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TOP・ザ・ゲンダイ デジタル複写機商戦新局面〜ファイナルラウンドに突入!





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★デジタル複写機商戦新局面〜ファイナルラウンドに突入!★


分速20枚クラスの新世代MFP普及型モデルの登場で本格化

オフィスのドキュメント管理の領域をめぐる主導権争いは、まさしく“ファイナル決戦”と呼ぶにふさわしい!


ドキュメントソリューションの提案力が勝負の決め手になる

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 デジタル複写機をめぐるMIF争奪戦の様相がここにきて一変してきた。かってのコピー市場をめぐるCV争奪戦を第1ラウンドとするならば、コピー・FAX複合機によるCV+FV市場争奪戦は第2ラウンド。、そして、ついこれまでは、このCV+FVにPVを加えたDV、即ち、プリンター機能を搭載したマルチファンクションプリンタ「MFP」市場をめぐるDV争奪戦が展開されてきた。これが第3ラウンドである。そして今、デジタル複写機のMIF争奪戦は新しい局面へと次第に様相を変えつつある。
 それは、まさしくファイナル決戦と呼ぶにふさわしい<DV+オフィスのドキュメント管理の領域をめぐる主導権争奪戦>といえるものだ。
ここでの主導権は“顧客の囲い込み”ならぬ文字通り“顧客の抱え込み”を意味するものだけに、複写機販売店にとってはまさに正念場。社運を賭けた壮絶なバトルが今後繰り拡がれることになりそうだ。
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 アナログ複写機からデジタル複写機、デジタル複写機からFAX複合機、そしてFAX複合機からMFPへと進化してきた複写機が、今度はオフィスのドキュメント管理の領域にまで踏み込んできた。文書の保存・管理から再活用までををまとめて複写機でやってしまおうというのだから、これはもう従来のMFPの域を遥かに超えた複写機といえる。リコーでは、「ネットワークMFPを超えたドキュメントゲートウェイ」という表現でこの新しいMFPを位置づけているように、従来のMFPとは明確に一線を画している。もっと単純に言うならば、「HDD搭載MFP」、もしくは「ニューMFP」、あるいは「MFPドキュメントシステム」うということになるわけだが、そうしたネーミングはさておき、この「ニューMFP」がこれからのデジタル複写機の主流を成す商品であることは間違いないところである。しかもそれが分速20枚クラスの普及型モデルがリコー、キヤノンから相次いで発売されたとなれば、いよいよもって本格的な<ニューMFP時代>の到来といえる。
 まずはそうした時代の変化をしかと読みとることである。


「imagio Neoシリーズ」で先べんをつけたリコー。
ドキュメントボックス搭載で何がどう変わったか?

 この<ニューMFP>の分野で先行したのはリコーである。新開発のドキュメントボックスを搭載し、しかも文書配信/文書管理システム「Ridoc Document System」とシームレスな連携を実現した「imagio Neo 350/450シリーズ」を今年の2月に市場投入、業界の先陣を切ってニューMFPの販売に乗り出している。

 ドキュメントボックスとは、「imagio Neoシリーズ」に内蔵されているHDDのことである。imagioにこのドキュメントボックスを搭載したことによって、1.imagioで読み取ったコピーやファクスの原稿およびパソコンからの出力データを、このドキュメントボックスに蓄積し、必要に応じて再出力や再送信することが可能となり、作業効率を大幅に向上することができること。2. ネットワーク上のパソコンから「ドキュメントボックス」にアクセスして電子化したデータをサムネール表示。マウスによるドラッグ&ドロップで自分のパソコンに取り込めるため、簡単操作のネットワークスキャナーとして、ペーパーレスを実現することができる。さらに、これらの特長に加えて、3.文書配信/文書管理システム「Ridoc Document System」とシームレスな連携を実現しているため、ドキュメントボックス内のデータや、ネットワーク上の文書配信/文書管理システム「Ridoc Document System」内のデータを1つのビュー上で確認することができる。また、4.ドラッグ&ドロップによる簡単な操作でデータのやり取りが行えるため、シームレスな操作で文書の一元管理が可能となる。

 このように、ドキュメントボックス搭載の「imagio Neoシリーズ」は、従来のMFPのイメージを文字通り一新した商品といえるわけだ。そして、最も注目すべき点は、この「imagio Neo 350/450シリーズ」の登場による大きな変化は、それまでのMFPの売り方、提案スタイルをも大きく変えたことである。

ドキュメントソリューションの提案が主流に
MFP率(PC装着率)も一気に48.7%にUP!

