

 

◇シャープマーケティングジャパン株式会社

・代表取締役社長:中山 藤一

・本社:大阪府八尾市北亀井町3丁目1-72

・主な事業内容:家電・情報製品の販売、ソフトウェアの開発・販売およびアフターサービスなど

・役割:本システム全般のシステムインテグレーション、サーバーシステム開発、設置、保守など

 

◇株式会社データスコープ

・代表取締役社長:内田 次郎

・本社:東京都中央区日本橋浜町2-19-9 VCTビル 4階

・主な事業内容:画像認識やディープラーニング技術を活用したシステム開発、サービス提供など

・役割:顔認証端末の開発など

   



▲TOPへ戻る
















2022-8-9


対話をリアルタイムにグラフィック変換する「piglyph」を活用
チームビルディングワークショップを株式会社シェイクと共同開発

リコー

リコーは、対話をリアルタイムにグラフィック変換してコミュニケーションをサポートするビジュアルコミュニケーションシステム「piglyph(ピグリフ)」を活用したチームビルディングワークショップを、シェイク(代表取締役社長:吉田 実)と共同開発し、8月22日からサービスとして提供開始する。グラフィックを活用して対話を可視化することにより、オンラインでのコミュニケーションを活発にし、多様な意見を織り交ぜた新たなアイデアの創発、チームの一体感の醸成に貢献する。

 リコーは、piglyphの提供を通じて、人々が言葉の壁を越えて自由に意思疎通できる世界の実現に取り組んでいる。piglyphと、シェイクが持つ組織開発の知見を掛け合わせ、“はたらく”に歓びを創り出すためのサービスを展開する。



 背景

 近年急速に普及したリモートワークは、場所や時間の制約を無くし、柔軟な働き方を実現する一方、人々のコミュニケーションに変化をもたらした。チームで働くメンバーのコンディションや仕事の進め方が見えづらく、親密な人間関係の構築やメンバー同士の共通認識を作ることが難しくなっている。これにより、メンバーが孤独を感じやすくなったり、チーム活動の生産性が低下するなど、新たな困りごとが発生している。
 リコーが2021年6月から提供しているpiglyphは、音声や入力された文字に紐づいたグラフィックがリアルタイムで画面上に提案され、その中からイメージに合ったグラフィックを選んで利用できるシステム。piglyphにより対話がグラフィックに変換されることで、対話の参加者は対話内容に具体的な共通認識を持つことができる。また、piglyphならではの温かみのあるグラフィックを介したコミュニケーションにより、メンバー同士が親しみを感じながら対話を深めることができる。

 新サービスの主な特徴

 新サービスは、企業の社員研修やコンサルティングを手掛けるシェイクと共同開発した、piglyphを活用したチームビルディングワークショップ。社員研修専門のファシリテーターの進行のもとで、個々のメンバーのチームへの想いを対話の中で開示し、その対話をpiglyphでグラフィカルに可視化する。リアルタイムでの可視化は、参加者の間で共通認識を構築するとともに、オンラインでの発話のハードルを下げ、対話の活性化に貢献する。また、専門のファシリテーターが心理的安全性を確保する場をつくり、本質的な問いかけでメンバーに働きかけ、質の高いワークショップを提供する。本ワークショップを通じて、チーム全員が共通の理想像を持ちながら、高いレベルで成果創出が可能なチームづくりを実現する。

 今後の展開

 今後は、チーム全体や個々のメンバーのパフォーマンス向上だけでなく、1on1やコーチングなど個人の能力開発においてもpiglyphを活用したコンテンツを開発し、リモートワークが浸透した新しい時代において、“はたらく”に歓びを創り出すことに貢献する。リコーは、今後もpiglyphの提供を通じて、パートナーと連携しながら、多様な人が集まり共創する場でのコミュニケーションを支援していく考え。




▲TOPへ戻る















2022-7-29


環境に配慮したバイオマス由来の光造形3Dプリンター用インクを開発
~高精細、高靭性、高生産性を実現 バイオマスマークを取得~

リコー


 リコーは、環境に配慮したバイオマス*1由来の材料を使用しながら、高精細、高靭性かつ、高生産性を実現した光造形3Dプリンター用インク「LIFE PARTS(ライフパーツ) Rインク」を開発した。同製品は3Dプリンター用インクとしては初のリコー自社開発製品で、希望のお客様への有償試験出荷を8月1日から開始する。

 Rインクは光造形3Dプリンターを手掛けるディーメック(社長:熊澤 英明)が2021年9月に発売を開始した、SLA昇降方式の3Dプリンター「DARAM3(ダラム スリー)」との組み合わせにより、環境に配慮しながら大型サイズ(300mm×300mm×300mm)の光造形を可能にする。

 背景

 3Dプリンターは現在、様々な方式の装置と、それぞれの方式に合わせた特性のインクが展開されている。一般的な熱溶解積層造形(FFF)方式等は、高熱で材料を溶かす方式のため環境負荷が高く、また工業用途では高額な材料が多いことが、3Dプリンターのさらなる普及の壁になっている。

 LIFE PARTS Rインクの特徴

 Rインクは、リコーの新規事業創出の取り組み「TRIBUS(トライバス)」で採択された社内チームの「WEeeT-CAM(ウィットカム)」が、「理想の形をより早く。みんなに使いやすい。」をコンセプトに開発したもの。UVレーザーで硬化する光造形方式を採用しているため、熱溶解積層造形(FFF)方式等と比較してエネルギー消費が少なく、環境負荷を低減できる。また、一般的な材料と比較して造形時間の短縮にも成功している。紫外線照射で硬化するアクリル系樹脂を採用しながらも、ABS樹脂同等の強度を実現し、高精度のプロトタイプ、流路模型や樹脂型といった、幅広い用途に使用できる。
 原料の一部に生物由来の資源(バイオマス)を使用しており、品質及び安全性が関連する法規、基準、規格等に適合し環境に配慮した商品の目印である「バイオマスマーク」の認定を取得している。

 今後の展開

 リコーは、より環境負荷が低く高い生産性・機能性を追求したインクの開発を進める。日本国内では、自社製品の開発プロセスにおいてRインクを使う事によって、バイオマス由来の材料の普及・促進につとめている。また、今後は海外展開も視野にいれ、Ricoh UK Products Ltd.と連携して、海外での顧客開拓活動を行っていく。

  ※1 バイオマスとは、化石資源を除く、再生可能な生物由来の有機性資源。

 
Rインク




▲TOPへ戻る













2022-7-22


人の歩き方の映像から人物を高精度に照合できる新技術を開発
~富士通~

顔や服装などの情報を使用せずに、人の映り込む位置などが異なる場合でも照合可能


 富士通は、顔などの情報が写っていない映像からでも人の歩き方(以下、歩容)をもとに人物を高精度に照合できる歩容照合技術を開発した。

 本技術は、人の関節点の座標から姿勢を推定する汎用深層学習モデルと、汎用的に照合可能な空間(※1)への変換により人物を照合しやすくする同社の独自技術を組み合わせることで、カメラ映像における人の映り込む位置の違いなどにより照合精度が低下してしまう課題を解決し、顔などの情報を必要とせずに高精度に人物を照合可能としている。同社事業所で約1,700人を対象(※2)に撮影したカメラ映像から作成した大規模データセットを、学習済みの汎用深層学習モデルを用いて照合した結果、これまでの技術では50%未満の精度だったが、本技術では約90%の高い精度で人物を照合することができた。

 同社は、サステナブルな世界の実現を目指す「Fujitsu Uvance」のもと、豊かで持続可能な社会を実現する「Trusted Society」の取り組みを推進しており、本技術について、人々が安心安全に暮らすことのできる街の実現に貢献するため、迷子や高齢者の捜索など様々な場面で活用できるよう実証に取り組み、2023年度までの実用化を目指す。

 背景


 近年、AIを活用した映像解析により、カメラ映像から顔や全身などの特徴に基づき特定の人物を効率良く照合する技術開発が進んでいる。中でも、顔や服装といった特徴が視認できないような映像でも、人の歩容の特徴をもとに人物照合可能な技術の活用が期待されているが、照合時に使用するカメラに映る人のサイズや歩く位置などのデータが学習時と異なると照合精度が低下してしまうという課題があった。より多くの映像データをモデルに再学習させることでこの課題を改善できるが、カメラ映像に映る人のサイズや歩く位置などのすべての条件を網羅した再学習は困難であり、実用化に向けた大きな障壁となっていた。

 開発した技術


 今回、同社は、照合時に使用するカメラ映像内の人のサイズや歩く位置などの条件が、学習時の映像データと異なる条件であっても正確に照合を可能にする、汎用的に適用可能な深層学習モデルを開発した。
 本技術は、事前に取得した人物映像から得られる歩容情報の登録時と、新たに用意した人物映像を入力する照合時の2段階で構成される。

 (1)登録時

  • 関節点の時系列情報を抽出:
    人の複雑な行動を認識する当社のAI技術「行動分析技術 Actlyzer(アクトライザー)」(※3)の姿勢推定技術を用いて、人の関節点の移動における時系列情報を抽出する。
  • 関節点情報の変換:
    得られた関節点の時系列情報は人のサイズや歩く位置などの条件が様々であることから、それらをサイズや位置によらず汎用的に照合可能な空間に投影して関節点情報を変換する。
  • 歩容特徴量抽出:
    変換された時系列の関節点情報から、カメラ映像内の人物特有の歩容の情報である歩容特徴量を抽出し、歩容特徴量データベースに登録する。

 (2)照合時
  • 人物照合:
    新たに入力された人物映像に対して、登録時と同様に、汎用的に照合可能な空間に投影して変換された関節点情報から歩容特徴量を抽出する。あらかじめ登録した人物映像の歩容特徴量と、新たに入力された人物映像の歩容特徴量との類似度を比較することで、人物を照合する。

 本技術の開発にあたり、同社は、社内外の最先端テクノロジーを自ら実践・体験する事業所「Fujitsu Uvance Kawasaki Tower」(所在地:神奈川県川崎市)において、2021年10月から12月末まで、約1,700人を対象に収集した複数のカメラ映像(ゲート通過、廊下移動など)から作成した大規模なデータセットで開発技術を評価した。その結果、カメラ映像に映る人のサイズや歩く位置が異なるといった場合、これまでの技術では50%未満の精度だったが、本技術では約90%の高い精度で人物を照合することができたという。

 
開発した技術による人物照合イメージ

 今後について

 同社は今後も、人文社会科学とデジタル技術を融合するコンバージングテクノロジーの一つとして、行動科学と映像処理の知見を融合し人々の行動を高精度に分析・予測するヒューマンセンシングの技術開発を進め、人々に安心安全をもたらす街づくりに貢献していく。
 また、本技術を用いて、例えば迷子や高齢者の捜索の際に、過去に保護者や家族がスマートフォンなどで撮影した対象者の歩容が分かる映像をもとに、駅や空港、商業施設、公共機関など様々な場所に設置されたカメラ映像から歩容の類似度が高い人物をAIが高精度に特定するなど、従来は人手で行っていた映像の解析作業を大幅に効率化するために様々な場面での実証に取り組み、2023年度の実用化を目指す。


注1 汎用的に照合可能な空間:人の関節点座標について、映像中の人のサイズや位置などの差異による影響を取り除いた、データの特徴が正規化された座標空間。
注2 約1,700人を対象:「Fujitsu Uvance Kawasaki Tower」の通用口を通過する人を対象。撮影にあたっては、実施内容を事前に掲示した上で、カメラに映りたくない人向けに別の通用口を設けて案内を出すなど、対象者の個人情報やプライバシーにも配慮したうえで実施。
注3 行動分析技術 Actlyzer:本技術は、AI画像解析ソリューション「FUJITSU Technical Computing Solution GREENAGES Citywide Surveillance(グリーンエイジズ シティワイド サーベイランス)」の行動検知として商品化済み。




▲TOPへ戻る












2022-7-13


360度カメラを水中でより使いやすく 浮力調整器「STAYTHEE」を開発
~電池不要、水中で一定の場所に留まり、臨場感あふれる撮影を可能に~

 リコー




 リコーは、防水ケースに入った360度カメラに取り付けるだけで、電池不要で水中で中性浮力(浮きも沈みもしない状態)を保つことができる浮力調整器「STAYTHEE(ステイシー)」を開発した。これを受け、STAYTHEE本体とアクセサリーのセットの発売予約受付を、100セット限定で7月20日から開始する。STAYTHEEを使用することで、シュノーケリングやダイビングをはじめとした水中のアクティビティで、360度カメラを水中で静止させて、様々な生き物の自然な姿をとらえたり、撮影者自身をまるで他者が撮影したような構図でカメラに収めることが可能。使い方の工夫次第で、これまで見たことのないような水中の360度映像が撮影でき、マリンスポーツの新たな可能性が広がる。

 背景

 これまで水中における一般のカメラや360度カメラでの撮影では、撮影者の姿勢が安定しないためにピントが外れる、画角にうまく収まらない、警戒心の強い生き物に接近しての臨場感ある撮影が難しいといった課題があった。数十枚、数百枚の写真を撮影してもなかなか思うような写真が撮れず、せっかくのダイビングでも撮影自体に時間を取られすぎてしまうケースもあった。そのような背景から、より簡単にリアルな水中写真を撮影できるような、360度カメラに取り付ける浮力調整器の開発にいたった。

 「STAYTHEE」の主な特徴

 STAYTHEEは、リコーの新規事業創出の取り組み「TRIBUS(トライバス)」から、シュノーケリングやダイビングなどのマリンスポーツを楽しむ方向けアイテムとして誕生した。魚の浮袋の原理からヒントを得て開発され、防水ケースに入った360度カメラに取り付けるだけで、電池不要で水中で中性浮力(浮きも沈みもしない状態)を保つことができ、これまで水中では困難だった撮影が可能になる。たとえば、STAYTHEEを取り付けた360度カメラを水中に浮遊させた状態で手を離せば、撮影者自身が泳いでいる姿をまるで他者が撮影したような構図で撮影できる。さらに、人間がカメラから離れることで、警戒しやすい水中生物とカメラの接近を実現し、よりリアルな自然環境の撮影を行える。また、シリンダを動かすことで浮力の調整ができ、たとえば浮力を重く設定すれば上から沈んでいく映像の撮影ができるなど、360度画像・映像の新たな世界が広がる。

 今回の限定発売ではリコーの360度カメラ「RICOH THETA」およびRICOH THETA専用水中ハウジングケースに対応した形状だが、その他の360度カメラに使用可能な形状のラインアップも今後展開していく考え。

 「STAYTHEE」およびアクセサリーセットの詳細

セット内容
  • STAYTHEE本体

    取り付けるRICOH THETAおよびRICOH THETA専用水中ハウジングケースの形状により浮力が異なるため、下記3形状でのご用意となります。

    1. 「RICOH THETA SC2」およびRICOH THETA専用水中ハウジングケース「RICOH TW-1」
    2. 「RICOH THETA V」およびRICOH THETA専用水中ハウジングケース「RICOH TW-1」
    3. 「RICOH THETA X」およびRICOH THETA専用水中ハウジングケース「RICOH TW-2」

