2020年1~6月
 
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2020-6-25


慶應義塾大学とNEC、
デジタル人材育成に向けた教育プログラムを共同開発



 慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(横浜市港北区、研究科委員長:西村秀和 以下、慶應SDM)と、NECは、NECのデジタルビジネスの加速に向けたデジタル人材育成のための教育プログラムを共同開発した。これはデジタルトランスフォーメーション(DX)に必要な思考・行動様式に関するトレーニングとなっており、従来NECが行ってきた専門技術領域のトレーニングとセットでデジタル人材育成に活用されるもの。

 慶應SDMは、ものごとを俯瞰的かつ体系的に捉えるシステム思考と、ものごとを人間中心で考えて多様性を活かして新価値を創造するデザイン思考を融合したシステム×デザイン思考の研究・教育を実施するとともに、その実社会への実装を行っている。
 一方、NEC は、生体認証、AI、クラウド、セキュリティなどの最先端のデジタル技術を用いて、お客様のデジタルビジネスの加速に貢献している。

 同教育プログラムでは、こうした両者が保有する学術的知見や先端技術を掛け合わせ、発展させることにより、さまざまな変化を見据えた社会課題解決に取り組み、新たな価値を創造していく。

 1.背景

 めまぐるしく変わる社会や顧客のニーズに合わせて、新たな価値をスピーディーに生みだしていくためには、ビジネスのやり方や組織の振る舞いそのものの変革が求められている。DXの実現は、企業や組織が将来にわたって競争力を維持し続けるための必要条件であり、重要な経営課題の一つとなっている。また、このDX実現を担うデジタル人材についても、質量ともに極めて足りない状態であると言われており、企業はその獲得や育成が課題となっている。これらの課題について慶應SDMとNECは、そのデジタル人材に必要とされる思考・行動様式を身につけるため、社会課題を起点に、システム×デザイン思考を用いて事業開発・構想化を行う教育プログラム(Project Based Learning by STARS、注)を共同で開発した。

(注)
Project Based Learning by STARS:
Project Based Learning by Self Transformation And Reform based on System Design and Managementシステムデザイン・マネジメントの考え方をベースにした自己変革と組織改革活動。

NECのデジタル人材育成全体像
 


 2.これからの取り組み

 第1弾として両者は6月~8月までの延べ13日間にわたり、価値創造の方法論および技法の学習と、新事業のアイデア創出活動を組み合わせたプロジェクト型の教育を行う。NECでは既に2017年からデジタル人材の専門スキル強化に向けた専門技術領域のトレーニングを体系化・実施しており、今回開発した教育プログラムはそのスキルをベースに顧客視点での事業開発を実践し、デジタルな思考・行動様式を獲得するもの。今後はさらにコンサルタントスキルやコーチングなど、企業や組織のDX戦略を立案できるプロデューサーの育成にも取り組む予定。



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2020-6-24


世界初の100万画素SPADイメージセンサーを開発
~キヤノン~


100万画素SPADイメージセンサー(プロトタイプ)


 キヤノンは、SPAD(Single Photon Avalanche Diode)という信号増倍画素構造を持つセンサーにおいて、世界で初めて※1100万画素の撮像が可能なイメージセンサーを開発した。SPADイメージセンサーは、極めて短い時間内に起こる高速な現象など特殊な静止画・動画を撮影する2次元カメラとしての応用に加え、被写体までの距離情報を画像として取得する3次元カメラへの活用が期待される。

 SPADセンサーとは、光の粒子(以下:光子)1個が画素に入射すると、あたかも雪崩のような増倍によって1個の大きな電気パルス信号を出力する電子素子を画素ごとに並べた構造を持つセンサー。光子1個から多くの電子に増倍させることができるため、撮像時の高感度化や測距時の高精度化に寄与する。

 今回開発したSPADイメージセンサーは、構造上、多画素化が困難とされている中、新たな回路技術の採用によりフォトンカウンティングの原理を用いた100万画素のデジタル画像の出力を実現した。また、全ての画素に対して露光を一括制御できるグローバルシャッター機能を備えている。露光時間は3.8ナノ秒※2まで短縮できるため、ゆがみのない正確な形状で撮像できる。加えて、1bitの出力で最大24,000fpsの高速撮影ができ、極めて短い時間内に起こる高速な現象のスローモーション撮影が可能。
 これらにより、例えば、人間の目では正確に捉えることができない化学反応や雷などの自然現象や、物体の落下や衝突時の破損の様子などを、一部始終にわたって詳細に撮影できるため、現象の解明や安全性・堅牢性の解析など、幅広い分野での応用が見込まれる。