 これまでのMFPの提案スタイルといえば、1台3役によるマルチ省スペース提案、もしくはマルチ省コスト提案というアプローチが一般的だった。が、「imagio Neo 350/450シリーズ」ではそれが、1.ドキュメントゲートウェイとしてのMFPをアプリケーション(業種業務・文書管理・グループウェア)と連鎖させて提案する、2.運用管理・セキュリティニーズに対応したプリンタ・ユーティリティを提案するという具合に、ユーザーのワークフロー改善をトータルで提案するというように大きく変化したことである。

 リコー販売事業本部ソリューション企画センターの発表によると、「imagio Neo 350/450シリーズ」のMFP率は2〜4月集計時で48.7%と50%に迫る勢いだという。つまり、2台に1台の割合でPCに装着されているわけだが、業界平均のPC装着率が現在20〜30%といったところだから、この水準は極めて高いといえる。もっとも、リコーの場合はMFP分野で先行してきたことから、PC装着率は他社に比べてもともとが高いが、それでも、「前身機と比べてもポイントで約7%のUP」というから、「imagio Neo 350/450シリーズ」の登場はPC装着率を一気に加速させたということがいえるだろう。

 また、それ以上に注目されるのは、「MFPのうち、約70%がドキュメントソリューション提案で決定している」という点である。つまりこのことは、文書管理ソフトをからめてドキュメントソリューションを提案する、そういう売り方が今後複写機の主流になることを意味しているわけである。リコーの松本販売事業本部長も、「ドキュメントソリューション販売体質への変革が確実に進み始めている」と、現状をこう分析し、ドキュメントソリューション提案への転換を呼びかけている。

 このように、複写機の売り方や提案スタイルは今や大きく変わろうとしている。この流れの変化を見極め、ドキュメントソリューションを提案するセールスをいかに育成し、戦力の質的強化を推進していくかは、中小事務機販売店にとって当面の最大の課題といえるだろう。というのも、こうしたドキュメントソリューション提案で実績を上げているのは販社の直販セールスや大塚商会のような大手販売店が現状では中心であり、一般の販売店の間ではまだまだ浸透・定着していないからである。つまり、これからでも遅くはない。巻き返しのチャンスは十分あるということだ。

キヤノンの参戦と、分速20枚機の登場。
本格的な<ニューMFP時代>の到来!

 キヤノンが、分速20枚クラスの機種も含めたHDD搭載の「MEDIO iR3300シリーズ」(計12モデル)を発表したのは今年の5月末のことである。リコーはそれから数日後の6月5日に、分速20枚クラスの普及型モデル「imagio Neo220/270シリーズ」を発表した。発売はキヤノンが6月11日、リコーが6月12日とほぼ同時期。これにより、月間CVにして2000枚クラス以下の普及市場をめぐっての本格的なニューMFP戦争の幕が切って落とされたわけである。
「MEDIO iR3300シリーズ」 「imagio Neo220/270シリーズ」