    また、STAYTHEE本体には100番までの通しのシリアルナンバーとお客様のお名前を刻印します。

  • マクロ撮影キット

    浮力調整器 STAYTHEEに連結すると、カメラを海底に寝かせて水中撮影を楽しむことができます。

  • リール付きストラップ

    遊び方が広がるリール付ストラップです。

  • レンズカバー

    水中ハウジングケースのレンズ部を保護するためのカバーです。

価格
 4万8,400円(税込み)
発売セット数  100セット限定
予約期間   7月20日~8月20日

 今後の展開

 今後は、より多くのお客様にお楽しみいただくため、一般発売を目指すとともに、RICOH THETA以外の360度カメラでも使用できるようなラインアップ展開を予定している。また、実際に使用されたお客様のご意見を取り入れ、マリンスポーツなどのレジャー用途だけでなく、研究やビジネスなど様々な用途への展開も検討していく方針。




▲TOPへ戻る















2022-5-31


~NEC~
AIを活用した画像認識において新たな対象物を追加する作業を
大幅に簡素化する技術を開発

 
 NECは国立研究開発法人理化学研究所(以下、理研)と共同で、AIを活用した画像認識において、新たな対象物を追加登録する際に必要となる学習データの作成作業を大幅に簡素化する技術を開発した(注1)。現場でのAI適用の促進に貢献する。

 近年、建設現場や工場における作業や状況の見える化など、様々な用途において画像認識技術の活用が広がっている。しかし、画像認識を新たな建設現場や工場に展開するためには、工具・材料・重機など新たな検知対象を継続的に登録することが必要となる。このような場合、従来は新たな検知対象だけでなく、既存の検知対象についてもAIに対象物の位置とそれが何であるかの情報を教える必要があるため、学習データの作成が利用者の大きな負担となっていた。

 本技術は、AIの学習に曖昧な情報を活用できる「弱ラベル学習」という技術を発展させることで、AIを活用した画像認識に対象物を追加登録するときに問題となる学習データ作成の手間を削減するもの。弱ラベル学習は「学習が不安定になり精度が低下する」という問題があったが、今回NECと理研は弱ラベル学習の安定化と正しいモデルの学習の両方を同時に満たすアルゴリズムを世界で初めて開発した(注2)。なお本技術を活用すると、80種類の検知対象物を含む画像認識において、学習データ作成時間を75%削減できることを確認している(注3)。

 一般的に、AIを活用した画像認識において対象物を追加登録する場合、新たな検知対象のみをラベル付けしたデータでモデルの学習ができれば、作業に必要となる時間を大幅に削減することが可能。
 このようにAIを活用した画像認識の学習データにおいて、一部のみがラベル付けされ、それ以外の領域は何であるかが曖昧な「弱ラベル」が付与されたデータである、とみなして学習する手法として「弱ラベル学習」があります。例えば、トラックやバスなどの車両を認識するAIに新たに「バイク」を学習させる場合、トラックやバスや背景に対してラベル付けしないことは、それらが「バイクではない」という弱ラベルを付与したことに相当する。弱ラベル学習の手法により、このように「バイク」のみをラベル付けしたデータからでも学習可能となり、データ作成の作業工数を大幅に削減できる。


新たな検知対象としてバイクを追加する場合の仕組み 

 完全なラベルが付与されたデータを用いてモデルを学習する場合には、出力値が正解データに近づくようにモデルを最適化する。これに対して、弱ラベル学習では、弱ラベルに基づいてモデルの予測の正しさを逐次推定しながらモデルを最適化するが、ラベルの曖昧性に起因して学習が不安定になり、高精度なモデルを学習できないという問題が知られていた。

完全ラベル学習  弱ラベル学習
 従来の方法  今回開発した方法
(世界初)
学習データ作成 作業量が多く
実現困難
 作業量が少ない  作業量が少ない
学習の安定性   ○  ×  ○
 従来技術との比較

 本技術では、学習時の不安定性を解消するための補正を加えながら学習することで、この問題を解決した。一般に、学習時に補正を加えると、学習が安定する代わりに、本来の目的である「対象物を正しく推定するモデルを学習」できる保証がなくなる。今回NECと理研は、弱ラベル学習の安定化と正しいモデルの学習の両方を同時に満たすアルゴリズムを世界で初めて開発した。
 これにより、弱ラベルが付与されたデータからでも高精度なモデルを学習可能。
 なお本技術は、機械学習・人工知能の分野で著名な国際会議ICML (International Conference on Machine Learning) 2021に採択され、発表している。


※1本技術は、理研とNECの共同研究機関として設立した「理研AIP-NEC連携センター」(2017年4月1日~2022年3月31日)で開発した技術。
※2NEC調べ
※3物体検知の公開データセットMS COCOをベースとして、新たな検知対象をモデルに加えることを想定して試算。具体的には、MS COCOの全80クラスのうち1クラスを新たな対象物とみなして、学習データ作成時に正解付けが必要な矩形数の削減率を計算(80通りの平均値)




▲TOPへ戻る











2022-3-30


SaaS型「初等中等教育向けデジタル教材提供サービス」を提供開始
デジタル教材による児童・生徒の主体的な学びと質の高い学習指導を支援

~富士通Japan~


 富士通Japan(注1)は、ドリルやプリントなどの紙教材を出版する教材会社向けに、全国の小中学校や高等学校の教員および児童・生徒に対する良質なデジタル教材の提供を支援する「Fujitsu 初等中等教育向けデジタル教材提供サービス」を開発し、2022年3月29日より、SaaS型のサービスとして提供開始する。

 本サービスは、新規の教材開発や既存の紙教材をそのままデジタル化できるなど、教材会社におけるデジタル教材の作成から公開までをワンストップで支援する。開発したデジタル教材は、従来の紙教材と同様に教材会社が提携する販売代理店を通じて学校へ直接販売することができる。児童・生徒は、デジタル採点機能により学習を主体的に進めることができ、また、教員は、進級時のサポート機能による年度更新作業の省力化や、学習場所によらない児童・生徒の学習状況の把握など、デジタル教材のメリットを学級運営の効率化や質の高い学習指導に活かすことができる。

 今後も富士通Japanは、GIGAスクール構想が掲げる児童・生徒による主体的な学びの実現に向けて、教材のデジタル化を支援するとともに、学校教育のデジタルトランスフォーメーション(DX)を強力に推進していく。

 背景

 富士通Japanは、学校現場のICTを活用した新たな学びを支援し、良質なデジタル教(注2)材を提供するため、小中学校および高等学校向けのドリルやプリントなどの図書教材を提供する教育同人(注3)、浜島書店(注4)、明治図書出版(注5)とともに、デジタル教材の利活用に向けた共通プラットフォームの開発を2021年12月より開始し、さらに日本標(注6)も本開発に加わり、このほど構築が完了した。富士通Japanは、本共通プラットフォーム上で、SaaS型の「デジタル教材提供サービス」を提供開始する。

 「デジタル教材提供サービス」の特長


 1.デジタル採点機能などにより児童・生徒の主体的な自宅学習を支援
 SaaS型の本サービスは、インターネット経由でデジタル教材にアクセスできるため、GIGAスクール端末を用いた自宅学習にも有効。富士通Japanのドリルシステム「FUJITSU 文教ソリューション K-12 個別学習支援 V1 ペンまーる」で培った高度な手書き文字認識技術を活用したデジタル採点機能により、タッチペンを使いタブレット上で学習した手書き解答を自動採点し、正答をすぐに確認できるため、児童・生徒自身が主体的に自宅学習に取り組むことができる。また、教員も児童・生徒の自宅学習の進捗状況を踏まえた、きめ細かい授業が可能になる。

 2.教材会社におけるデジタル教材の作成から公開までをワンストップで支援
 本サービスでは、既存の紙教材の入稿データを画像として取り込み、解答形式や配点などの設定をするだけで、自動採点が可能なデジタル教材を容易に作成できる教材作成機能を備えている。教材作成機能は筆算や文字のなぞり書きなど多様な解答形式に対応していることから、教材会社はこれまでの紙教材のデジタル化だけでなく、新規教材も容易に作成できる。これら一連の作業はブラウザ経由で行えるため、教材会社は教材開発用の専用アプリケーションなどの新規導入が不要なことから、教材会社の社員は働く場所にとらわれずに教材のデジタル化を推進できる。


デジタル教材の作成イメージ

 
「デジタル教材提供サービス」の提供イメージ

 3.児童・生徒の簡易入力情報を名簿データに自動で反映し、教員の更新作業を不要に
 教員は進級によるクラス替えや入学・卒業、転校・転入などに伴い、3月末から4月にかけて、名簿情報の年度更新作業を行いますが、その際デジタル教材についても児童・生徒とアカウントを紐づけて名簿データの更新が必要なため教員の負担になっていました。本サービスでは、進級時に児童・生徒自身がクラスや出席番号などの情報をプルダウン形式で入力すると、それらの情報が進級時の年度更新にも自動で反映され、教員による更新作業が不要になる児童・生徒管理機能を備えています。

 販売目標

 2022年度末までに、利用者数(児童・生徒)16万人(当社の会計年度は3月末日。)

注1 富士通Japan株式会社:本社 東京都港区、代表取締役社長 砂田 敬之。
注2 図書教材:一般の書店などで販売されている学習参考書類とは異なり、出版取次を経由せず、地域の販売代理店や特約販売店が学校に対して販売している教材。
注3 株式会社教育同人社本社 東京都豊島区、代表取締役社長 森 達也。
注4 株式会社浜島書店:本社 愛知県名古屋市、代表取締役社長 浜島 晃。
注5 明治図書出版株式会社:本社 東京都北区、代表取締役 藤原 光政。
注6 株式会社日本標準:本社 東京都杉並区、代表取締役社長 河野 晋三。




▲TOPへ戻る
















2022-3-23


AI技術を活用しX線画像のノイズを従来処理比で最大50%低減
キヤノンのDRコントロールソフトウエア用画像処理技術を開発

 
 キヤノンは、DR(Digital Radiography)方式※1の医療用X線デジタル撮影装置「CXDI」シリーズ専用コントロールソフトウエア※2で使用可能な画像処理技術として“Intelligent NR”を開発した※3。

CXDI-710C Wireless(2017年7月発売) 

 キヤノンは1998年にDR方式のX線デジタル撮影装置「CXDI」シリーズの販売を開始し、その高い操作性と高画質によりお客さまの好評を得てきた。このほど、AI技術の一つであるディープラーニングを活用することで、これまで以上に粒状感の少ない画像生成を可能にする画像処理技術“Intelligent NR”を開発した。同技術により、医療現場における質の高い診断への貢献を目指すとともに、将来的に少ないX線量での画像生成が可能になることを期待している。

 キヤノン独自のAI技術により従来処理比で最大50%※4のノイズ低減を実現

 キヤノンはこれまでも、X線デジタル撮影におけるX線量低減に関する検討とともに、画像のノイズ低減のための取り組みを行ってきた。キヤノンの従来のノイズ低減処理はルールベース方式を採用し、X線画像におけるノイズの特徴を基に構築された一定のルールに従ってノイズを低減している。この方式ではノイズ処理性能に限界があり、撮影部位や条件によっては粒状感の改善を優先すると被写体の鮮鋭度が低下するなどの課題があった。


 “Intelligent NR”はディープラーニングを活用したキヤノン独自のAI技術で構成され、キヤノンが長年にわたり蓄積してきた「CXDI」シリーズの臨床画像から厳選した約3,000点のX線画像を基に、さまざまな撮影部位におけるノイズの特徴を機械学習している※5これにより、従来のノイズ低減処理と比較し、必要な画像信号を維持しながら不要なノイズを効率的に除去することが可能になり、最大50%のノイズ低減を実現している。

 キヤノンは今後“Intelligent NR”を「CXDI」シリーズ専用のコントロールソフトウエアのオプション機能として、全世界で提供していく考え。

※1X線を蛍光体部分で可視光に変え、その光をイメージセンサーでデジタル画像化する方式。
※2「CXDI」シリーズを用いて撮影した画像をPC等の端末に表示するためのソフトウエア(有償)。「CXDIコントロールソフトウエアV3.10」以上が“Intelligent NR”に対応。
※3対象機種は「CXDI-710C Wireless」、「CXDI-810C Wireless」、「CXDI-410C Wireless」(いずれも2017年7月発売)。
※4同社従来製品(CXDIコントロールソフトウエアV2.19.2)のノイズ低減処理アルゴリズム適用後のノイズ量と比較した場合。
※5“Intelligent NR”はノイズ低減処理の設計段階でAI技術を用いており、本システム自体に自己学習機能は有していない。




▲TOPへ戻る














2022-3-17


産業用インクジェットヘッドを新発売
~高画質と高生産性を両立し、用途に応じて3モデルから選択可能~

リコー

RICOH MH5422 

リコーは、プリンティングシステムの基幹部品として使われる産業用インクジェットヘッド「RICOH MH5422」、「RICOH MH5442」、「RICOH MH5422 Type A」の3モデルを新たに開発し、16日からグローバルで発売する。


 新製品は、独自の高精度化技術による高画質と高生産性を両立する印刷が可能。また、幅広いインク対応力を有し、ノズル面の耐擦性の強化により耐久性が向上。さらに、分離ケーブルおよび高精度な面アライメント品を採用することでシステムの適合性を向上している。
 リコー製ヘッドの第6世代である「RICOH MH5320/5340」(2019年発売)の最新技術を継承したラインアップ強化製品として、多種多様なニーズに対し、より適合性の高いヘッドを選択いただくことが可能。また、従来の「RICOH MH5420/5440」(2012年発売)および「RICOH MH5421/5441」(2017年発売)をお使いのお客様は、標準液滴量が同等の次世代ヘッドとしてプリンターのアップグレードが容易となる。

 リコーは、今後もインクジェットヘッドのラインアップを拡充することで、お客様の多種多様なニーズに迅速に対応していく。また、産業印刷ソリューションによって安心・安全な衣・食・住のグローバル環境の構築に寄与することで、社会問題の解決に貢献していく考え。

 市場の背景

 近年、幅広い分野でデジタル印刷が普及しはじめ、省資源・省人力・消費地生産の加速が期待されている。産業印刷市場においても、デジタル印刷に携わるお客様が増えており、サイングラフィックスやテキスタイル、建材への装飾・加飾などの広がりを見せている。こうしたお客様から、さまざまなインクに対応でき、且つ、使い勝手の良いインクジェットヘッドを求める声が高まってきている。

 新開発インクジェットヘッドの主な特徴

 1. 高画質印刷と高生産性を両立

 1,280ノズル・150npi×4列のノズル配置と標準液滴量7plに加えて、着弾精度・吐出滴速度の均一性が向上し、高画質印刷を実現。また、高周波駆動時の安定性が高まり、最大50kHzの駆動周波数により高生産性を提供する。

 2. インク対応力を強化


 UV、水性、溶剤のすべてのインクに対応。特に水性インクは、前身機「RICOH MH 5421/5441」(2017年発売)の2倍以上の長寿命化*1を実現している。

 3. ノズル面の耐擦性を強化

 高撥水処理技術により、従来ヘッド*2に比べて撥水膜の強度が向上*3。繰り返しのワイピングに対する撥水膜の性能低下を軽減し、長時間の使用でも安定した画像品質を提供する。

 4. システムへの適合性を向上

 ピンアライメント対応モデルに加え、高精度を追求した面アライメント対応モデルをラインアップ。ヘッド搭載時・交換時の取り付け精度と並べやすさが向上し、位置調整が容易。また汎用コネクタを採用した分離ケーブル構造により、ヘッド着脱時の取り扱いの自由度が高まる。

*1同社指定の水性インク・評価方法による結果
*2従来ヘッド:RICOH MH5420/5440およびRICOH MH5421/5441
*3同社指定のインク・評価方法による結果




