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TOP・ザ・ゲンダイ これでいいのか?コピーペーパービジネス





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複写機販売店の手からますます離れるコピー用紙
通販の“安さ”と“翌日配達”に対抗策はないのか?といえばそんなことはない。
複写機メーカーが、販売店のサプライ営業を支援する通販を自ら実践することだ!
 コピー用紙といえばかっては複写機を販売する文具・事務機販売店の専売特許ともいうべき商品だった。コピー用紙はコピー機のサプライなのだから、コピーを納入した販売店がコピー用紙を供給するのはある意味で当たり前のことなのだが、近年はどこでどうなったのか、コピー用紙は「通販商品」と化している。かって複写機販売店のPPC顧客へのペーパー供給率は75〜80%の水準にあったが、こうした通販業者の台頭により年々低下の一途を辿り、現在では平均で50%を切るまでに下がっている。

 <機械は事務機販売店から買って、ペーパーは通販から購入する>。このような図式が今や一般的となっており、コピー用紙はこのように複写機販売店の手からますます離れる傾向にある。が、果たしてこんな状態でいいのだろうか?これまでも、またこれから先もコピー用紙が通販に取られっ放しのままでいいのだろうか?

 勿論、このままでいいはずなどあるまい。コピー用紙の見直し戦略はまさしく急務であり、業界全体の課題だ。とりわけ、最大の鍵を握っているのが複写機メーカーの対応であり、通販対策をどう具体化するか、その1点に業界の命運が懸かっているといっても決して過言ではないだろう。

A4・1ケースで1,000円を切る通販価格も登場!

 コピー用紙の通販価格は現在、安いところで1,100円台(1ケース/A4)、高いところで1,300円台(同)というのが相場だが、ここにきて期間限定ながらも990円(同)という破格値のコピー用紙も出現している。また、翌日配送・送料無料はもとより、申し込み単位も1ケースからOKというのが最近の通販の主流となっており、価格・サービスとも訪販事務機店では太刀打ちできない内容となっているのが実状だ。

 もっとも、コピー用紙の場合は、国産紙と輸入紙とでは値段や品質も当然異なってくるし、国産紙の中でもあらゆるOA機器に対応可能なマルチペーパーやメーカー指定の純正紙などの高品質のペーパーもあれば、一方では価格を最優先したエコノミータイプのペーパーもあるように、単に価格だけで同じ土俵上で比較することはできないが、ユーザーにしてみればやはり安い紙は経費の削減にも大きくつながってくることから、なんといっても大きな魅力だ。勿論、明らかな粗悪品であれば論外だが…。

 こうしたことから、小口のユーザーに限らず、最近は中量CVユーザー層でも安い価格のコピー用紙を通販から購入するケースが増えており、複写機販売店の手から次第に離れる傾向にある。

 もっとも、業界ではこのような見解もある。コピー用紙は“薄利多売”の典型的な商品である。事実、利益率が低い上、配達の手間やコストもかかるし、大量の在庫も抱えなければならない。従って、コピー用紙の注文が減ったからといって、そのことが即経営面に直接影響するものではなく、逆に、「かえって面倒な手間が減っていい」という、このような冷ややかな意見だ。

 しかし、コピー用紙は単にコピーサプライとして安定した売上が確保できる商品だけではない。顧客とのコミュニケーションづくりの推進はもとより、さらに顧客の囲い込みを推進していく上においても極めて重要な意味を持っていることから、単に儲かる云々の次元で論じるのはあまりにも短絡的と言わざるを得ない。そのような類の商品では断じてないはずだからである。

 事実、複写機本体だけの取引でつながっている顧客のロスト率は、そうでないペーパー取引のある顧客のロスト率よりも遥かに高いというデータはが示すように、コピー用紙を他社に取られることはマシン本体のロストをも引き起しかねない。そうした危険性をはらんでいることから、たかがペーパー、されどペーパーなのである。

利益はなくても戦略的に重要な意味を持つペーパービジネス

 特に、最近のコピー用紙はプリンターなど他のOA機器にも対応可能な「マルチペーパー」が主流となっていることから、ひとたび他社にペーパー口座の開拓を許したらば、それこそオフィスで使用するペーパーの大半を押さえ込まれてしまいかねない。そうした危険性をはらんでいるだけに、ことさらロストペーパーの及ぼす影響は極めて大きいといえる。ある意味でそれは死活問題といっても決して過言ではないのだ。

 オフィス系のほとんどの通販業者が、およそどう考えても儲からないと思えるような値段とサービスを付けてまでコピー用紙を「目玉商品」として取り上げているのも、一つにはそうした口座開拓の手段としてもっとも手っ取り早く、且つ有効な商材と評価しているからに他ならない。加えて、コピー用紙の場合はビジネスとしての継続性が期待できる。つまり、1回ポッキリの取引商品ではないことから、新規顧客を開拓する上での“切り口”商品としても極めて重要な役割を担っている。要は、ペーパービジネスはそれだけ魅力があるということである。