 「MEDIO iR3300シリーズ」は、リコーのドキュメントボックスに相当する大容量5GBイメージサーバー(HDD)を内蔵しており、
「メモリーコピー」や「コピー予約」などの便利なコピー機能を備えるとともに、本体スキャナーで読み込んだイメージ文書とパソコンで作成したアプリケーション文書を本体内に一時保存しファイル単位で編集・結合して一つの文書として出力する「ボックス機能」を装備している。さらに、スキャナー機能(オプション)を装着すれば、キヤノンの文書管理システム「CanoBureau Workgroup」との連携により、紙文書とアプリケーション文書の高度な情報共有や一元管理が可能となる。
 また、キヤノンでは「MEDIO iR3300シリーズ」を、“新世代の環境配慮型デジタル複合機”と形容しているように、従来の熱ローラ定着方式に替えて<オンデマンド定着方式>を新たに採用しているのをはじめ、<リユース・リサイクル設計>、<サンドイッチ成形技術>、<オゾンレス帯電技術>など、先進の環境配慮型技術を数多く搭載しているのも大きな特長だ。

 「MEDIO iR3300シリーズ」は、出力スピードが毎分33枚(iR3300)、28枚(iR2800),22枚(iR2200)の各機種に、PDFファイルなどの出力に最適なポストスクリプト3互換のPSモデル、「LIPS IV」のプリンター機能を標準搭載したLモデル、ファクシミリ機能が標準で装備されたFモデル、および標準モデルの4タイプにより構成されている。このうち、PSモデルは今秋以降発売が予定されているので、当面の戦略MFPマシンはLモデル3機種、即ち、「iR3300L/ iR2800L/ iR2200L」。そして、このうち分速20枚台の普及機が「 iR2800L(28枚)/ iR2200L(22枚)」である。

 一方、リコーの「imagio Neo220/270シリーズ」(22枚/27枚、全8機種)は、ドキュメントボックスの容量とコピースピードの違い、それと高度な環境対応を実現している点以外には上位機
imagio Neo350/450シリーズ」の基本機能をほぼ全面的に継承している。このうち、キヤノンの「 iR2800L/ iR2200L」にクラス相当するプリンター機能を標準搭載したMFPマシンが、imagio Neo220モデル75/同270モデル75」である。
 中でも、「 iR2200L」と「imagio Neo220モデル75」は共に分速22枚の同クラス普及型MFPなので、この両機種の今後の普及機市場をめぐるMIF争奪戦の動向が最大の焦点となる。

※これら両機種の機能比較については、<新世代MFP22枚機・機能差異点比較表>に比較一覧掲載している。

 
なお、3強の一角、富士ゼロックスは、昨年12月にコピー/プリンター/ファクス/スキャナー機能を標準装備した「DocuCentre 401/351/251」シリーズを発売している。この内、分速20枚台の普及機が「251」(25枚)である。
 リコーのドキュメントボックスのような機能は搭載していないが、
アプリケーションで作成した文書を、独自のフォーマットで圧縮してパソコン上で一元的に管理できる文書管理ソフトウエア「DocuWorks」との連携により、紙の文書と電子情報の双方向の循環を実現している。また、受信したファクスを、電子の状態でパソコンやサーバーの共有ディレクトリに転送。本体内のメモリーに保存された受信文書を、ネットワークを経由して「DocuWorks」などのTWAIN対応アプリケーションに取り込んだり、「親展ボックスエージェント」や「Document Director」を使ってサーバーの任意のディレクトリに自動転送するなど、紙文書と電子文書の融合を実現している。
状態画面
オフィスのドキュメント・ワークフローの領域権をめぐり、
“顧客の抱え込み”合戦が展開される!

 では、これらの新世代MFPの普及機登場が意味するもの、またそれによって販売業界はどのような変化と対応を迫られるのであろうか?以降ではこの点についてとくと考察してみよう。

 複写機は今や全販売台数の7〜8割までがデジタル機となっており、今後の商戦における最大のポイントはデジタル機をどれだけ販売するかではなく、デジタル機の中でも最も付加価値&戦略性の高いMFPの販売ウェートをどれだけ高めるか、ということが販売店経営における最大の課題となっている。