▲TOPへ戻る














2022-3-15


リコー、小型・軽量の樹脂判別ハンディセンサーを新開発
~循環型社会の実現に貢献 3月16日から開催の「資源循環EXPO」に出展~


 リコーは、手軽に樹脂(プラスチック)材料の判別が行える、小型・軽量の樹脂判別ハンディセンサー「RICOH HANDY PLASTIC SENSOR B150」を新開発した。同センサーは、廃プラスチック排出事業者や中間処理業者など向けに、プラスチックのリサイクルに携わる業務用途として開発したもので、4月よりお客様向けの実証実験を開始する。特別な知識がなくても樹脂材料が判別できるようになることで、廃プラスチックの分別が容易となり、資源の効率的な循環の推進に寄与する。

 リコーは同センサーを、3月16日から18日まで東京ビッグサイトで開催される「第4回資源循環 EXPO」のリコーブースに出展する。同展示会は、サーキュラーエコノミー、海洋プラ対策など循環型社会実現のための専門展。
 「Driving Sustainability for Our Future. ~持続可能な社会を、ビジネスの力で。」リコーは今後も事業を通じた社会課題の解決に取り組み、世の中の役に立つ新しい価値を提供していく。



 背景

 リコーは、マテリアリティ(重要社会課題)の1つとして「循環型社会の実現」を掲げており、①製品を作る段階、②お客様が製品やサービスを利用する段階、③製品使用後という3つのステージのそれぞれで、資源を効率的に循環させるための取り組みを行い、循環型社会の実現を目指している。

 社会全体でも廃プラスチックの分別収集・リサイクルの実現が強く求められており、2022年4月から「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」(「プラスチック資源循環促進法」)が施行される。この法律では、廃プラスチック排出事業者に対して、排出抑制や分別・リサイクルの徹底等の取り組みを求める措置を講じるとともに、排出事業者等の計画を国が認定することで、廃棄物処理法上の許可を不要とする特例を設けることなどが定められている。

 成形しやすく丈夫なプラスチックは、人々の生活のあらゆる場面で使用されているため排出量が多く、適切な分別・リサイクルが急務となっている。また、分別やリサイクルがなされないプラスチックが分解されずに海に流れ込む「海洋プラスチック」が海の環境や海洋生物に悪影響を及ぼしている。しかし、回収時に異なる種類の素材が混在している場合、コストや技術面からリサイクルの難易度が高く、現状では樹脂の判別にあたり高価な設備や熟練者の知識が必要であるため、結果的に焼却処分等にせざるを得ないケースがある。


 「RICOH HANDY PLASTIC SENSOR B150」で提供すること

 リコーは独自技術の応用により、樹脂判別センサーの大幅な小型化および低コスト化を実現した。プラスチック製品の使用後、廃棄・リサイクルする過程で、本センサーを使用することで、プラスチックについて詳しい知識を持たない方でも手軽に樹脂の種類を判別できる。分別が容易となることで、これまでリサイクルできていなかったプラスチックも資源として再活用できる可能性が高まり、リサイクル比率の向上など、循環型社会の実現に寄与する。

 「RICOH HANDY PLASTIC SENSOR B150」の主な特長

 1. 外出先でもかさばらない、軽量・小型の本体

 ・リコーがこれまで培ってきた独自技術を応用した光学キーパーツの自社開発により、大幅な小型化・低コスト化を実現。重さは290g以下、縦76mm、横50mm、奥行き154mmと軽量・小型で持ち運びに便利。
 ・ストラップ用のフックがセンサー本体側にあるため、手首から下げるなど携帯可能。落下防止にも役立つ。

 2. スマートフォンとの連携により瞬時に判別結果を表示

 ・測定ボタンを押下し、約2秒で樹脂の種類を判別。
 ・本体とAndroid™のスマートフォン向け専用アプリをBluetooth®で接続し、本体を測定したい樹脂にあて、測定ボタンを押すだけで、判別結果をスマートフォンで確認できる。
 ・あらかじめ登録してある7種類の樹脂(PE、PP、PVC、PS、PET、ABS、PC)の判別が可能なほか、利用者自身で樹脂の登録が行えるユーザー登録機能も搭載している。

 3. 業務負荷削減・利便性の向上

 ・樹脂の専門的な知識を持たない方でも簡単に判別できるため、熟練者の同行や持ち帰り確認などの業務負荷の低減や、時間の節約が可能。
 ・燃焼によって発生する煙や臭気での判別と比較して、火気を使わないため安全に、人体への影響も抑えて判別できる。

 「資源循環 EXPO」の概要

名称 第4回 資源循環EXPO
会期 2022年3月16日(水)~18日(金) 10:00~18:00(最終日は17:00まで)
場所 東京ビッグサイト
主催 RX Japan株式会社(旧社名:リードエグジビションジャパン)
URA  https://www.resource-expo.jp/ja-jp.html




▲TOPへ戻る













見る角度や光の当たり方により色が変化する「構造色」を
高精細8Kの3DCGで表現する手法を開発

シャープマーケティングジャパン

構造色を持つ重要文化財『油滴天目』(九州国立博物館蔵)


 シャープマーケティングジャパン(SMJ)は、学校法人法政大学 情報科学部 ディジタルメディア学科 実世界指向メディア研究室※1の小池崇文教授の協力のもと、構造色を高精細8Kの3DCGで表現する手法を開発した。

 構造色とは、色素や顔料による発色とは異なり、物体自体は固有の色を持たず、物体表面の微細な構造によって特定の波長範囲の光が反射されることによる発色現象。見る角度や光の当たり方によって色が変化して見えるのが特徴で、タマムシの外殻やアワビの貝殻、シャボン玉などで見られる。

 シャープおよびSMJは、美術品や工芸品、文化財などを8K解像度で3DCG化し、8Kディスプレイ上で細部まで鑑賞できる「8Kインタラクティブミュージアム」を開発。これまで、8Kによる圧倒的な表現力を文化・教育領域で応用し、茶碗や仏像などの鑑賞ソリューションを提案してきた。今般、SMJは小池教授の協力のもと、市販の油滴天目茶碗※2を用い、表面の微細構造による光の干渉を分析。光の当たり方で変化する色の再現方法について検証を繰り返し、3DCGで構造色を表現する手法を開発した※3。これにより、構造色を含むコンテンツの開発が可能となり、8Kの表現力がさらに向上する。SMJは今後も、「8Kインタラクティブミュージアム」のコンテンツの拡充に取り組むとともに、文化資源の8Kデジタルアーカイブ化の促進に貢献していく考え。

 なお、愛知県陶磁美術館(愛知県瀬戸市)に今年3月15日より展示※4される「8K文化財鑑賞ソリューション※5」で、九州国立博物館の協力・監修のもと、本手法を活用して制作した重要文化財『油滴天目』(中国・南宋時代、九州国立博物館蔵)の8K・3DCGコンテンツをご覧できる。 

※1 同研究室に関しては、こちらのWebサイト(https://tk-lab.org/ )を参照。
※2 特殊な技法で焼き上げることで、鉄を主成分とした鉱物が結晶化し、器の内外に油の滴のような小さい斑点模様が見られる茶碗を指す。南宋時代(12~13世紀)に中国南部の建窯(けんよう)で誕生した喫茶茶碗の一種。
※3 詳細は、シャープのプレスリリース(https://corporate.jp.sharp/news/220314-a.html )を確認ください。
※4 詳細は、愛知県陶磁美術館のWebサイト(https://www.pref.aichi.jp/touji/use_guidance/ )を。
※5 「8Kインタラクティブミュージアム」をベースに、独立行政法人 国立文化財機構に属する文化財活用センターおよび東京国立博物館と共同開発した鑑賞ソリューション。直接手に取ったり、間近で観察したりすることが難しい貴重な美術品や工芸品、文化財などの高精細画像を8Kディスプレイに表示し、画像を拡大・回転させながら細部まで鑑賞できる。




▲TOPへ戻る

















2022-3-8


汎用材料が使用できる新しい産業用3Dプリンター開発
- 工業部品として使用できる精度・強度を持った部品の生産を実現 -
=セイコーエプソン=



<産業用3Dプリンター本体>
 
 セイコーエプソンは、独自技術により、さまざまなサイズや機能の工業部品を、汎用的な材料を使いながら、精度と強度を高いレベルで生産できる、新しい産業用3Dプリンターを開発した。これにより、最終製品向けの部品生産など3Dプリンターの対象用途を大幅に広げ、多品種生産に対応するマスカスタマイゼーションの推進に貢献する。

 3Dプリンターは、少量多品種を短納期で生産できる特徴があり、各社、さまざまな産業用3Dプリンターの開発や市場投入を進めており、今後、市場の急拡大が予想されている。しかし、従来の産業用3Dプリンターは、専用の特殊な造形材料を使用する必要があり、また精度と強度を両立させた造形物の生産が困難であったため、最終製品向けの工業部品への活用は限定的だった。

 今回、エプソンが開発した3Dプリンターは、エプソンの小型射出成形機に搭載されているフラットスクリュ*による独自の材料押出方式を採用したことで、一般的に価格が安く入手しやすいペレット材(樹脂・金属)、環境に配慮したバイオマスペレット材、高い耐熱性を実現できるPEEK材など、さまざまな汎用的な材料を使用できることが特長。さらにヘッド内の圧力制御や造形速度と連動したバルブ調整により、材料の射出量を精密に制御するとともに、部品の強度を出す際に課題となる造形面の温度制御も独自機構により繊細に管理することで、造形部品の精度と強度の両立を実現した。このように汎用材料で造形物の精度と強度を両立したことで、最終製品向けの工業部品への展開が実現しやすい仕様となり、お客様の個々のニーズにあわせた多品種部品をより高品質・短納期・低コストで生産するマスカスタマイゼーションの推進に貢献する。

 今後は、まず社内において商業・産業機器などの一部部品の量産に活用しつつ、プリンターの完成度を高め、商品化を目指す。

 なお、今回開発した産業用3Dプリンターは、2022年3月9日から東京ビッグサイトで行われる2022国際ロボット展のエプソンブースで展示する予定。

 エプソンは、産業用3Dプリンターの他にも、環境負荷に配慮した、生産性・柔軟性が高い生産システムを共創し、ものづくりの革新を目指す。




▲TOPへ戻る










NEC、独自の音声認識技術を活用したDX支援サービス
「NEC Enhanced Speech Analysis - 高性能音声解析 - 」を開発


 NECは、独自の音声認識技術を活用したDX支援サービス「NEC Enhanced Speech Analysis - 高性能音声解析 - 」を開発した。第一弾として、NECのクラウド基盤上でテキスト化した音声認識結果を返送することで様々な現場業務のDX化を支援する「APIサービス」ならびに、Web会議の音声をリアルタイムでテキスト化し出力可能な「Meeting Assistant」(注1)を提供開始する。

 近年、ITシステムの活用により様々な業務が自動化されてきたが、問い合わせ対応や設備点検などの各種作業記録はいまだに人手による入力が多く、更なる業務効率化が求められている。

 本サービスを活用することで、例えば建設現場における点検記録や報告書の自動作成のほか、営業や窓口業務における契約時の重要事項説明の証跡記録、コールセンター業務における対応メモの自動作成など様々な業務におけるデジタル化を実現する。

 また、世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大により、企業ではテレワークが普及し、Web会議の利用が拡大している。NECは本サービスを提供することで、迅速な情報伝達によるNew Normal時代の新たな働き方への変革を支援する。

 本サービスは、最新のディープラーニングを活用したNEC独自の音声認識技術を採用しており、従来は実用化が難しかった自由会話の認識精度の高さ、耐騒音性の高さ、また、複数の人が参加している会話でも発言毎に話者識別できることが特長。2月に実施した社内実証では自由会話の認識精度が平均94%と従来製品と比較して10%以上高いことを確認している。

 また、テキスト分析技術(注2)などを組み合わせることで、会話内容の要約やNGワードの自動検出、契約時における証跡作成が可能になる。これにより、音声をより価値ある資源に昇華し、お客様業務のDX化の加速を支援する。


 「NEC Enhanced Speech Analysis - 高性能音声解析 –」の特長

サービス名、価格、提供開始日
サービス名 「NEC Enhanced Speech Analysis - 高性能音声解析 - 」
提供価格 「APIサービス」版900円/10時間~
「Meeting Assistant」版3,000円/10時間~
提供開始日 「APIサービス」版3月7日
「Meeting Assistant」版3月31日


 各サービスの特長

 1.「APIサービス」版について

 音声データをNECのクラウド基盤上でテキスト変換し、音声認識した結果をお客様のシステムへ返送する(注3)。騒音の多い屋外環境にも強いため、建設現場やプラント設備等における現場報告作業など様々な業務の効率化を支援する。

 2.「Meeting Assistant」版について

 Webアプリケーションを通じて発話内容をリアルタイムにテキスト化する。テキスト化は発話者名も自動付記できる他、テキスト変換された発話内容をテキスト形式で出力することも可能。これにより、議事録作成にかかる時間を大幅に削減する。また、会議開始時に議事録タイトルや出席者等の情報を登録することで、過去の議事録の一覧管理も可能。


(注1) Zoomに対応。その他Web会議サービスには2022年6月頃より対応を予定。
(注2) NEC Advanced Analytics -テキスト分析 with Deep Learning
https://jpn.nec.com/tdl/index.html

(注3) 別途、システム構築が必要。




▲TOPへ戻る










2022-2-8


NEC、赤外線カメラ搭載のスマートマスクなどを活用した
消防向け現場活動支援ソリューションを開発


 NECは、暗闇や濃煙下などの視界不良時やGPSの届かない屋内における、迅速かつ安全な消防活動を実現する「現場活動支援ソリューション」を開発した。
 本ソリューションは、赤外線カメラを搭載し暗闇でも要救助者の検索活動を支援するスマートマスクや、GPSが届かない屋内で消防隊員の位置情報をリアルタイムに確認できる屋内位置測位システム、指揮支援機能を搭載したタブレット端末や電子指揮盤によって現場の消防隊員間や指令センターなどとの情報共有・指揮伝達を支援する指揮支援システムから構成される。

 NECは今年度から電子指揮盤と連携した指揮支援システムの提供を開始しており、2023年度までにはスマートマスクと屋内位置測位システムを実用化し、全国の消防への展開を目指している。さらに各システム間のデータ連携強化を進め、消防活動のより一層の迅速化・効率化に貢献していく。


 消防の現場活動は要救助者の救出や消火活動など、一刻を争う対応が必要。こうした中、迅速かつ効率的な現場活動を実現するために、現場活動機材の高度化、情報連携の強化が求められている。また同時に、危険と隣り合わせで活動する消防隊員の安全を確保する必要がある。
 NECは、これまで消防指令システムの開発・構築を通じ、指令管制の高度化や効率化に貢献してきた。今回、先進技術を活用した現場活動支援ソリューションによって、消防の現場活動の迅速化と効率化、更に消防隊員の安全性向上に貢献していく考え。