 さらに、100ピコ秒※2までの時間分解能を実現しており、光子が画素に到達した時刻を非常に高い精度で認識できる。この性能を生かし、Time of Flight方式による距離測定が可能。また、100万画素の高解像度かつ高速撮影ができることにより、複数の被写体が折り重なっている複雑なシーンでも精度よく3D測距ができ、自動運転での車間距離測定やxR※3関連デバイスなどにおける3次元空間情報の把握にも活用できる。

 キヤノンの開発により、SPADイメージセンサーにおいて奥行き情報を認識できる3次元カメラの解像度が100万画素に到達したことで、今後は高性能なロボットの眼として用途が急速に広がることが期待される。キヤノンは、時代のニーズを先導する革新的なイメージセンサーの開発を進め、可視化できる領域のさらなる拡大を目指し、高度な検出情報からもたらされる科学の進歩や産業の進化、および未知の分野の開拓に貢献していく考え。

※1SPADセンサーにおいて。2020年6月23日現在。キヤノン調べ。
※21ナノ秒=10億分の1秒。1ピコ秒=1兆分の1秒。
※3AR(拡張現実)・MR(複合現実)・VR(仮想現実)などの総称。xRealityの略で「x」は未知数を示している。



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2020-3-31

富士ゼロックスと奈良先端科学技術大学院大学が
医薬品と副作用の関係性判定で正解率90%を達成した
副作用文書分類支援システムを構築
判定根拠の抽出・可視化が容易な自然言語処理システムを開発


 富士ゼロックスと、奈良先端科学技術大学院大学(奈良県生駒市、学長:横矢 直和)は、自然言語処理技術注1により、医薬品と副作用との関係判定のために文書を分類する精度を高め、安全性管理業務の作業効率を向上した医薬品の副作用文書分類支援システムを構築した。
 製薬会社の副作用報告の対象となる日本語の医学論文に対して、このシステムを用いて行った実証実験では、文書分類精度において適合率注2 (正解率) 90%、再現率注3 (カバー率) 95%であることを実証した(下図参照)。3/16-3/19にオンライン開催された「言語処理学会第26回年次大会」で、同大研究推進機構荒牧英治特任准教授、若宮翔子特任助教らが副作用文書分類支援システムを発表した。


注1人間の言語(自然言語)をコンピューターに理解させて処理するための技術。
 

 副作用文書分類支援システムは、医療機関からの報告や医学論文など医薬品の安全性情報に関する文書を、自然言語処理技術を用いて解析し、医薬品の服用と副作用の関係性の有無とその判定根拠を抽出・可視化する。具体的には、病気や症状に関する辞書や医薬品辞書を活用し、安全性情報に関する文書から、文中の頭痛や腹痛、手足のしびれといった病名と医薬品名とその関係を抽出し、服用に伴う副作用の有無を判定する。
 そして判定の根拠と考えられる文章を抽出、可視化し、さらに、過去の副作用判定で明らかになっている医薬品と副作用の関係を学習に用いることで、分類・判定精度を向上していくシステム。

 製薬会社は自社の医薬品が投与された結果生じる副作用などについて監視し、死亡などの重篤度に応じて、報告対象となる安全性情報の優先付けを行い、迅速に厚生労働省などの当局に届け出る義務がある。
 そのため、製薬会社の安全性管理部門は医療機関からの自発報告や医学論文などの安全性情報を収集し、症状、副作用等の情報を抽出し、医薬品の服用と副作用との関係を判定し、判定結果や裏付けとなるデータは法令に基づいた所定の形式で厚生労働省などに提出する。

 製薬会社は通常、限られた時間の中で人手により大量の安全性情報を処理しており、判定精度の向上と作業の効率化が喫緊の課題となっている。
 今後、富士ゼロックスと奈良先端科学技術大学院大学は、副作用に関するより多くの情報抽出や判定精度の向上などにより、製薬会社や医療関係者の安全性業務の効率化や安全性情報の有効活用に寄与する実用的なシステムを開発することで新たな価値を創造し、製薬、医療業界に貢献していくことを目指す。