 ここで、販売店にとってMFP販売のメリットについて改めて整理してみよう。まず第1点目は、DV(CV+PV)の拡大が図れること。つまり、PVを自動的に取り込むことにより、ランニングビジネスのさらなる拡大が図れる点にあることだ。
 2点目は、ネットワーク共有プリンターとして導入することによるメリット、即ち、スタンドアロン機やFAX複合機に比べると、オフィスの複数台パソコンとつながっている分、他社からの攻略をより受けにくいという状況を築き上げることになるわけで、イコールそれは守備率の向上につながるという点である。
 そして、第3点目は、顧客とのパートナーとしての信頼関係の増幅につながること。つまり、ユーザーがネットワークプリンターとしてMFPを導入するということは、パソコンやネットワークの知識、導入後のサポート・サービスに対する安心感・信頼感をその販売店に対して抱いているという裏返しであり、それは“頼りになるパートナー”としての評価に他ならないからである。

 このように、MFPには他のFAX複合機などのデジタル機を販売する以上に大きなメリットがある。集約すればそれは、“顧客の囲い込み”ができるということである。そして、そのMFPの持つメリットをさらにスケールアップした商品、それが新世代MFP、即ち<ニューMFP>ということになる。

 そして、最も着目すべき点は、このニューMFPを文書管理ソフトとのセットで導入することによって、ユーザーのドキュメント・ワークフローの領域を制することができるということだ。従来のように、ネットワーク共有プリンターとしてMFPを導入した場合ならば、それは単にPCとつながっているという、いわゆる接続・配線のレベル。だから、他社が入り込む(OEA)余地は十分に残されていたといえる。しかし、それでもデジタル機のコピー/FAX複合機などに比べると遥かに守備率は高く、他社からのリプレイス攻略を受けるというケースは極めて少なかった。が、ニューMFPの場合はそれにプラスしてソフトが微妙にからみ、ユーザーのドキュメント管理という懐の中にまでどっぷりと入り込んでいることから、他社機でこれを切り替え促進するということはさらに難しくなっている。つまり、ひとたびニューMFPを導入さえすれば、もはや安全圏。その後は他社からの攻略を受けるという心配はほとんどしなくても済むことになり、守備率は限りなく100%に近づくことになる。

 例えて言うならば、MFPが顧客の“囲い込み”ができる商品だとすれば、ニューMFPは顧客を“抱え込む”ことができる商品。そういう風に表現することができるだろう。このニューMFP市場をめぐるMIF獲得合戦が、まさに<ファイナル決戦>と称される所以である。

中小オフィス市場をめぐるMFP化促進活発に!
狙い打ちされる!FAX複合機使用ユーザー。

 このように、あくまでもPC装着が大前提ではあるが、(他社機使用ユーザーを)攻める側の販売店にとってニューMFPは、この上ない強力な戦略商品となる。が、その逆に、(自社機使用ユーザーを)攻められる側の販売店にとってはこれ以上の脅威はない。

 特に、月間CVにして2,000〜3,000枚以下の中小オフィス市場で、共有プリンターとしてPCにつながり、その上オフィスに氾濫する紙文書と電子文書の一元管理によるドキュメント情報の共有化、さらに紙文書の電子化によるペーパーレスシステム、あるいはペーパーレスFAXシステムに至るまでを実現し、こうして文書管理の領域に深く入り込んでしまうならば、これはもう“オフィスを丸ごと抱き込む”ことになるわけで、そうなればもう他社が入り込む余地などほとんどなくなる!こう言っても決して過言ではないだろう。

 つまり、ひとたび取られたロストユーザーは、ほぼ半永久的なロストユーザーになってしまうということであり、取られたら次は取り返すという、従来のような複写機のリプレイス図式は今後全く当てはまらなくなることを意味しているだけに、MFPによる新たな天領地づくりが、中小オフィス市場をめぐり今後活発に展開されるのは必至である。そして、こうした状況はMFPを自力提案できる大手量販店にとって益々有利な流れとなっており、その逆に、中・少CV層を主戦場とし、ここにFAX複合機やデジタル機のベーシックモデルのMIFを数多く抱え、しかもMFPを自力販売できない中小事務機販売店にとってはますます厳しい局面となっている。

