2002−2−25


★今回は、News/話題(2月23日配信)でも採り上げている大判プリンター。その販売事例をひとつ紹介したいと思う。狙いの業種は幾つかあるが、身近なところでは商店街の協同組合事務所。ここをソリューションの舞台としたABC事務機店の事例を紹介しよう。




★商店街での共同イベントや季節の売り出しセールなどを告知・PRする時に使うポスター。その大判ポスターの作成については、<印刷屋に外注>するケースと、<A3カラーレーザープリンターを使って内製>するケースとがある。勿論、どちらの場合も大判プリンターの有力な見込み客だが、今回ABC事務機店が納入した先の商店街の場合は、『以前には印刷屋に外注していたが、その後、私共の提案で、今から3年程前にパソコンとA3カラーレーザープリンターを導入、そして今回の大判プリンターの導入に至った』というケースだ。

★まず、話を印刷屋にポスターを外注していた時の時代に戻し、そこから導入のステップを辿ってみることにしよう。

★よく商店街のアーケード内に目にする“年末謝恩セール”などのポスター。これはベニヤ板の両面にポスター貼り付け、吊り下げているわけだが、ここで実際に使用するポスターの数というのはそれほど多くはなく、せいぜい6枚から10枚程度。勿論、商店街の規模などにもよるが、必要な枚数というのはせいぜいそんなものである。しかし、部数の大小にかかわらずこれを印刷に回すとなれば費用は1回につき28万程度はかかる。しかも、それが季節のイベントに合わせて年平均で10回程のポスターの張替えがあるとなれば、ポスターにかかる年間の費用は300万円弱というから馬鹿にならない。1枚あたりの利用単価という点でいうならばこのポスター、随分と高いものについていたわけである。

★と、そんなことから、ABC事務機店の<パソコンとプリンターのセット導入による印刷コストの削減提案>はこうしてすんなりと受け入れられることに…。これが、今から3年前のことである。



★こうしてポスターの内製化に踏み切った協同組合。さぁ、これで一件落着!やにみえたのだが…、事態はそう思うようにはうまくいかない。実際に作業を進めていくと幾つかの問題点が発生してきたのである。

★原稿の作成から出力までの作業については、組合員の中にパソコンに熟知している人がいたこともありすんなりと運んだが、問題はプリンターで出力してからの後処理である。というのも、実際にポスターを完成させるには、A3で出力したプリントをなんと約27枚も貼り合せて作らねばならなかったからである。しかも、縁に白い余白が出来るので、それらを1枚1枚カッターで丁寧に切り取っていかねばならない。それでも、27枚も貼り合せていくと、終いの方には糊が剥がれて見栄えが悪くなってしまう箇所も出てくる。そうした細かい作業を1つ1つ繰り返しやっていかねばならないのだから大変だ。

★印刷代がかからないというメリットはある。が、だからといって実務を担当する特定の組合員にそこまでの作業上の負担をかけるのは果たしてどうなのだろうか。「もっと簡単に大判ポスターが作成できる機械はないのだろうか?」。そういった声はその後急速に高まっていったのである。


★消耗品の供給の都度、そうした声を耳にしていたABC事務機店の担当セールスは、ある時、A社から発売されているA1プリントが取れるインクジェット方式の大判プリンターの情報をキャッチする。価格も40万程度と安く、しかも1440dpiの写真高画質。加えて、大判プリントが取れる割に機械本体はそれ程大きくない。大判プリンターの存在をそれまで知らなかった担当セールスのS君。「これだ!」とばかりに、早速TOPに上申し、この商品を取扱うことになった。

★S君によれば、「A3プリンターの場合ならば、1枚のポスターを作成するのに必要なプリント量は27〜28枚だったが、A1プリンターならばそれがわずか4、5枚で済む」。従って、出力した後の貼り合せ作業が約7分の1程度に軽減されることになる。また、費用にしても2千円チョッで写真高画質の大判ポスターが作成できるのだから、印刷に比べると大幅なコスト削減になる、というわけである。

★こうして、S君は早速刷り見本を添えての自信を持っての導入提案セールスを展開する。<大判ポスターの作成作業の大幅な改善と、作成時間の大幅な短縮が図れる>ことをソリューションテーマとしたS君の提案は、当然のことながら現場の担当者からも受け入れられることになる。


★A1大判プリンターの増設販売は、このようにしてカタログ1本であっという間に決まった。勿論、競合もなく、法外な値引きを要求されることもなかった。S君はその後、今回の事例を水平展開するべき各地商店街のローラー作戦を展開している。

★もしも、あなたの地域の商店街で大判ポスターを見かけたら、それがどうやって作成したものであるかを今一度チェックしてみよう。また、これはなにも商店街に限らず、レストランや飲食店なども同様で、そうした視点から常日頃あらゆる事象を見る目が大切だ。販売のヒントあなたの周りに一杯隠されている。


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