 現場活動支援ソリューションの概要

 1. スマートマスク

 火災現場などで消防隊員が着装する空気呼吸器の面体に、ヘッドマウントディスプレイと赤外線カメラ・可視光カメラを搭載し、赤外線カメラ映像により暗闇や濃煙下での活動や要救助者の検索活動を支援する。また、現場隊長や指揮本部との無線技術によるネットワーク化により、リアルタイムな情報共有ができる。
 消防隊員の活動時の視界を妨げないよう透過型のヘッドマウントディスプレイを採用し、赤外線カメラ映像に加えて空気ボンベの残圧、現場隊長のタブレット端末から送られる様々な指示情報などが投影できる。このような面体用に専用設計されたフルカラー表示のヘッドマウントディスプレイを内蔵し、外部と双方向の情報伝達を実現する仕組みは世界初となる。
 なお、本スマートマスクは、エア・ウォーター防災、重松製作所と共同開発した。また、本開発は総務省消防庁の「消防防災科学技術研究推進制度」における令和元年度・2年度採択の委託研究(代表研究機関:一般財団法人日本消防設備安全センター)として実施したもの。


 スマートマスク

 2.屋内位置測位システム

 GPSが届かない屋内で、予め設置された位置情報を取得するためのインフラを必要とせずに、モバイルビーコンを装着した消防隊員の位置情報を確認できる屋内位置測位システム。現場到着時にアンカービーコンを設置することで、複数の消防隊員の現在位置がリアルタイムにタブレット端末に表示され、活動状況の把握が可能となる。
 本システムは、NEC北米研究所が開発したUWB(Ultra Wide Band)を用いた屋内位置測位の特許技術である「TrackIO」を活用している。またNECの子会社で新事業の創出を推進するNEC X, IncとNEC北米研究所が、本システムの実証実験を北米の消防機関で進めている。

 3.指揮支援システム

 指揮支援機能を搭載したタブレット端末や電子指揮盤によって、現場の消防隊員間や指令センターとの情報共有・指揮伝達を支援するシステム。2017年から複数の消防で導入実績のある指揮支援システムのノウハウを活かし、今回、指揮支援タブレット端末と電子指揮盤との情報連携を実現する新たな指揮支援システムを開発した。
 指揮支援タブレット端末は、現場の消防隊員や現場隊長、指揮本部、指令センター間を相互かつリアルタイムに情報共有することができる。電子指揮盤は、これまで紙や無線通信などで行っていた火災現場や救助等における指揮本部の運用をデジタル化し、防水仕様により雨天でも使用可能。電子指揮盤は、リコーのRICOH eWhiteboard 4200(大型電子ペーパー)を活用している。
 なお、新たな指揮支援システムは今年度から提供を開始している。

 本ソリューションは、「NEC Safer Cities」(注8)実現に向けて、消防現場のデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速・強化するもので、安全・安心・公平・効率な社会の実現に貢献していくもの。




▲TOPへ戻る











2022-1-24


ハイケムとリコー、
超臨界二酸化炭素を用いた 高分子量 PLA 量産化の共同開発を開始



植物と空気からできた新素材「PLA」


 ハイケム(本社︓東京都港区 )とリコー は、脱炭素社会の 実現やマイクロプラスチックによる環境汚染低減といった社会課題解決への貢献を目指し、生分解性のバイ オマスプラスチックである高分子量 PLA*1 を、超臨界二酸化炭素を用いて量産化するための開発を共同で行うことに合意し、基本合意書を 2021 年 11 月 25 日に締結した。
 *1 高分子量 PLA︓重量平均分子量 30 万以上のポリ乳酸

 リコーの「高分子量 PLA」製造技術とは︖〜超臨界⼆酸化炭素で強靭な PLA を製造〜

 PLA はトウモロコシなどに含まれるデンプンを原料とした植物由来のプラスチック素材。焼却しても 大気中の二酸化炭素を増加させない(カーボンニュートラル)ため、化石由来のプラスチックよりも環境負 荷が低くなる。また、一定の環境下で水と二酸化炭素に分解する(生分解性)ため、マイクロプラスチ ック化しても自然環境下で分解し、環境汚染の低減が期待できる。一方で、化石由来のプラスチックと比 べると分子量が低く、化学構造が単純なため、強度や耐熱性が低いことが問題になっている。リコーは、 これまで培ってきた超臨界二酸化炭素を用いた可塑化重合法で、高分子量 PLA を製造する技術を保有してい る。

 『ハイケム × リコー』だからできること 〜高分子量 PLA 共同開発の目的〜

 今般の共同開発の目的は、リコーが保有する重合技術を検証し、高分子量 PLA を試作することで、より付加 価値の高い製品を世の中に提供していくこと。将来的には、高分子量 PLA の量産化実現を目指していく。この共同開発を実現させることで、リコーの開発した発泡 PLA シート「PLAiR(プレアー)」の品質 向上や、ハイケムが開発した PLA 繊維「Highlact™(ハイラクト™)」の品質向上、工業用品などに用いら れる耐熱性の高いエンジニアリングプラスチックなどへの用途開発を図る。さらには、この高分子量化の技術を生分解性樹脂へも展開したいと考えている。なお、本プロジェクトは、 ハイケムの東京研究所(千葉県柏市)と、リコーの沼津事業所(静岡県沼津市)およびリコーテクノロジー センター(神奈川県海老名市)にて実施する予定。 リコーがこれまで培ってきた技術力とハイケムの日中の架け橋としての実績を掛け合わせることにより、 社会課題の解決につながる新しい PLA 製品を一日も早く世界のより多くの人々に提供できる未来を実現していく。


 ■生分解性プラスチックにおけるリコーの強み

 1.「環境経営」への取り組み
 リコーグループは、1998 年から環境保全と利益創出の同時実現を 図る「環境経営」に取り組んでいる。脱炭素型社会の実現に向け、 化石由来プラスチックの代替素材普及は喫緊の課題。リコーは PLA を原料としたバイオマスプラスチックを複合機の部材として採 用したり、独自技術により PLA を発泡させた「PLAiR」を開発・販売 している。

 2.PLA をはじめとする⽣分解性プラスチックの成型加工技術
 PLA は成形加工が難しいため、改質のために化石由来の樹脂を混合する場合がある。すると、カーボ ンニュートラルや生分解性といった利点が損なわれてしまうことに加え、加工費などでコストが高くなって しまうため、市場への投入が進んでいない。 リコーは、これまで培ってきた超臨界二酸化炭素の技術を PLA の重合反応に応用することで、PLA の分子 量を高めたペレットの生成に成功した。添加剤や他の化石由来樹脂を混ぜる必要がなくなるため、成型 加工品のコストアップを抑制できることに加え、環境負荷の低い PLA の利点を損なうことなく素材の高強度化が可能。


 ■生分解性プラスチックにおけるハイケムの強み

 1.生分解性プラスチックのトータルソリューションを提供
 ハイケムは中国最大の PLA メーカー豊原集団と事業戦略パートナーシップ契約を締結するなど、生分解性 プラスチックのマーケット開拓にいち早く取り組んできた。また、PLA だけでなく PBAT(ポリブ 植物と空気からできた新素材「PLAiR」 チレンアジペート/テレフタレート)や PHBV など合計 7 種類の生分解性プラスチックを輸入する体制を整えており、生分解性プラスチックのトータルソリューションカンパニーとなるべく活動を強化している。

 2. PLA 繊維のマーケットを開拓
 ハイケムでは、CHEMTEX(CHEMICAL=ハイケムがこれまで 培ってきた化学分野でのチカラ × TEXTILE=日本の卓越した 伝統的な織物技術や染色技術)により実現した、次世代 PLA 素材 HIGHLACT(ハイラクト)を 2021 年 12 月 1 日に発表 した。ハイラクトでは、樹脂原料から生地までの一貫生産管理 によるPLA 繊維の品質向上を実現しており、アパレルメーカーな どへ対しマーケット開拓を行っている。また、日中の架け橋と して培ってきた市場開拓⼒を武器に、中国をはじめとする世界の生分解性マーケットの市場を開拓していきたいと考えている。


 ハイケム株式会社 概要


 ● 会 社 名︓ ハイケム株式会社
 ● 所 在 地︓ 東京都港区⻁ノ門1丁目3番1号 東京⻁ノ門グローバルスクエア 11 階
 ● 代表取締役︓ 高 潮(たか うしお)
 ● 事 業 内 容︓ 化学品の輸出入販売・受委託製造/技術ライセンス関連業務/触媒製造販売/
  生分解性材料輸入販売等 ハイラクト™生地




▲TOPへ戻る











2021-12-16



不整地を安定かつ高効率に移動できるロボットを開発

清水建設と共同で建設現場での実証実験を実施



 ソニーグループは、不整地を安定かつ高効率に移動できるロボットを新たに開発した。

 同機は、接地部分に車輪アクチュエーターを搭載した6本の脚構造を持つ「6脚車輪構成」。平地では車輪移動を行い、階段などの段差の昇降では脚移動と車輪移動を併用する。これにより、整地・不整地が混在する環境においても、安定かつ高効率な移動を実現している。
 また、ロボット関連技術の国際学会「IROS(International Conference on Intelligent Robots and Systems)2021」にて発表した4脚歩行ロボットの設計思想を継承しており、動作中・静止中ともに機体の脚部にかかる負荷を分散することが可能。これにより、最大20kgの可搬重量と高いエネルギー効率を実現している。ソニーグループの研究開発組織であるR&Dセンターが開発した。

 主な特長

 「6脚車輪構成」による常時安定かつ効率的な移動性能


 同機は、接地部分に車輪アクチュエーターを搭載した6本の脚構造を持つ「6脚車輪構成」。環境に合わせて、車輪アクチュエーターを駆動させる「車輪移動」と、6本の脚を交互に動かす「脚移動」をハイブリットで行うことができる。平地では車輪移動を行い、階段などの段差の昇降においては脚移動と車輪移動を併用します。脚移動のみを行う場合よりも速く、かつ平地から段差へ移る際にも速度を保ちながら、効率的な移動が可能。また、6脚構成により、機体と地面が常時3点で接する設計となっているため、整地・不整地を問わず、前後に揺動しない滑らかな重心移動を実現している。

 機体への負荷を分散させるメカ構成により実現した高い可搬重量とエネルギー効率

 「IROS (International Conference on Intelligent Robots and Systems)2021」にて発表した4脚歩行ロボットの設計思想を継承し、機体の脚構造やモーターへの負荷を分散させるメカ構成を採用している。これにより、最大20kgの高い可搬重量を実現している。またロボットが静止している際に必要な自重を支えるためのエネルギー消費量も削減できるため、高いエネルギー効率を実現している。これらの特性により、重い荷物を運搬するだけでなく、360度カメラや測量機器を機体に搭載することも可能。静止画・動画の撮影による巡回・監視作業や測距作業への応用が期待できる。


ロボット脚部の構造(イメージ)

 機体の振動抑制や外力適応など、高度な機体制御

 さまざまな産業での実用化を想定しており、人と同じ空間で動作する場合でも、安全かつ安定した機体制御を自律的に行うことができるシステムを構築している。例えば、ロボットの関節部にかかる力を柔軟に制御する、ソニー独自の全身協調制御システムにより、路面が安定しない不整地を移動する際にも、動作を安定することができる。また、外部から力をかけられた際には、衝撃を最小限に抑えるために、自律的に力を逃がす方向に回避行動をとる。今後は、機体の安定制御に加え、移動経路の策定など、移動に関する自律性能の向上を目指す。

 瞬間出力を強化するEDLC電気システム

 脚移動時には、瞬間的に大電流が必要となるが、電気二重層キャパシタ (EDLC: electric double-layer capacitor)を搭載することにより、ピーク電流に対応する。また、EDLC搭載により、バッテリーのサイズを抑えたまま、機体の小型化を実現している。今後は、更なるバッテリーの効率化や機体の小型軽量化を進めていく。



▲TOPへ戻る












2021-12-15


暗闇でも色再現性の高いカラー撮影を実現し暗視用カメラに革新
世界最高画素数の320万画素SPADセンサーを開発


キヤノン

13.2mm×9.9mmの320万画素SPADセンサー(プロトタイプ)
*表記は有効画素部分のサイズ



 キヤノンは、検出した微弱な光の粒子を独自の画素構造により効率よくとらえ、大量の電子に増倍させることで、暗闇でもフルHD(約207万画素)を超える世界最高
※2
の320万画素のカラー撮影が可能な13.2mm×9.9mmの超小型SPADセンサーを開発した。2022年後半より生産を開始します。また、同成果は、2021年12月11日より開催されているIEDM
※2
において、非常に競争率の高いLate News Papers
※3
に採択された。


 
SPADセンサーは、画素に入ってきた光の粒子(以下、光子)を1つひとつ数える仕組み(フォトンカウンティング)を採用している。また、1つの光子が雪崩のように増倍し、大きな電気信号を出力する。CMOSセンサーは、溜まった光の量を測定する仕組み(電荷集積)で、集めた光を電気信号として読み出す際に画質の低下を招くノイズも混ざってしまいるが、SPADセンサーは仕組み上、読み出す際にノイズが入らないため、暗い所でもわずかな光を検出し、ノイズの影響を受けずに被写体を鮮明に撮影したり、対象物との距離を高速・高精度に測定したりすることができる
※4


 
今回開発したSPADセンサーは、画素内に光子を反射させる独自の画素構造により、有効画素面全体で効率よく光子を検出し利用できる。同一照度下において、一般的なCMOSセンサーの10分の1の画素面積で、同等の撮影が可能。そのため、小さなデバイスにも搭載可能な超小型でありながら、近赤外線域を含む感度が大幅に向上し、星の出ていない闇夜よりも暗い0.002lux(ルクス)の環境下において320万画素での動画撮影を実現する。暗視や監視用のカメラに本SPADセンサーを搭載することで、暗闇でも、あたかも明るい場所で撮影したかのように、明るい場所にて肉眼で見た色と同じ色で対象物の動きを捉えられるようになる。


 キヤノンは2022年後半より、自社のセキュリティ用ネットワークカメラ製品に搭載するSPADセンサーの生産を開始する。革新的なセンサーを搭載し、安心・安全な社会の構築に貢献する製品の競争力を高める。


 また、SPADセンサーは、100ピコ秒(100億分の1秒)レベルの非常に速い時間単位で情報を処理することができるため、光の粒のような、高速に動くものの動きをとらえることが可能。フルHDを超える高解像度、わずかな光をとらえられる高感度性能に加え、この高速応答の特長を生かして、自動運転や医療用の画像診断機器、科学計測機器などに用いるセンサーとして幅広い活用が見込まれるため、積極的に外販活動を展開し、社会の変革やさらなる発展に寄与していく考え。


※1SPADセンサーにおいて。2021年12月14日現在。(キヤノン調べ。)

※2
※2International Electron Devices Meeting(国際電子デバイス会議)の略。半導体デバイス分野で最も権威のある国際学会。

※3
※3最先端技術を盛り込む論文として、IEDMの採択論文の中でも非常に競争率が高い枠組み。

※4※4SPADセンサーの仕組みやCMOSセンサーとの違いの詳細は、下記URLのキヤノンテクノロジーサイトをご覧ください。 URL:https://global.canon/ja/technology/spad-sensor-2021.html




▲TOPへ戻る













2021-11-24


ペットボトルへの直接レーザーマーキング技術が、「アサヒ 十六茶」に採用

~完全ラベルレス
の実現
で、プラごみ削減や資源リサイクル推進に貢献~


 リコーは、プラスチック容器に直接文字やデザインをレーザーマーキングする技術を開発し、第一弾として、アサヒ飲料(社長:米女 太一)が12月21日からAmazon.co.jpで1,200箱限定のテスト販売を行う「『アサヒ 十六茶』PET630ml ダイレクトマーキングボトル」に採用された。シュリンクラベルやタックシールなどを使わずに、商品名や原材料名などをペットボトルにレーザーで直接書き込むことで、食品表示法などで規定された情報表示を完全ラベルレスで実現している。