 特に、FAX複合機使用ユーザーは当面の狙い打ちターゲットとなる公算が大。それだけに、FAX複合機のMIF比率の高い販売店は早急に対策を講じる必要があろう。というのも、例えば、「imagio Neo220モデル75」を擁するリコー陣営では、ペーパーレスFAX機能を武器にFAX業務フローの改革を提案。中小オフィスに向けて今後強力な切り込みを図ってくるものと思われるだけに、FAX複合機使用のユーザーは自社・他社機を問わず、当面の格好のリプレイスターゲットとなるからである。

 このように、、FAX複合機やベーシックマシンからMFPへのアップグレード促進、さらには旧MFPから新MFPへのリプレイスというように、今後中小オフィス市場におけるMFP化セールスが一気に加速化されるのは必至であり、MFPを自力で売り切る力を装備していない販売店の状況は極めて厳しいものとなっている。
 
 では、こうした弱肉強食戦の様相を呈してきた複写機商戦にあって、中小事務機店はただ単に指をこまねいて黙って見ていなければならないのだろうか?勿論そんなことはない。やるべきことは実にハッキリしているからである。そして、それを今こそ忠実に実践することである。そうすれば自ずと道は開かれようというものだ。

3年以上経過機対象に<顧客囲い込み優先リスト>を作成し、
攻められる前に先手を打ってMFP化を集中展開する!

 まず、第1にやらなければならないことは、アナログ・デジタル機全体のMIFをチェックし、月間CVで1,000〜5,000枚のユーザーで導入後3年以上経過しているMIFを早急に洗い出すことだ。
 次に、ユーザー精査表から、1.FAXの送・受信枚数(A、B、C)、2.パソコンの使用台数(A、B、C)、3.プリント打ち出し枚数(A、B、C)、4.ネットワーク環境(A、B=検討中、C)、5.レーザープリンター使用の有無(A、B=検討中、C)、6.CVランク(A、B、C)、7.従業員規模・業種(A、B、C)などから総合ポイント査定し、MFPの導入見込み度の高い(=他社に狙われる危険度の高い)順に顧客をランク分けする。
 そして、こうした手順でプライオリティリストを作成し、このリストをもとにMFP導入セールス活動を全社挙げて集中的に展開する。即ち、他社が攻めてくる前に先手を打って顧客を囲い込むという作戦であり、これを速やかに実践することである。

 というのも、当面ニューMFPは、自社ユーザーの“抱え込み”作戦を推進する形で販売活動が展開されることになるだろう。自社のユーザーをまずはがっちりと固め、その後他社攻略に転ずるというのがリプレイスビジネスのいわば定石だ。勿論、各社の抱えている事情、政策方針によってもそれは大きく異なってくるが、大勢としては対自社ユーザーへのリプレイス促進を8〜9、新規を含む他社ユーザー攻略セールスの割合を1〜2。おそらくこうした比重配分でニューMFPの拡販に取り組んでいくという、そうした流れが予想されるからである。

 つまり、強力なライバル他社がOEAに本格的に動き出すのはまだまだ先のことであって、いますぐ自社のMIFが他社からの猛攻を一斉に受けて危険にさらされるということではないということだ。従って、体制建て直しの時間はまだ十分に残されているわけであり、まずはこの間を利してじっくりと対応策を講じることである。その大前提となるのが、<顧客囲い込み優先リスト>の作成である。
 
 もうひとつ、いますぐ取り組むべき課題は、MFPを自力販売できるセールス・サポート体制の確立である。今後の複写機販売の主体が中小オフィスでのネットワーク共有プリンター市場、および文書管理の領域をめぐる主導権争奪戦というレベルで展開されていくとなると、MFPの自力販売力を持たない中小事務機店にとってはますます状況は厳しいものとなってくる。今のままでは現状のMIFを維持することが精一杯であり、大手量販店とのMIF間格差は拡大する一方だ。そうした一方的な流れを阻止するためにも、ここは事務機専門店の奮起一番、大いなる巻き返しが望まれるところである。