 このように、、例え利益は取れなくてもコピー用紙は通販業者にとって戦略的に重要な意味を持っていることから、今後とも「安さ」と「翌日配達」を最大のセールスポイントに通販の目玉商品の一翼を担っていくであろうことは確実であり、同時に価格競争・サービス競争が今後さらにエスカレートするであろうことは避けられない情勢となっている。

 従って、単に「儲からない」、あるいは「通販価格に対抗できない」という理由だけで複写機販売店がコピー用紙の販売から手を引き、ペーパーロストを許すことはまさに通販業者の思う壺。サプライヤーとしての資質と信頼を問われることになりかねないだけに、ここは文字通りの正念場といえる。

 では、現状をどのようにして乗り切っていったらいいのだろうか?果たして突破口はあるのか?

通販には通販で対抗。複写機メーカーが販売店支援型通販の展開を!

 結論から先に言えば、販売店が単独に通販に対抗できる価格とサービスを打ち出すことは、現状では極めて困難といえる。通販の価格と速さに対抗するには、結局のところ通販で対抗する以外に今のところ有効な方法が見つからないわけだが、ではそのカタログ通販、1販売店が自力で展開できるかといえば到底無理な話だからである。

 品揃えはもとより在庫、物流、受発注システム、請求管理業務など、あらゆる面での体制装備とシステムの構築が必要だし、さらにはカタログ制作なども手がけなければならない。何よりも膨大な資金力が必要となるのだから、並みの販売店がそう簡単にできるものではない。当然、大塚商会のような超大手クラスの販売会社に限定されるところであり、事実同社ではオフィスサプライ通販カタログ「たのメール」を会員向けに展開している。

 では、一般の事務機ディーラーの場合は打つべき通販対策は全くないのだろうか?このまま通販業者にコピー用紙を取られっ放しでいいのだろうか?となれば勿論そんなことはない。まず、何よりも望まれるのは、複写機メーカーがこの問題をグループ全体の問題として認識し、通販対策・コピー用紙対策に正面から取り組むことであり、その問題解決と支援にあたることだ。

 もとより、通販業者がコピー用紙の販売に着手し、これを重点戦略商品として拡販展開するまでになったのは、そもそも複写機メーカーが打ち出すペーパー戦略そのものに甘さがあったからであり、いわば付け入る隙を与えたという側面は全く否定できない。つまり、そうした通販の台頭を許したという点からいっても、今こそ複写機メーカーは抜本的なペーパー対策に取り組むべきなのであって、またそれ位の責任と義務を感じてもいいはずなのである。

 しかも、ユーザーにコピー用紙の購入を通販に切り替えられ、取引先販売店のペーパー購入路を絶たれることは複写機メーカーにとっても同様大きな痛手であり、この点において販売店と利害関係は一致している。だから、いまこそメーカーと販売店が一体となって通販対策に取り組む必要があるわけだ。具体的には、販売店の<顧客の囲い込みサポートと、ペーパービジネスの支援>を目的に、複写機メーカーが自ら通販事業に参入しこれを体系化すること。これが現状考えられる最強の通販対策といえる。

通販の仕組みを、営業のサポート支援システムの中に組み入れる!

 もっとも、メーカーに言わせれば「なにを今更通販なんだ!」ということになるかも知れない。なるほど、手間暇のかかるカタログ通販ビジネスを、日本を代表するようなハードメーカーが何故やらなければならないのか!という意見は確かにもっともである。しかし、角度を変えて、このカタログ通販ビジネスを販売店の営業をサポートする支援システムとして捉えてみたならばどうだろうか?
 さらに言うならば、通販というよりも<通販システム>の仕組み、ノウハウを<営業のサポート支援システム>の中に組み入れる。このように、スタンスをもう少し大きく広げて考えてみるならばどうだろう?ということである。

 特に、物流に関しては、通販事業をやることによって抜本的に改善されることは間違いないだけに、長期的に考えてみても決して無駄にはならないはずである。

 また、通販といえばイコール、アスクルやカウネットなどを即連想するが、実際のところそこまでのスケールの通販事業のことを指しているわけではない。あくまでも自社のOA機器のサプライ対策の一環として、また、取引先販売店のサプライ営業支援活動の一環としてやればいいことであって、そう大上段に構えて事を論じるほどの問題ではないのだ。

 従って、取扱い商品についていえば、自社のOAサプライに当面的を絞り込んでやればそれで十分。メインのコピー用紙についても、自社の純正紙や再生紙に、市場価格に対応できる安価なエコノミーペーパーを1点加えれば通販対策はほぼ万全といえる。また、プリンターのトナーカートリッジのように、アウトサイダールートで廉価販売されているようなOAサプライ。こういった商品は通販を通じて再度純正品に呼び戻す効果も期待できるだけに、メーカーにとっても大いにメリットがあるはずである。

 

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