 リコーは重要社会課題(マテリアリティ)の一つに「循環型社会の実現」を掲げている。同技術の活用により、ペットボトル飲料などのラベルやシールといったプラスチックごみ(プラごみ)を削減すると同時に、分別時の手間を省くことで、プラスチック容器の効率的な資源リサイクルへの貢献を目指す。
 「Driving Sustainability for Our Future. ~持続可能な社会を、ビジネスの力で。」リコーは今後も、事業を通じた社会課題の解決に取り組み、世の中の役に立つ新しい価値を提供していく考え。


 技術の特徴
  1. 光学技術

    ペットボトルのごく表面のみ(数十ミクロン)の加工にとどめることで、ペットボトルの品質に影響をあたえずに描画

  2. レーザー制御技術

    細かい描画ができるため、成分表示などの小さな文字(約6pt)から、ロゴマークやイラストに至るまで幅広く表現

  3. 描画プロセス技術

    描画部分がより白く見えるように光の散乱状態をコントロールすることで、視認性の高い表示が可能


 商品情報

商品名 『アサヒ 十六茶』PET630ml
ダイレクトマーキングボトル
中味 清涼飲料水(十六茶)
容器・容量 PET630ml×24本/箱
希望小売価格
(消費税・送料別)
3,360円/箱(税抜き)
3,628円/箱(税込み)
発売日 12月21日(火)
発売地域 全国




▲TOPへ戻る












2021-11-19


自宅での印刷状況が把握できる企業向けプリントサービスを開発
- 在宅勤務時における印刷の課題を解決し業務効率向上へ -


エプソン販売


 エプソンは、クラウドサービス「Epson Connect」を使用し、在宅勤務時における印刷履歴をエプソンのポータルサイトで把握できる新サービスを開発、2022年2月にサービスを開始する。企業は同本サービスを利用することで、印刷ファイル名、印刷枚数、用紙サイズ、カラー/モノクロなどの従業員の印刷情報を把握することができ、自宅での印刷におけるセキュリティ向上に加え、印刷費補助の検討にも役立てる。さらに、従業員が自宅で印刷できることによる業務効率化に貢献する。



 コロナ禍において在宅勤務の流れが加速し、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置期間が明けても在宅勤務を継続する人が増えている。総務省もテレワーク推進によるワークライフバランスの向上を基本方針に掲げており、今後も働き方のひとつとして、在宅勤務を推奨・導入していく企業が増えていくことが推測される。

 エプソンでは、在宅勤務における印刷状況について調べたところ、従業員1,001名以上の企業で、自宅でのプリンター利用が認められている割合は42%と半数に及ばず、従業員の「印刷環境」が整っているとは言い難い状況だった。またその背景には、従業員の印刷履歴を企業側が把握できず、印刷監視ができないといったセキュリティ上の課題があることも判明した。同サービスでは、企業が従業員の業務に関わる印刷のログを取得することで、従業員の情報漏えいリスクを事前に抑制するだけでなく、万が一漏えいした際にも印刷ログによる追跡が可能となり、安全な印刷環境を提供する。

 【サービス概要】

 主な内容:
  • クラウド(Epson Connect)を経由させ、自宅に設置した対応プリンターへ印刷。
  • 専用プリンタードライバーにより、印刷ログを取得できるのでセキュアな印刷環境を実現。
  • 企業管理者が、エプソンのポータルサイトで業務に関わる印刷ログを確認することが可能。

 対象機種:

 【調査結果】

 ◆あなたの勤務先では、在宅勤務時に、書類や画像などのプリントアウトのためのプリンター利用が認められていますか


認められている(プリンター利用可) 現在は認められていないが今後認められる計画がある 認められていない(プリンターの利用ができない) そもそもプリンターの利用が必要な業務がない 明確なルールがない
全体 46% 7% 14% 7% 26%
従業員10名以下 55% 1% 3% 10% 30%
従業員11~100名 41% 5% 15% 7% 31%
従業員101~1,000名 44% 10% 11% 8% 27%
従業員1,001名以上 42% 10% 28% 3% 17%

<アンケート調査人数:620名 エプソン調べ>




▲TOPへ戻る











2021-10-11


NEC
国内企業で初めてISO規格に適合した顔認証のなりすまし検知技術を開発
~モバイル端末におけるオンライン顔認証の信頼性を向上~



 NECは顔認証を行う際に、写真、ディスプレイ表示、3Dマスクなどによるなりすましを高精度に検知する技術を開発した。同技術は国内企業で初めて(注1)、国際的な独立系第三者品質保証機関「iBeta(本社:米国・コロラド州、アイベータ)」による試験において、ISO規格に適合している。このため、特にモバイル端末での利用に最適化しており、利用が拡大している顔認証を用いたオンライン本人確認などの信頼性向上に貢献する。

 iBetaは、様々なソフトウェアの品質保証サービスをグローバルで展開しており、特に生体認証の品質保証においては、世界的に権威のある米国国立標準技術研究所(NIST、注2)から認定を受けている機関。顔認証のなりすまし検知ソフトウェアの品質保証については、ISO規格に準拠した基準として、顔写真およびディスプレイに表示した顔画像の受入率(注3)0%(レベル1)と、3Dマスクやマネキンなどの受入率1%以下(レベル2)が設けられている。

 NECはこのほど、生体認証「Bio-IDiom」(注4)の中核技術であり、世界No.1の認証精度(注5)を有する顔認証技術の研究開発で培ってきたノウハウを活かし、なりすましを高精度に検知する技術を開発した。同技術は、iBetaのなりすまし検知ソフトウェア品質保証基準のレベル1に加え、上位となるレベル2にも適合した。さらに本人の顔の拒否率(注6)についても、iBetaの基準である15%以下を大幅に超えた5%以下を実現している。一般的に、低いなりすまし受入率と本人拒否率は両立しえないが、同技術ではその両方を実現している。
 また、コンピュータリソースが限られているスマートフォンやタブレット端末などで動作できるよう、なりすまし検知の処理を軽量化した。これにより、決済アプリケーションやwebサイトなどモバイル端末上で顔認証を行う際も、スムーズななりすまし検知と防止が可能となり、高い精度と信頼性を両立したオンライン本人確認に貢献する。

 NECは今後、同技術を用いてモバイル端末向けアプリケーションに加えて、企業・施設・イベント会場の入退場ゲートや決済端末など、様々なシーンに対応した製品を提供し、顔認証の信頼性向上に貢献していく考え。


(注1) 2021年10月8日時点でのiBeta公式サイト(ISO 30107-3 PRESENTATION ATTACK DETECTION CONFIRMATION LETTERS)の情報に基づ
(注2) NIST: National Institute of Standards and Technology(米国国立標準技術研究所)の略。技術革新や産業競争力を強化するために設立。
(注3) 他人が本人になりすまして顔認証を行った際に、本人であると誤って認識してしまう率。
(注4) 「Bio-IDiom(バイオイディオム)」は、顔、虹彩、指紋・掌紋、指静脈、声、耳音響など、NECの生体認証の総称。世界トップクラスの技術や豊富な実績を活かし、ニーズに合わせて生体認証を使い分け、あるいは組み合わせることで、「誰もが安心してデジタルを活用できる世界」を実現していく。
(注5) プレスリリース NEC、米国国立機関による顔認証精度評価で第1位を獲得
https://jpn.nec.com/press/202108/20210823_01.html

(注6)
本人が顔認証を行った際に、本人ではないと誤って認識してしまう率。





▲TOPへ戻る

















2021-10-8


作業現場の事故防止に貢献するフォークリフト用ステレオカメラを開発、量産

~リコーインダストリアルソリューションズ~




 
リコーインダストリアルソリューションズは、産業車両業界向けに、フォークリフト用ステレオカメラを豊田自動織機と共同開発した。


 開発の背景

 人と物が混在するフォークリフトの作業現場において、車両と人・物の接触事故の発生を抑制するため、フォークリフト作業における安全性向上に対するニーズが高まっている。リコーインダストリアルソリューションズは、車載ADAS(Advanced Driver Assistance System:先進運転支援システム)用ステレオカメラで培った独自の光学設計技術、キャリブレーション技術、リアルタイム視差演算技術をフォークリフト用ステレオカメラに転用することで、フォークリフトの複雑な環境下において、周辺の障害物の中から人、物を立体的にとらえ、高精度に検知することを可能にした。

 新開発のフォークリフト用ステレオカメラを搭載した「SEnS*1」は、検知エリア内の障害物の中から人を見分けて、通知ブザーと通知ランプでオペレーターに接近を知らせる安全運転支援システムとして、2021年5月から豊田自動織機が全国40社のトヨタL&F取扱店を通じて販売している。2021年8月には新たに車両と連動し、走行速度や発進を制御する機能が加わり、後方作業者検知運転支援システム「SEnS+(センスプラス)*2」が発売となった。

 
製品の特長


 同製品は、広角化技術により水平角130°という広範囲の検知を実現しており、さらに3次元をベースとした認識技術により、従来の作業者にタグを携帯させ検知する方式とは異なり、不特定多数の人に対してタグ携帯なしでの検知が可能になっている。また、厳しい使用環境にあるフォークリフトの現場においても動作可能なIP67*3という高い耐環境性能を有している。さらに、画像処理・電源機能をカメラ内に実装することで小型化、ワンパッケージ化を実現し、取り付けや運用も容易になり、現場で稼働している既販のフォークリフトへの装着も可能にしている。

 
SDGsへの貢献


 フォークリフト用ステレオカメラの開発は、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の「#3:すべての人に健康と福祉を」および「#11:住み続けられるまちづくりを」の推進支援を念頭に置いたもので、様々な障害物を検知・回避するための光学技術や視差演算技術などを活用し、オペレーターならびに周辺環境の安全性向上への寄与を狙いとしている。

 
リコーインダストリアルソリューションズは、今後もニーズが拡大・高度化する先進運転支援システム分野にとどまらず、産業車両、建設機械に向けてステレオカメラを提供するとともに、取得した三次元立体情報を活用して、お客様の働く現場を可視化し、リコーグループが将来の価値と位置付けたデジタルサービスを提供することで、安心・安全な社会の実現に貢献していく考え。


*1 SEnS:Smart Eye Sensor
*2 SEnS+:Smart Eye Sensor Plus コンパクト電動フォークリフト「Ecore(エコア)」のオプションとして発売
*3 IP67:IEC(国際電気標準会議)、およびJIS(日本工業規格)で定めている電気機器内への塵や水などの異物侵入に対する保護等級のうちの1つ




▲TOPへ戻る


















2021-10-5


ディスプレイに直接触れずに操作が可能な「静電ホバータッチディスプレイ」
シャープ
が開発

飲食店のセルフオーダー端末などのタッチレス操作を実現し、高まる“非接触”ニーズに対応



 シャープは、ディスプレイに触れずに、指を浮かせた状態で操作できる「静電ホバータッチディスプレイ」を開発した。各種端末やデジタルサイネージのタッチレス操作を実現し、高まる“非接触”ニーズに対応する。

 同ディスプレイは、静電容量方式のタッチパネルを採用している。新開発の高感度タッチコントローラーにより、ディスプレイの表面から最大約5cm離れた位置にある指を高精度で検知。ディスプレイに直接触れることなく、指を浮かせた状態で操作することが可能。手袋※1をした指もしっかりと検知する。また、同ディスプレイは横向き設置はもちろん、縦向き設置や斜め置き※2にも対応している。ディスプレイの表現力を活かし、画面上に操作ガイドを表示したり、指を検知したら効果音を鳴らしたりすることで、直感的なユーザーインターフェースを実現する。

 サイズは、15インチ程度の中型から、55インチ程度の大型まで、幅広く展開が可能。店舗のセルフオーダー端末、公共施設・商業施設の受付端末や案内用デジタルサイネージなどに搭載することで、さまざまなシーンにおける“非接触”ニーズに応える。そのほか、高い水準の衛生管理が求められる食品・薬品工場や手に油や汚れが付着しやすい生産現場などで使用する機器にも応用可能。

 同ディスプレイは、今年10月19日から22日まで開催される「CEATEC 2021 ONLINE」に出展する。飲食店やショッピングモールなどにおける活用を提案する。

※1 手袋の素材や厚さにより、検知できない場合がある。
※2 上向き0~20°、45°の斜め置きに対応している。




▲TOPへ戻る










2021-10-1


NEC
商品を手に持ってカメラの前で動かすだけで画像認識に必要な登録作業を
即座に完了できるAI技術を開発



 NECは、小売業や物流業向けに、画像認識による商品管理に不可欠な商品登録作業において、商品を手に持ってカメラの前で動かすだけで、どこでも素早く商品を自動登録できる「画像認識向けインスタント物体登録技術」を開発した。同技術により、従来、1つの商品あたり約30分かかっていた人手による正解付け作業を自動化し、商品登録作業を大幅に容易化する。今後、同技術の開発を強化し、2022年度の製品化を目指す。

 近年、小売業や物流業などでカメラを用いた画像認識による無人決済や棚商品管理、出荷検品といった商品管理の取組みが拡大している。画像認識による商品管理には、あらかじめ各商品の画像を多数枚撮影して画像認識モデルを構築する商品登録作業が必要になる。従来の商品登録作業では、回転台撮影装置などの専用撮影機材による商品撮影や、撮影した各画像に対して商品領域の切り出しやブレをはじめとする不適画像の除去といった人手による正解付け作業が必要だった。
 毎月数百の商品が入れ替わるコンビニやスーパーなどの小売業、管理する物品が現場ごとに多岐にわたる物流業では、新たな商品や物品の登録が常時必要となるため、従来の商品登録作業は時間的・人的コストが大きな負担となっていた。また、専用撮影機材の導入や人手による正解付け作業が必要なため、小売店舗などの商品管理を行う現場での商品登録が困難だった。

 今回開発した「画像認識向けインスタント物体登録技術」は、商品を手に持ってカメラの前で動かすだけで画像認識モデルへの商品登録を完了できる。これにより、従来必要であった専用撮影機材での撮影や人手による正解付け作業が不要になる。


 技術の特長

 1.カメラ1台だけで簡単撮影、任意の場所での商品登録が可能

 同技術は、商品を手に持ってカメラの前で10~20秒回転させるだけで、商品の画像認識に必要な多数面の画像を学習データとして自動収集する。専用撮影機材が不要でカメラ1台だけで撮影できるため、これまで実現が困難であった小売業や物流業の現場での手軽な商品登録が可能。小売店舗における店舗限定商品の登録や、倉庫や工場ごとに取り扱われる物品をその場で即座に登録できる。

 2.人手による正解付け作業をAI技術で自動化

 同技術は、撮影した商品が画像内で動いていることを利用して人手による正解付け作業をAI技術で自動化し、画像認識モデルを自動的に構築する。具体的には、カメラ画像から動いている前景である商品と動いていない背景を分離することで、どのような複雑な背景であってもきれいに除去し、商品の画像領域だけを正確に切り出す。さらに、商品を動かすことによって発生する画像のブレや、手による隠れなどの学習データとして不適切な画像を自動的に除去する。