 複写機の主力は今やMFPである。デジタル機の内2台に1台はMFPという時代がもはや目前に迫っているように、MFPを自力で売ることができないセールスはもはや複写機セールスとはいえない。そういう時代が今確実に到来しつつある。従って、当面はメーカーの専任セールスの支援を受けながら(前記の囲い込みリストを提示し支援を要請)MFP化を促進し、それと併行してMFPを自力販売できるセールスの育成に早急に取り組むことである。複写機を経営の母体とする事務機販売店にとって、ニューMFPを売りこなすことができる専任セールスの育成と新たな体制づくりは、21世紀を勝ち残っていくための必須条件。避けて通ることができない登竜門といえよう。

ニューMFPはPCソリューションの延長上の商品
若い人材や女子など、新戦力をどしどし登用せよ!

 ニューMFPの登場で、何がどう変わったかといえば、まず第1に従来の複写機販売のスタイルそのものが大きく変ったということだろう。これまでの複写機販売はといえば、持込みデモや貸し出しに象徴されるように、典型的な“売り込み型商品”であった。つまり、機能や価格の優位性をPRし、実際に機械を見てもらった上で売るというスタイルの営業である。従って、複写機の営業は俗に“泥臭い”とも言われたわけで、この点においてパソコンのセールスとはかなりの距離があった。
 が、MFPが登場したあたりから徐々にそうしたスタイルに変化がみられ、それがニューMFPの登場によってガラリと一変した。売り込み型営業からソリューション型営業へと大きく変化したことである。平たく言えば、“パソコンのソリューション営業のドキュメント版”といえるもので、複写機の延長線上で販売する商品というよりは、むしろパソコンのソリューション営業の延長線上で提案し、販売する商品と化したということである。
 着目すべきポイントはまさにこの点である!

 「複写機の営業はどうも泥臭いし野暮ったい」、「それに根気と粘り、しかもパワーが要るので…」ということで、ややもすれば若い人にはこれまで敬遠されてきたというのが実状である。つまり、<古い時代の営業>というのが一般的な印象である。そうした、これまでの複写機の持つ固いイメージを文字通り一掃した商品。それがニューMFPといえるわけであり、同時にそれは若い人や女性に営業の門戸を大きく開放するものである。

 企業のリストラや倒産、あるいは就職難で若い有能な人材はいま街中に溢れている。現在の複写機セールスにパソコンの知識や文書管理ソフトの知識を習得させるのは勿論だが、こうした若い豊富な人材を活用するのもひとつの手である。パソコンのスキルの高い人間ならば、複写機の一定の基本知識さえマスターすれば即戦力として十分通用するからである。
 <複写機についてはプロだが、パソコンはアマ>。その逆に、<複写機はアマだが、パソコンはプロ>。さて、どちらが早くニューMFPを数多く売りこなす戦力となりえるであろうか。そういうことも含めて、従来の殻に捕らわれない多面的な人材の活用が望まれるところである。少なくても、こと人材に関して言うならば、“選び放題、獲り放題”の今がチャンスだ。かってのように、「人材がいない」という言い訳はもはや通用しないのである。

 また、もうひとつ注目すべき点は、ニューMFPがPCソリューションの延長上の商品という認識に立つならば、今後パソコン系統の販売店がこのニューMFPの拡販に相次いで乗り出してくることも大いに予想されるわけであり、こうした異業種からの大量参入も当然視野に入れておく必要があろう。
 なんといっても、この種のビジネスは基本的に先手必勝が大きくものをいう。何ら具体的な対応策も打たずにのんびりと構えていると、それこそ大手販売店やそうした異業種量販店の格好の攻撃ターゲットとなり、長年にわたって着々と積み上げてきたデジタルMIF機は根こそぎ取られてしまうということにもなりかねない。そうした愚だけはなんとしても避けたいものである。

 中小事務機店にとってここは、20年に1度あるかどうかの重大な変革と転換期である。そうした認識のもと、いまこそ積極的な人材活用と戦力の育成・強化に真剣に取り組む必要がある。


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