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2020-3-16


時系列データの異常検知を行うAIモデルの自動作成技術を共同開発
TDAを用いてAIモデルの作業工数を従来の100分の1に削減、現場適用を加速

富士通、富士通研究所、及びフランスの国立研究機関Inria

 富士通(注1)、富士通研究所(注2)、及びフランスの国立研究機関Inria(注3)は、このほど、IoT機器などで取得される時系列データの異常検知を行うAIモデルを自動で作成する技術を開発した。

 近年、AI技術の発展により、様々なビジネス領域でAIの導入が進んでいる。AIモデルの作成現場では、AI専門エンジニアの人手により作成されることが一般的だが、試行錯誤を繰り返しながら作り上げるため、多大な工数による現場への導入遅延が懸念されており、作業の自動化が求められている。

 今回、Topological Data Analysis(注4)(以下、TDA)技術を用いた富士通研究所独自の時系列データ解析技術(注5)を活用することで、数多くの種類の情報が複雑に絡み合う時系列データの中から異常検知に必要な情報を自動で抽出し、異常検知を行うAIモデルを自動作成する技術を新たに開発した。本技術の活用により、専門のエンジニアだけでなく一般のエンジニアでも容易にAIによる時系列データの異常検知モデルや分類モデルの作成が可能となるとともに、作業工数も従来の100分の1に削減できるため、様々なビジネス領域におけるAI適用の加速化が期待される。

 開発した技術は、Inriaが開発したTDAのOpen Source Software (以下、OSS)であるGUDHIに実装し、3月16日より無償で公開する。これにより、企業や研究機関などにおけるAI活用を促進するとともに、そのフィードバックを技術改良に継続して反映していくことで、様々なケースで使えるAIモデルの作成を実現する。

 なお、本技術は、6月3日(水曜日)から5日(金曜日)までイタリアのパレルモで開催される機械学習の国際会議「AISTATS 2020 (The 23rd International Conference on Artificial Intelligence and Statistics)」にて発表する予定。


新技術の導入前と導入後の作業イメージ  


 開発した技術の特長は以下のとおり。
  1. 時系列データの特徴を抽出するアルゴリズムを共同開発

    富士通研究所が独自に開発した時系列データ解析技術を用いて、時系列データの異常検知に重要な特徴を抽出するアルゴリズムを富士通研究所とInriaが共同で開発した。時系列データの中には、短区間に出る特徴と長区間を通して出る特徴があり、それらを適切に取り出す必要がある。また、区分したそれぞれのデータにも振幅や周波数といった特徴があり、統計的な解析手法や周波数解析手法では取り出すことのできない特徴も多くある。

    本アルゴリズムでは、富士通研究所独自のAI技術である時系列データを高精度に分析するDeep Learning技術のもととなっているTDA技術により、区間の長さとその区間における波形状の挙動の特徴を軸とした平面に点としてマッピングすることができる。これにより、区間の長さや挙動の特徴などを俯瞰的に捉えることが可能になる。

  2. 特徴平面から異常検知に必要な情報を抽出

    (あらかじめ用意しておいた)時系列の学習データのそれぞれに対し、富士通研究所が独自に開発した時系列データ解析技術を用いて各時系列データの特徴をグラフの平面にマッピングする。それらのマッピングされた平面群を俯瞰し、正常データに共通して点が発生する領域や発生しない領域、共通の情報を持たない領域に平面を分割する。その際、各領域内の特徴点の数が同じになるように領域の数や分割の仕方を最適化し、その共通度合いの強さを共通度として計算し、共通度の強い順に領域を抽出する。

    次に未知の時系列データに対して、正常か否か判断するために、入力された未知の時系列データに対し、TDA技術を用いて抽出した特徴点をグラフの平面にマッピングし、マッピングした点が上記で分けられたそれぞれの領域に入る数を数える。各点が入った領域の共通度を足し合わせた結果が、異常度合いを判定する閾値超えた場合に異常と判断する。

 本技術は、Inriaが開発したTDAのOSSであるGUDHIに実装させ、3月16日より無償で公開する。これにより富士通とInriaだけでなく、企業や研究機関などに向けて時系列データへのAI活用を促進し、そこで得られたフィードバックを基にGUDHIのOSSコミュニティと連携しながら技術改良を継続していく。
 また、富士通研究所は、今後、本技術を富士通のAI技術「FUJITSU Human Centric AI Zinrai(ジンライ)」に活用していく考え。