▲TOPへ戻る














2021-9-27


SMBC日興証券と富士通が
書面手続きを電子化するシステムを開発
~個人のお客さまにおける手続きの期間短縮と負担軽減を実現~
 



 SMBC日興証券と富士通は、
27日
、SMBC日興証券の個人のお客さまが行う書面手続きを営業担当者のiPadで完結させるシステムを開発し運用を開始した。
 取引に関する確認書類などが電子化され、申込み書類などの記入や押印、郵送が不要になるため、手続きにかかる期間短縮と負担軽減が実現される。

 従来、SMBC日興証券では、個人のお客さまが行う手続きにおいて、お客さまが記入・押印された書類を本社にて手続き処理する業務を行っていた。そのため、記入漏れなどによる不備への対応が発生した場合、郵送でのやりとりなどにより手続きの完了までに時間がかかっていた。2020年8月からは、営業担当者のiPad上で口座開設や届出事項の変更手続きをしていただけるようになったが、それ以外の取引などの手続きに関しては、これまで通り書類での手続きが必要だった。

 このほど、SMBC日興証券と富士通が開発したシステムにより、SMBC日興証券の個人のお客さまの手続きに必要な書類の電子化を進め、手続きにかかる期間短縮と負担軽減を行い、さらなる利便性向上に努めるとともに、手続きの電子化を行うことでペーパーレスの一層の推進を図っていく考え。

 システムの特長

 1.入力の簡易化、本人確認書類の読み込みで手続きの利便性向上、手続き期間の短縮を実現
 同システムは、SMBC日興証券にご登録いただいているお客さま情報と連携しており、住所などの基本情報が自動入力され、入力項目の一部が省略される。また、入力不備のチェックは本システムにより自動で行われる。さらに、運転免許証などの本人確認書類はiPadのカメラ機能を使って撮影することができ、押印も不要。
 これにより、これまで最長で1週間程度、最短で1日~2日程度かかっていた手続き完了までの期間が約30分に短縮される。

 2.個人のお客さまが行う書面手続きの電子化によりペーパーレスを大幅に推進
 同システムにより、お取引に関する確認書類などを9月27日(月)より10帳票、10月より約40帳票の電子化を予定しており、ペーパーレスに大きく貢献する。

 3.既存の紙帳票イメージを活用することによる効率的な電子化
 同システムでは、既存の紙帳票イメージをそのままiPad上で利用可能にする機能を開発し、お客さまが手続きする画面をiPad上に生成している。これにより、今後も随時、書類を電子化することができるとともに、SMBC日興証券の業務部門の社員が自ら操作し、書類の新規作成や修正も容易に実施可能となる。
 なお、SMBC日興証券と富士通は、今回のシステム開発に、PFU(本社:石川県かほく市、代表取締役社長:長堀 泉)のタブレット帳票ソフトウェア「BIP Smart(ビーアイピースマート)」を活用している。

 今後について

 今後、SMBC日興証券における個人のお客さまが行う手続き書類の電子化をより一層推進していく予定。また、同システムを、非対面での手続きへも展開しオンラインで完結することで、手続きにおけるお客さまの負担軽減と完全ペーパーレス化を目指す。




▲TOPへ戻る














2021-7-19


ウェアラブル機器向け超小型近接センサを量産化

I
2C通信対応で業界最小クラス
を実現

シャープ
 

左:近接センサ<GP2AP130S00F>、米粒とのサイズ比較


 シャープ福山セミコンダクター(本社:広島県福山市、代表取締役社長:片山 修一)は、I2C
※1
通信対応で業界最小クラス
※2
のウェアラブル機器向け近接センサ
※3
<GP2AP130S00F>を開発、今年5月から量産を開始した。

 ウェアラブル機器市場は、スマートフォン向けなどに採用されているTWS※4イヤホンをはじめ、今後、普及が期待されるVRゴーグルやスマートグラス、さらには生体情報のモニタリング機能を搭載した機器などを含む成長分野。これらの機器では、物理スイッチを搭載せず、機器の着脱を自動的に検知して音楽再生の一時停止などの制御を可能にする近接センサの採用が進んでいる。そうした状況の中、ウェアラブル機器のデザインにより高い自由度を持たせるべく、近接センサの小型化へのニーズが高まっている。

 同センサは、同社が長年のオプトデバイス開発を通じて培ったパッケージ技術や光信号処理技術により、業界最小クラスの本体サイズを実現している。また、平均消費電流Typ.40 μA※5の低消費電流設計により、バッテリーの長時間駆動を実現するとともに、独自の外乱光ノイズキャンセル回路※6を採用し、太陽光の下など、赤外波長成分が多い屋外環境※7においても誤作動を抑制する。


 同社は今後も、より広いアプリケーションに向けた非接触センシング技術を開発し、新たな価値の創出に貢献していく考え。

品  名

形  名

サンプル価格(税込)

量産開始

月産個数

近接センサ

GP2AP130S00F

100円

2021年5月

300万個


  主な特長

 1.超小型・低消費電流設計により、さまざまなウェアラブル機器への組み込みが容易

 2.耳などへの着脱を自動検知し、スイッチ操作なしにウェアラブル機器の制御が可能

 3.外乱光耐性が高く、屋外でも誤作動を気にせずに使用可能


※1 2本の信号線で通信する同期式のシリアル通信方式の規格。
※2 2021年7月19日現在、当社調べ。近接センサにおいて。
※3 赤外光を照射して対象物の接近を検知する、受発光素子一体型のセンサ。
※4 True Wireless Stereoの略。完全ワイヤレスステレオ。
※5 回路部(LSI)ならびに発光部(VCSEL)の消費電流の合計。
※6 特許第5823624号および特許第6072928号。
※7 実証環境:太陽光下10万Luxの場合において。




▲TOPへ戻る












2021-6-30


シャープ、
輝度やコントラストを飛躍的に向上させた
「mini LED 次世代ディスプレイ」を開発



 シャープは、「mini LED 次世代ディスプレイ」を開発した。光源であるバックライトとして小型のLEDを採用し、高密度に敷き詰めて制御することで、液晶ディスプレイの輝度やコントラストなどの表示性能を飛躍的に向上。大画面テレビのさらなる高画質化を実現した。

「mini LED 次世代ディスプレイ」試作機(左)と従来機※2(バックライト分割駆動なし)の比較(イメージ)
 

 今回開発した試作機※1では、バックライトに同社従来機※2比で約1/10サイズの小型LEDを8,000個以上配置し、1,000以上のエリアに細かく分割して駆動している。描写する映像に応じて各エリアのLEDの点灯・非点灯をきめ細かく制御し、電力を効率的に活用。2,000nit(cd/m2)以上の高いピーク輝度と、100万:1 以上の高コントラスト比を実現している。また、量子ドット技術※3によりバックライト光の波長変換を行うことで、同社従来機比約1.2倍の広色域表現も可能としている。

※1 65V型で試作した。
※2 4K液晶テレビ<4T-C65CH1>(2020年発売)。
※3 青色の光を波長変換することで、より効率的に豊かな色彩表現を実現する技術。




▲TOPへ戻る













2021-6-22


発話した音声をリアルタイムにイラスト変換する「piglyph」を開発

~学校法人角川ドワンゴ学園のオンラインワークショップを
ビジュアルコミュニケーションシステムで支援~


リコー

 リコーは、発話した音声をリアルタイムにイラスト化してコミュニケーションをサポートするビジュアルコミュニケーションシステム「piglyph(ピグリフ)」を開発した。これは、社内起業家とスタートアップを支援するリコーの事業共創プログラム「TRIBUS(トライバス) 2020」において、当社の社内チームが提案し、選定されたプロジェクト。

 

このほど角川ドワンゴ学園 N高等学校・S高等学校・N中等部が本日から実施する体験学習プログラム(オンラインワークショップ)で、「piglyph」が活用されることになった。言葉だけでは伝えにくい参加者の考えをリアルタイムにイラストで具現化していくことで、共同作業やコミュニケーションの質の向上を支援する。

 今回リコーが提供する「piglyph」は、音声や入力された文字に紐づいたイラストがリアルタイムで画面上に提案され、その中から最もイメージに合ったイラストを選んで利用するシステム。誰でも簡単にアイデアを表現したり、共同で一つのイメージを作り上げたりすることが可能。参加者がインタラクティブに互いの思い浮かべるイメージを共有することで、テキストベースのコミュニケーションと比べて、オンラインでのコミュニケーションがより充実したものになることが期待できる。


 今後は、オンラインでの配信やリアルな場でのワークショップなどにも活用の幅を広げるため、パートナーと連携しながらシステムの開発と検証を進める。リコーは、「piglyph」の提供を通じて、人々が言葉の壁を越えて自由に意思疎通できる世界の実現を目指す。




▲TOPへ戻る

















2021-6-14


世界初、「水空合体ドローン」を開発

~点検場所までドローンが自律飛行し、遠隔で水中点検が可能~

KDDI・KDDI総合研究所・プロドローン


 KDDI、KDDI総合研究所、プロドローンは、ダム・港湾設備点検や水産漁場監視などにおける省人化・安全確保を目的として、点検場所まで自律飛行する空中ドローン (親機) に、映像伝送および音波での測位が可能な水中ドローン (子機) を搭載した「水空合体ドローン」(以下 本機体) を世界で初めて (注1) 開発し、2021年5月31日に技術実証を完了した。

<本機体利用イメージ>
 

 近年、水産養殖や水域インフラの点検分野において、少子高齢化などの理由から、人手不足が深刻な問題となっている (注2)。水中での作業支援が可能な水中ドローンの需要が高まる一方、従来の水中ドローンでは、点検場所まで船を出す必要がある。
 本機体は、スマートドローンプラットフォーム (注3) (注4) の活用により、船を出すことなく、点検場所までドローンが自律飛行し、着水後に水中ドローンを分離し、遠隔で水中の点検が可能となる。今後、湖沼や海中での作業などの分野で、ドローンの新たな市場の創出が期待される。

 3社は今後、2021年度中に各用途に応じた実証を行い、2022年度の商用化に向け開発を行っていくという。

 ■「水空合体ドローン」について

 1. 特長
  • 空中ドローン (親機) に水中ドローン (子機) を搭載した合体型のドローン
  • スマートドローンプラットフォームを活用したタブレットでのドローン遠隔操作で、飛行、着水、分離、潜航、浮上、回収、帰還といった一連の動作を制御
  • 水中の子機の位置をKDDI総合研究所独自の音響計測技術で正確に測定
  • 水中子機からの映像をリアルタイムで操作者へ伝送
 2. 各社の役割

 KDDI: スマートドローンプラットフォームを提供
 KDDI総合研究所: 開発全体統括、音響測位部分の開発
 プロドローン: 水空合体ドローンの開発

注1) モバイル通信で自律飛行するドローンが水中ドローン (子機) を搭載し、水中での測位や遠隔操作および映像伝送が可能な「水空合体ドローン」の開発は世界初。KDDI総合研究所調べ。2021年6月10日現在。
注2) 潜水士の数は2017年で3,300人 (平均44歳、約6割が40~50代)、2027年には2,900人に減少すると予想されている (株式会社東京久栄、水中ドローン未来予想図講演「老舗海洋企業が見据える、水中ドローンへの期待」2021年1月27日)。また、漁業就業者数は2003年の23.8万人から2016年には16万人に減少している (内閣府「我が国の水産業の現状と課題」2017年9月)。水域インフラについては、要点検の港湾岸壁施設は全体の10% (2017年) から58% (2033年) に増加が予想されている (国交省・経産省「ICT,データ活用等による戦略的なインフラメンテナンス等」2018年3月2日)。
注3) スマートドローンはKDDIの携帯通信ネットワークに対応したドローンで、KDDI登録商標。
注4) スマートドローンプラットフォームはモバイル通信による目視外自律飛行、遠隔監視制御を実現するためのプラットフォーム。




▲TOPへ戻る












2021-6-10


竹・さとうきび・市場回収リサイクルペーパーを原料にする
サステナブルな紙素材「オリジナルブレンドマテリアル」開発


ソニー

 ソニーは、産地を特定した、竹、さとうきび、市場回収したリサイクルペーパーを原料にする、環境に配慮したサステナブルな紙素材「オリジナルブレンドマテリアル」を開発した。
 この素材は、耐久性や強度の高いリサイクル可能な紙素材で、プラスチックを一切使用していない。今回、ソニーでは完全ワイヤレス型ヘッドホン「WF-1000XM4」のパッケージに同素材を採用した。素材の持ち味である様々な色合いを生かすために無着色で使用している。今後も商品のパッケージへの使用を進めていく考え。

 竹は、さとうきびと同様に短期間で成長する植物。必要な分を 選定して伐採し、竹山全体を持続可能な育成サイクルにすることで 、自然への影響を軽減することに繫がるとしている。

 また、オリジナルブレンドマテリアルに採用する竹は、中国・貴州の3つの山で栽培しているものに限定している。山に生息するパンダの餌となる竹とは異なる種類の竹を原料に使用している。

 さとうきびは、砂糖を生成する過程で残る搾りかすを使用している。通常さとうきびの搾りかすの多くは、発電燃料として燃やされ、二酸化炭素排出の原因となっているが、オリジナルブレンドマテリアルに採用することで、リサイクル可能な循環型資源として活用できる。タイ・ナコーンサワン半径100km圏内の畑で栽培されたさとうきびの搾りかすに限定して使用している。

 市場回収リサイクルペーパー

 オリジナルブレンドマテリアルには、同素材を使ったパッケージの生産地で市場回収したリサイクルペーパーを使用し、環境に配慮している。また、リサイクルペーパーと、竹やさとうきびを組み合わせることで強度をもたせている。着色はせずにリサイクルペーパーの素材を生かして、ユニークな風合いを提供することが可能。

 竹、さとうきび、市場回収リサイクルペーパーを配合したオリジナルブレンドマテリアルは、ブレンドの比率を変えることで、様々な形状にすることができることから、活用の幅の広がりが期待できる。完全ワイヤレス型ヘッドホン「WF-1000XM4」のパッケージでは、全体にオリジナルブレンドマテリアルを採用し、分別することなく、リサイクルに出すことが可能。
 エンボス加工も可能なため、インクを使わずに文字を入れるなど、一層の環境配慮が可能。

 製品パッケージのリサイクルは、適正なリサイクル制度のある地域でのみ可能


オリジナルブレンドマテリアル展開例

エンボス加工
 

 オリジナルブレンドマテリアルの成り立ちも発信することで、環境への取り組みについてユーザーとともに考えていくきっかけにすることもめざしている。

 ソニーは、環境中期目標「Green Management 2025」で設定している「新たに設計する小型製品のプラスチック包装材全廃」に向けて、オリジナルブレンドマテリアルの使用などにより、プラスチックを廃したパッケージを推進していく方針。




▲TOPへ戻る












2021-5-12


指紋認証USBドングル「BISCADE ドングル」を開発
-第12回教育総合展(EDIX)東京に参考出展-

東芝


 東芝は、指紋認証USBドングル「BISCADE™ドングル※1」(ビスケードドングル)を開発し、5月12日~14日に東京ビッグサイトにて開催される教育総合展(EDIX)東京のレノボ・ジャパンブースにて参考出展する。

 「BISCADE™ドングル」は、指紋認証により簡単かつ安全にPCログオンやシステムログオンすることが出来るUSBドングル。ユーザーがIDやパスワードを記憶する必要がないのが大きな特長で、USB Type-Cインターフェイスを備えているパソコンやタブレットで使用可能。パソコン・タブレットの利活用が進んでいる文教市場向けに2022年春の製品提供を目指す。

 「BISCADE™ドングル」はクレジットカード等で利用されるセキュアチップ、指紋の特徴点を抽出・照合(マッチング)するマイコンチップ、指紋センサーを内蔵し、事前にセキュアチップへ記憶した指紋の特徴点とドングル内で照合処理を完結させる。「ドングル所有による所有認証」と「指紋照合による生体認証」の2要素認証が1つのドングルで可能な為、セキュリティ対策が向上する。また、本人確認と連動してドングル内のセキュアチップに保持された重要情報を安全に利用出来る。

 近年、インターネットの普及によりセキュリティ対策は重要度を増している。同社は、2020年に製品化した指紋認証ICカード「BISCADE™カード」に続き、「BISCADE™ドングル」を製品化することで、指紋認証を活用したセキュリティ対応製品のラインアップを強化していく考え。


指紋認証ドングル「BISCADE™ドングル」
 

※1 BISCADE™は、東芝インフラシステムズの商標。




▲TOPへ戻る














2021-3-19


KDDIと三井物産
位置情報とAIで都市計画を支援する「次世代型都市シミュレーター」を開発
~効率的な5G基地局設置に加え、金融・MaaS・エネルギー・インフラなど新たな事業を創出~



 KDDIは三井物産と、位置情報などのビックデータや人工知能 (AI) を活用し、人が移動する手段・時間・場所・目的を把握可能とする「次世代型都市シミュレーター」を開発した。

 両社は、本シミュレーターを活用した都市状況の精緻な可視化と将来予測のシミュレーションを通じて、スマートシティの開発を支援するとともに、5G・金融・MaaS・エネルギー・インフラを含む新たな事業創出を目指す。さらにKDDIは、5G基地局や電気自動車の充電スポット、自動運転バスの停留所などの配置場所の検討や、自動運転ルートのシミュレーションなどにも取り組んでいく。
 また、本シミュレーターの有効性を2021年3月以降実証し、2021年度中の事業化を目指す。

 ■背景

 都市計画におけるインフラの構築や多様化するライフスタイルに応じたサービス検討において、移動者の規模、属性などの都市状況の可視化と将来予測が極めて重要。これまではパーソントリップ調査などの、数年に一度の頻度で実施されるアンケートや街頭での交通量確認が情報源となっていた。しかし、従来の調査方法では情報の更新頻度が低く、最新の都市状況が反映されていないことから、必要なタイミングで必要な情報を得ることが困難だった。そのため、位置情報などのビックデータを活用し、より精緻にかつタイムリーに都市の状況を把握する手法の確立が求められている。

 ■本シミュレーターについて

 本シミュレーターでは、au契約者から同意を得て取得した位置情報や国勢調査などのさまざまなビッグデータに、機械学習手法のActivity Based Modeling (注) を掛け合わせることで、AIが一人ひとりの移動を予測した上で地図に表示し、都市内の人の動きそのものをモデル化する。
 このモデルを活用することにより、従来の調査方法手法では見えてこなかった、人の移動の目的、手段、経路といった情報が可視化でき、これまでは数カ月かかっていた分析・予測を、数時間から数分での実現を目指す。
 また、利用者が任意に設定した条件をもとに都市人流の予測が可能となり、各エネルギーの需要予測や施設の混雑予測をリアルタイムにシミュレーションすることが可能。
 両社は2021年3月から本シミュレーターの予測結果の正確性検証などを開始し、21年度中の事業化を目指すとしている。

 ■
各社の役割
KDDI
サービスの全体設計・事業化企画
位置情報データの提供
三井物産
サービスの全体設計・事業化企画
機械学習モデルの開発
グローバル展開の検討

注)世帯または個人が、無数の活動可能性からどのように活動内容や活動時間を決定し、行動しているかを、さまざまな個人属性や制約条件を考慮したうえで分析する手法。




▲TOPへ戻る








2021-3-2


様々なタスクにおける人の集中度を定量的に推定可能な汎用AIモデルを開発
オンライン学習・営業活動など参加者の集中状態を定量化


富士通研究所

 富士通研究所は、人が様々なタスクを実行している時の集中度を、表情筋の動きの変化から、集中時、非集中時の顔面の状態の違いとして検出することで高精度に捉え、定量化できる集中度推定AIモデルを新たに開発した。

 従来、AIを活用して集中度を定量化するモデルは、e-learningなど特定のタスクを実行している人の表情や振る舞いを学習することにより作成していた。しかし、表情や振る舞いは、従事するタスクや人がそれぞれに育った文化的背景に依存して異なるため、作成したモデルは個別のモデルとならざるを得ず、様々な場面に応じて個別にAIモデルを開発しなければならないことが課題だった。

 今回、同社は、表情筋に対応した顔面の各部位の動作単位であるAction Unit
(注1)
を世界一の精度で検出する独自の技術(注3)を活用して、口元に力が入るなど数秒程度の短期間の変化や、目を凝らして一心不乱に見つめているなど数十秒にわたる長期間の変化をAction Unitごとに最適化された時間単位で捉えることで、集中、非集中状態の違いを、それぞれの文化的背景の影響を受けにくい共通の特徴として抽出することに成功した。さらに、タスク固有の振る舞いが生じないように設計された探索や記憶を行う課題を、日本に加え、多様な地域の人のデータ収集が可能な米国および中国の延べ650人で実施し、機械学習用のデータセットとして構築することで、特定のタスクに依存しない、汎用的な集中度推定AIモデルを開発した。この集中状態のデータセットを用いて本モデルの有効性を検証したところ、85%を超える高い精度で集中度を定量的に推定できることを確認したという。

 本技術により、コロナ禍でグローバルに利用が拡大するオンラインの授業や営業活動などの各種オンラインサービスにおいて、デジタル化された参加者の集中状態のデータを活用したAIの支援により、オンラインで取り組む人のタスクや業務の効率化、生産性の向上が可能になる。

 開発の背景


 近年、ニューノーマルな社会において、教育や企業の現場では、授業や会議、営業活動など、様々な場面でのオンライン化が急速かつグローバルに拡大している。

 従来、対面の場では、集中を欠いた生徒への声掛けや、上の空で聞いている相手への話題転換といった、相手の集中力を引き戻すサポートが行われていたが、オンラインの場では、離れた場所にいる相手の様子を把握することは難しく、これまで行われていた適切なサポートが困難となっている。特に、作業に対する集中度は、パフォーマンスを左右する重要な要素であり、オンラインで取り組むタスクや業務の生産性向上の手段として、集中力の維持と向上を図る適切な支援が行えるよう、集中状態を定量的に推定できるAIモデルの開発が期待されている。

 課題

 AIで集中度を推定する一般的な方法として、人の表情や振る舞いから予測する方法があるが、人の表情は、それぞれが育った文化的背景により違いがあると言われており、振る舞いは、e-learningなど特定のタスクに大きく依存する。そのため、この方法では、タスクや対象とする人の文化的背景に特化した学習が行われるため、それらが変わるごとに個別にAIモデルを開発する必要があった。

 また、人が集中してタスクを実行しているときは、顔が強張る、目を凝らすなど顔面の状態に微小な変化が生じる。これらの変化は、人類共通に適用できる概念として提唱されているAction Unitを活用することで、原理的には振る舞いや文化的背景の違いによらず検出できる。しかし、集中時、非集中時の微小な顔面状態の違いをカメラで撮影した顔の動画データから捉えようとすると、例えば、Action Unitの動きで出来たしわと年齢によるしわとの区別が必要になるなど、Action Unit自体の精度の向上が課題となる。

 開発した技術

 今回、同社は、Action Unitを世界一の精度で検出する独自の技術を活用して、特定のタスクや文化的背景に依存せずに、人の集中度を定量化できるAIモデルを開発した。 表情筋の動きの強さが異なるペア画像を学習させる方式で、表情筋の相対的な変化を的確に学習させる独自のAction Unit検出技術を活用し、口元に力が入るなど数秒程度の短期間の変化や、目を凝らして一心不乱に見つめているなど数十秒にわたる長期間の変化をAction Unitごとに最適化された時間単位で捉える。そして、統合的に集中度を推定する新たな方式により、文化的背景に依存しない高精度な集中度推定AIモデルを開発した(図1)。

 さらに、人の集中状態の教師データを収集する際に、タスク固有の振る舞いが生じないように設計された探索や記憶を行う課題などの作業を、日米中の延べ650人で実施した結果をデータセットとして構築し、本データセットを用いて学習させることにより、特定のタスクに依存しない、汎用的な集中度推定AIモデルの作成に成功した。

 
図1 集中状態に現れる人共通の特徴抽出による集中度推定方式

 本AIモデルにより、e-learningでの集中度やデスクワークへの没入状態、工場の組み立て作業の集中度合いなど、様々なタスクにおける集中、非集中の状態を、0.0(非集中)~1.0(集中度最高)の数値で定量的に示すことができる。

 効果

 AIモデルの汎用性を検証するために、日本に加え、多様な地域のデータ収集が可能な米国および中国において、延べ650人の検証用データセットを構築した。今回開発した集中度を推定するAIモデルを用いて、各国の被験者の集中度を推定したところ、いずれも85%以上の精度で集中度を推定することができた。この結果は、e-learningに対する生徒の集中度合いを定量化する最新の国際学会の結果と比較しても、同等以上の高い精度を実現しており、本方式が文化的背景の違いに対して有効に機能していることを確認したとしている。

 また、開発したAIモデルを、ドライブシミュレーターによる運転の様子を収録した、集中状態と眠気による非集中状態が混在するデータで推定したところ、NEDO眠気指標
(注2)
に基づいてラベル付けした正解データに対して高い相関を示し、眠気による集中度低下を推定できていることが確認できたことから、本AIモデルが学習を行っていない異なるタスクへも適用可能だ、としている。

 今後

 今後、同社は、ニューノーマルな社会においてグローバルに拡大するオンライン授業やオンライン会議、営業活動などの様々なサービスへの本技術の適用拡大に向けて、AI倫理の観点も踏まえて検証をさらに進めるとともに、AI集中度推定モデルの実用化を目指し実証を進めていく考え。

注1Action Unit:解剖学的知見に基づいて提唱された Facial Action Coding Systemの中で定義されている約40種の表情筋に対応した顔面の各部位の動作単位。各Action Unit は、表情筋の動きに対応付けて、5段階の強度で定義される。
注2Action Unitを世界一の精度で検出する独自の技術:IEEE International Conference on Automatic Face & Gesture Recognition(FG 2020)において開催されたAction Unit 検出精度を競うコンペティションにおいて1位を獲得したAction Unit認識技術。
注3NEDO眠気指標:複数人の観察により、対象となる人の眠気を評価する指標。眠気のレベルは5段階で定義されている。




▲TOPへ戻る











2021-2-25


インクジェット技術による二次電池の製造技術を「二次電池展」に出展

~量産向けの製造プロセスを提案開始~

リコー


 リコーは、2021年3月3日~5日に開催される「第12回[国際]二次電池展 ~バッテリー ジャパン~」(主催:リード エグジビション ジャパン)に、インクジェット技術を用いて自由な形状でリチウムイオン二次電池を製造する技術を展示する。


 
開発中のインクジェット印刷装置の外観イメージ

 本製造技術では、リチウムイオン二次電池に用いられているほとんどの種類の電極材料のインク化に成功しているほか、安全性を付与するセラミック材料やセパレーターのインク化にも成功している。インクジェット技術を用いて狙った場所に狙った塗布量をデジタル印刷することで、高品質かつ柔軟に形状や膜厚を調整することが可能となる。

 これまでリコーは、研究開発において二次電池向けの材料と印刷装置の初期試作に取り組んできた。現在は、量産プロセスに適用可能なインクジェット印刷装置の試作機を開発しており、2021年夏頃から、サンプル部材の供給やお客様との試作が可能になる。今回の技術出展を機に、リチウムイオン電池製造に関わるお客様に提案を開始する。
 また、将来的には、全固体電池の材料を印刷する技術の実現を目指す。

 出展内容
  1. インクジェット印刷装置(イメージ映像)
  2. 電池電極上へのセラミック層印刷技術
  3. 電池電極上へのセパレーター印刷技術

 展示会の概要
 名称
第12回[国際]二次電池展 ~バッテリー ジャパン~
 主催
リード エグジビション ジャパン(株)
 会期
2021年3月3日(水)~5日(金)10~18時(最終日は17時まで)
 場所
東京ビッグサイト(南展示棟)及びオンライン



▲TOPへ戻る












2021-1-26


デジタルサイネージソリューション『AcroSign』で
クラウド制御による「空間演出」×「サイネージ」を実現


パナソニック システムソリューションズ ジャパン


 パナソニック システムソリューションズ ジャパンは、デジタルサイネージソリューション『AcroSign(アクロサイン)』の機能を強化し、クラウド制御による「空間演出」×「サイネージ」を実現するAcroSign Version 3.0を開発した。

 同社はこれまでサイネージの配信管理システムとしてWebブラウザ上で簡単に配信できる『AcroSign』を提供し、機能強化を実施してきた。例えば、外食・流通店舗での販売促進、大型商業施設での案内、鉄道・空港施設での運行情報やイベント情報、防災情報といった、特定の情報を伝えるシステムとして提供し、より使いやすく機能を強化してきたが、近年において映像空間におけるUX(ユーザーエクスペリエンス)の最大化、および環境特性を活かした「空間演出」のサイネージ利用ニーズが高まってきている。

 今回AcroSign Version 3.0では、従来は現場での運用・調整が多かった「空間演出」において、映像表現を向上させる機能を強化し、AcroSignクラウドサービスを通じたクラウド制御により、多拠点配信・管理することが可能となった。また、世界的なシェアを誇り、高い安定性と同期再生機能を持つBrightSign社のデジタルサイネージコントローラー※1(日本国内正規代理店:ジャパンマテリアル社)を採用することにより、『AcroSign』の簡単な管理画面での操作と、より美しい映像表現の両立を実現しました。なお、AcroSign Version 3.0は本日より発売する。

 同社は今後も、長年培ってきた映像・音響技術、およびAcroSignクラウドサービスによる配信運用の知見やノウハウを反映し、UX(ユーザーエクスペリエンス)を向上させ、空間価値を向上させるデジタルサイネージソリューションを提供していく考え。

※1 AcroSign Version 3.0対応コントローラーは同社Webページを参照。
https://biz.panasonic.com/jp-ja/products-services_digitalsignage#controller



▲TOPへ戻る











2021-1-21


非接触でクリーンなマルチ生体認証技術を開発
マスク着用での本人確認も可能で安全・安心な実店舗での決済を実現


富士通研究所


 富士通研究所は、顔情報で照合対象者を絞りこみ、手のひら静脈で本人を特定する非接触な生体認証を融合させたマルチ生体認証において、マスクを着用していても、マスク着用なしと同等レベルの99%以上の高精度で本人特定が可能な認証技術を新たに開発した。

 一般的な顔情報を用いた絞り込み技術では、マスク着用時に顔の大部分が隠れるために認証されないケースが数%程度あったが、本技術では、利用する顔画像にマスクを合成した顔画像を生成して学習させ、マスクの有無による見え方の差異を吸収することができ、マスク着用なしと同等レベルの99%以上の絞り込み精度が可能となる。また、手のひら静脈認証センサーにおいても、認証に適した高さに手のひらの位置をスムーズに調整できるようユーザーインターフェースを改善し、使い勝手を向上した。なお、本技術は、米国国立標準技術研究所(以下、NIST)にて実施された顔認証ベンダーテストにおいて、グローバルベンダーで6位、国内ベンダーで首位(
注1
)を獲得した。

 本技術により、生体認証を活用した実店舗において、利用者はマスクの着脱動作なしに従来の高い認証精度での本人認証を行うことができ、スムーズな決済処理を実現する。

 開発の背景

  近年、実店舗での決済処理やイベント会場での本人確認など、利用者の真正性を担保する目的で、生体認証の活用が進んでいる。また、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、人との接触を避ける3密(密集・密閉・密接)の徹底に加えて、顔認証や手のひら静脈認証など、センサー部分に直接触れることなく非接触で本人確認ができるユーザーインターフェースの導入も加速している。

 同社は、業界トップレベルの認証精度を誇る手のひら静脈認証をキーテクノロジーとして、手のひら静脈と顔情報を組み合わせたマルチ生体認証(図1)の実証の場として、富士通の事業所である富士通新川崎テクノロジースクエア内のレジなし店舗にて2020年3月より実証実験(
注2
)を行っている。今回、開発した技術を本店舗に適用することで、その有用性を検証する考え。


 
図1 実証中のマルチ生体認証技術の概要

 課題

  近年の新型コロナウイルス感染拡大防止対策のため、マスクの着用がエチケットとして常態化しているが、一般にマスク着用のままで顔認証を行う場合、顔の大部分が隠れてしまうため、顔情報での絞り込みの精度が低下することがあった。そのため、実証店舗のマルチ生体認証では、手のひら静脈を組み合わせることで精度向上を図っていた。しかし、利用者によって、マスク着用のままでは顔情報による絞り込みで本人が特定できず失敗するケースがあり、一時的にマスクを外してもらうなどの対応が必要となっていた。また、今後、実店舗での一般利用者への展開を見据えた場合に、店員からの操作手順の説明を不要とし、利用者自身で登録や認証ができるよう、マルチ生体認証そのもののユーザーインターフェースを、より使いやすく向上させ、生体情報を飛躍的に入力し易くする操作性を実現する必要がある。

 開発した技術

  今回、マスクを着用した顔でも高精度な絞り込みができるデータ拡張学習技術を開発した。開発した技術の特長は以下の通り。

 一般的な顔認証技術では、マスクを着用した顔から絞り込みに有用な顔部位の形や位置関係などの特徴量を抽出するために、露出している目の領域のみを利用する方式を採用していた。本方式は、マスク着用の有無の影響を低減できる一方で、顔全体の特徴量が抽出できないため、情報量の低下により本人が認識されないという問題があった。

 開発した技術では、マスクを着用しても輪郭の形状など顔全体の特徴量抽出を考慮しつつ、マスク着用の影響を低減するために、マスク非着用の顔画像にマスクを付加した画像を生成し学習させることで、マスク着用時でもマスク非着用時と同等レベルの精度で絞り込みが可能となり、同一人物として認識することができる。具体的には、目や鼻の位置など顔の特徴点から顔の姿勢を推定し、その推定結果に基づいて疑似マスクをリサイズ、変形させて顔画像に重ねることで自然なマスク着用顔画像を生成する。さらに、様々な色や柄、形のマスクが流通している状況に対応するため、様々なタイプのマスクを付加した。これによって、マスクを外すことなく認証でき、マルチ認証が衛生的かつさらに使いやすくなった。

 ユーザーインターフェースの改善

 手のひら静脈認証を行う際に、利用者がスムーズに認証を行えるよう手のひら静脈認証センサーのユーザーインターフェースを改善した。手のひら静脈センサーの周囲に手のひらの形をしたライトを設け、手のひらをかざす高さに応じてライトの色と発光パターンを変化させることで、手のひら静脈認証に適切な高さを知らせる。これにより、手のひら静脈認証に慣れていない人でも、手のひらを適切な高さに調整でき、非接触かつスムーズな認証を行うことができる。

 効果

  今回開発した技術とユーザーインターフェースの活用により、利用者自身で容易に認証することが可能となり、生体認証を取り入れた実店舗での決済やレジャー施設での本人確認など、様々なシーンにおいて、感染症の感染拡大を防止しながら、より安全・安心なサービスを実現する。

 今後

 同社は、さらなるユーザーインターフェース評価などを踏まえて、ローソンと共同で取り組んでいる新川崎テクノロジースクエア内のレジなし店舗で実証中のシステム(注3)に本技術を適用し、2021年1月21日より実証実験を進め、2021年度中の実用化を目指す。

注1
米国国立標準技術研究所にて実施された顔認証ベンダーテスト:
Face Recognition Vendor Test;において、参加147社のうち6位。国内ベンダー首位(2020年11月時点)。
FRVT Face Mask Effects

注2
レジなし店舗にて2020年3月より実証実験:
富士通、事業所内のローソンレジなし実験店舗でマルチ生体認証技術を世界初導入(2020年2月18日プレスリリース)
注3
レジなし店舗で実証中のシステム:
米国VCOGNITION TECHNOLOGIES, INCの提供するシステム「Zippin」。自動決済に必要なカメラ・重量センサーなどの機器と、来店客や商品を認識するためのAI 機能、決済や在庫管理との連携機能をまとめた統合システム。



▲TOPへ戻る














2020-12-15


反射型カラーIGZO液晶ディスプレイ搭載「スマートバス停」を製品化
太陽光パネルと蓄電池を搭載し、商用電源がない場所にも設置可能
遠隔操作で時刻表の書き換えも容易に


●左:スマートバス停 右:スマートバス停の表示部

 シャープマーケティングジャパンは、YE DIGITAL(本社:福岡県北九州市、代表取締役社長:遠藤 直人)と「スマートバス停」を共同で開発した。YE DIGITAL社および西鉄エム・テック(本社:福岡市中央区、代表取締役社長:前川 義広)より、今年12月中旬に発売する。

 同機は、太陽光パネルと蓄電池を搭載しているので、商用電源に接続することなく設置可能。昼間に発電した電気を蓄電池に蓄えるので、日照量の少ない日や夜間でも利用可能。商用電源への接続が困難な郊外などにおける設置性が大きく高った。
 また、表示部に反射型のカラーIGZO液晶ディスプレイを採用。日中は、太陽光などの外光を光源として表示。直射日光下でも時刻表やお知らせなどをクリアに映し出す。31.5V型の大画面でありながら、ごく少ない消費電力で運用可能。バックライトも搭載しているので、外光の少ない夜間でも十分な視認性を確保している。

 通信機能も搭載しているので、遠隔操作で時刻表の書き換えも容易に行える。従来型バス停では必要な、掲示物の貼り替え作業にかかる時間やコストが大幅に削減できる。

品名 製品化時期
スマートバス停 2020年12月中旬

 ■ 主な特長

 1.太陽光パネルと蓄電池の搭載により、商用電源に接続不要

 2.反射型カラーIGZO液晶ディスプレイを採用。直射日光下でも見やすい表示と省電力を実現。搭載のバックライトで外光の少ない夜間も十分な視認性を確保

 3.通信機能を搭載。遠隔操作で時刻表の書き換えも容易




▲TOPへ戻る












2020-12-14


「GIGAスクール構想」学習者用端末の標準仕様に準拠
LTE内蔵「Dynabook Chromebook C1」を共同開発
シャープの通信技術とDynabookのIT技術を融合


LTE内蔵「Dynabook Chromebook C1」


 シャープとDynabookは、シャープの通信技術とDynabookのIT技術を融合し、「GIGAスクール構想」学習者用端末の標準仕様※に準拠したLTE内蔵「Dynabook Chromebook C1」を共同で開発。2021年2月以降に商品化する。

 同機は、11.6型のタッチディスプレイを搭載。ノートパソコンとしてはもちろん、ディスプレイ部を反対側に折りたたんでタブレットとしても使えるコンバーチブルタイプ。高性能CPU「Qualcomm® Snapdragon TM 7c」を採用し、高いパフォーマンスの維持と長時間の電池持ちを実現した。折りたたんだ状態から開くと待機状態から高速で起動し、すぐに使用できる。LTE内蔵なので、通信環境のないご家庭での学習にも活用できる。

 また、同機は2つのカメラを内蔵。ユーザーフェイシングカメラ(フロントカメラ)は、HDR(High Dynamic Range)に対応。白飛びを抑え、オンライン授業を受講する児童や生徒の自然な表情をとらえる。タブレットスタイルにして使う500万画素のワールドフェイシングカメラ(アウトカメラ)は、屋内外での観察授業などで便利に活用できる。

 さらに、なめらかで精度の高い書き心地を実現したスタイラスペン(オプション)も商品化。本体に収納可能で、必要な時にさっと取りだして使用できる上、収納しながら自動で充電が可能。わずか15秒のチャージで、約45分間利用できる高速充電にも対応している。

 シャープとDynabookは、両社の保有する技術を融合し、教育ICT化の推進に貢献していく考え。


品名 形名  発売時期
LTE内蔵 Chromebook Dynabook Chromebook C1 2021年2月以降 


 ■ 主な特長

 1.「GIGAスクール構想」学習者用端末の標準仕様に準拠

 2.LTE内蔵で、通信環境のないご家庭での学習にも活用可能

 3.「Snapdragon TM 7c」を搭載。高いパフォーマンスの維持と長時間の電池持ちを両立

 4.ユーザーフェイシングカメラ(フロントカメラ)とワールドフェイシングカメラ(アウトカメラ)の2つのカメラを内蔵


※ GIGAスクール構想の実現に向けて各自治体が必要機器などを調達する際の利便性向上を目的に、文部科学省が機器や設備の機能や性能を参考に提示したモデル仕様。




▲TOPへ戻る













2020-12-11


リアルとリモートのハイブリッド ビデオ会議ソリューション

ビデオ会議システムHDコムのクラウドサービスを開発


ニューノーマル時代の場所を選ばない新しい働き方に貢献


 パナソニックは、このほど、同社製ビデオ会議システム「HD映像コミュニケーションシステム(HDコム)」の新サービスとして、ビデオ会議クラウドサービスを開発した。サービスの提供開始は2021年春を予定している。オンプレミス型ビデオ会議システムである「HDコム」の高品質、高画質な会議を維持しつつ、パナソニック独自のビデオ会議クラウドサービスを使って、社外のHDコムやパソコン、モバイル端末とも場所を選ばず、簡単に会議ができるようになる。

 同社は、2009年からHDコムを発売し、高解像度な映像とクリアで高音質な音声により、臨場感のあるスムーズな会議が可能なビデオ会議システムとして好評を博してきた。これまでにも、最上位モデルであるKX-VC2000J(2016年12月発売)において、本体端末のみでは業界最多となる24拠点接続を実現しているほか、本体端末でのUSB録画やモバイル端末向けアプリケーションの提供等、市場要望と時流に一早く対応したビデオ会議システムの活用方法を提案し続けてきている。

 このほど、ニューノーマルの時代の働き方に貢献するサービスとして、Web会議の簡便さを取り入れ、ビデオ会議システムと簡単にハイブリッドな接続を実現できることに加え、社外のさまざまなモバイル端末との接続を可能にする、ビデオ会議システムHDコムのクラウドサービスを開発した。これにより、社内のHDコムと社外ネットワークに接続された取引先のHDコムも国内や海外を問わず、同サービス上でのミーティングに招待することによって会議を開催できる。さらに、パソコンはブラウザ、スマートフォンは専用アプリケーションにより、同様に会議に参加することができる。なお、新サービスの提供開始は、2021年春を予定している。

 同社は、今回の新サービスを場所や時間にとらわれない多様な働き方に対応でき、スムーズなコミュニケーションを実現することで、働き方改革やテレワークに貢献するものとして、業種・業態を問わず、さまざまな「現場」へ向けて提案していく方針。

 <主な特長>

 1. 社内(HDコムでのリアルな会議)と社外(リモート参加者)をハイブリッド接続

 2. 取引先や海外拠点、さらにはモバイル環境からでも簡単に接続可能

 3. 社外との接続でも社内ネットワーク機器の再設定が不要※1

※1 社内セキュリティ設定によっては、再設定が必要になる場合がある。

■ビデオ会議ソリューション接続イメージ
 



▲TOPへ戻る












2020-12-2


有機デバイスのセラミックコーティング技術を開発
透明導電性セラミック粉体でデバイスの機能を保ったまま耐久性を35倍向上

リコー 

セラミック有機ハイブリッドデバイスの一例(有機感光体)


 リコーは、有機デバイスの機能を保ったままセラミックコーティングを行い、コーティングを行わない場合に比べて耐久性を35倍向上させたデバイス(セラミック有機ハイブリッドデバイス)と、その製造方法を開発した。MFP等に用いられる有機感光体の上に、独自に開発した電荷輸送性中間層塗料と透明導電性セラミック粉体をコーティングすることで、感光体に必要な機能を保ったまま表面の強度を35倍向上することに成功した。 また、直径Φ100mm×長さ380mmという広い面積においても均一な加工を行うことができた。この技術はリコーグループが長年培った半導体材料技術と薄膜生産技術を生かしたもので、常温で有機デバイス上にセラミック膜を生成することができる。この技術を応用することにより、有機EL、電子ペーパー、有機薄膜センサー、有機太陽電池など、さまざまな有機デバイスの耐久性強化と低コスト化に貢献できるとしている。

 * 自社製有機感光体に対しての摩耗試験による

 同セラミック有機ハイブリッドデバイスと製造方法は、12月9日から11日まで開催される「nano tech 2021 第20回 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」でオンライン展示を行う。

 有機EL、電子ペーパー、有機薄膜センサー、有機太陽電池などの有機デバイスは、有機分子を組み合わせることで多様な機能を発揮できるという利点があるが、無機デバイスに比べて強度が弱いという課題がある。この強度を向上させるための手段の一つがセラミックコーティング。一般的にセラミックは原料となる粒子を高熱で焼結することで製造するため、従来の製造技術では有機物の構造を維持することや、セラミック膜に透明性や導電性を持たせることは困難だった。リコーが採用したエアロゾルデポジッション法では、透明かつ導電性を持つセラミックの微細粉末を常温で固体のままデバイスの表面に衝突させることで、均一にセラミックの膜を形成する。そのためにはセラミック粉体の組成やサイズ、噴射条件などが非常に重要となるが、リコーはその条件を制御することに成功した。また、独自の電荷輸送性中間層を事前に塗布することで、デバイス表面を保護しつつセラミック粉体の密着性を高め、デバイス機能を保ったままセラミック層を厚膜化することにも成功した。これにより、リコーの開発したセラミックコーティングは、ダイヤモンドと同じ結晶構造を持つ非常に硬度の高いDLC(Diamond like Carbon)コーティングと同等以上の強度を実現している。この技術をリコーのMFP等で使われる電子写真用感光体に適用して摩耗試験を行ったところ、一般的な有機感光体の約35倍、高耐久樹脂膜を利用した感光体の約10倍の強度向上を確認したという。この電荷輸送性中間層と透明導電性セラミック粉体は、目的に応じて調合を変えることにより、さまざまな有機デバイスに対応が可能。

 リコーは同技術の開発を進めることで、さまざまな有機デバイスを高耐久化し、有機デバイスを搭載したディスプレイやセンサー、太陽電池といったIoT社会のエッジデバイスの信頼性向上を目指す。また、セラミックコーティングを用いたデバイス表面の修繕により有機デバイスのリサイクル使用を促進し、コスト削減と資源利用の抑制に貢献していく考え。



▲TOPへ戻る


NEXT