注1 富士通株式会社: 本社 東京都港区、代表取締役社長 時田 隆仁。
注2 株式会社富士通研究所: 本社 神奈川県川崎市、代表取締役社長 原裕貴。
注3 Inria: 本社 ロカンクール ドメーヌ ド ヴォルソー、CEO: ブルーノ スポルティス
注4 Topological Data Analysis: データをある空間内に配置された点の集合とみなし、その集合の幾何的な情報を抽出するデータ分析手法のこと。
注5 富士通研究所独自の時系列データ解析技術: TDAを用いて、時系列データを高精度に分析する富士通研究所独自のDeep Learning技術。
「時系列データを高精度に分析する新たなDeep Learning技術を開発」(2016年2月16日プレスリリース)




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2020-3-10


世界初の民生用全天球カメラを開発したメンバーを中心に発足した「ベクノス」
超スリムなペン型全天球カメラの開発を発表


< 開発中の超スリムなペン型全天球カメラ>


 リコーが2013年に世界初の民生用全天球カメラとして発売した「RICOH THETA」の開発コアメンバーが中心となって発足したスタートアップカンパニー・ベクノスは、リコーの新規事業開発の一環として積極的なオープンイノベーション、外部の知見などを活用することを主眼として2019年8月に設立された。

 リコーの関連会社でありながら、リコーのコア事業とは異なる「イノベーション特区」と位置づけ完全に独立したスタートアップとして活動している。ベクノスは企業のミッションとして、「映像体験の革命により、人々に新しい感動を提供する」ことを掲げており、ユニークな光学技術とAIを活用した画像処理技術を統合し、今まで経験したことのないユーザーエクスペリエンスの提供を目指している。その実現のために、全天球カメラならびに特殊カメラの製造・販売と、コンシューマー向けソフトウェアならびにWebサービスの作成・販売を行なっているが、第一弾製品として全く新しい技術を駆使した超スリムなペン型デザインの全天球カメラを開発した。
 具体的には、優れた携帯性、デザイン性を実現するために、側面に3つ、天面に1つの計4つのレンズからなる独自の光学系を搭載している。さらに、現在開発中のアプリを組み合わせることにより、全天球カメラの楽しみ方をさらに広げていくという。

 開発中のカメラおよびアプリは、今年発売・サービス開始予定。これらを組み合わせて活用することにより、全天球カメラの本格的なコンシューマー市場拡大を目指す。

ベクノス会社概要 

名称 ベクノス株式会社 (Vecnos Inc.)
設立 2019年8月
本社 神奈川県横浜市西区みなとみらい3-7-1 WeWork
開発センター 神奈川県横浜市港北区新横浜3-2-3 4F (株式会社リコー新横浜事業所内)
資本金 1億円
事業内容 360度カメラならびに特殊カメラの製造・販売
コンシューマー向けソフトウェアならびにWebサービスの作成・販売
代表取締役CEO 生方秀直




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2020-1-27


業界初 富士ゼロックスが接着機能を持つトナーを開発

独自のEA製法によりトナーの活用用途を拡大



 富士ゼロックスは、圧着はがき等への活用が可能な、業界初注1の接着機能を持つ特殊トナーを開発した。

 このトナーは、従来のトナーと同時に複合機・プリンターに搭載することができ、プリント物の任意箇所に圧力をかけることで、意図した接着力を発揮する全く新しい発想にもとづくトナー。活用用途は、圧着はがきに限らず、ホッチキス機能の代替や製本等への展開が期待される。同社は、1月29日~31日に開催されるコンバーティングテクノロジー総合展2020の新機能性材料展注2(主催 株式会社 加工技術研究会)に参考出展し、同トナーに関するお客様の声を取り入れ、活用用途の拡大を目指す。

 同社独自のトナー製法技術であるEA製法注3により、トナー内部に新開発の圧力応答性樹脂注4を微細に均一分散させることで、ムラのない接着機能を発揮することを可能にしている。EA製法は、化学反応を精密に制御することで、トナーの形状を均一にすることができる。同トナーは無色透明で、出力した用紙の印字領域に、市販の圧力シーラー装置などで圧力を加えると、圧力応答性樹脂が反応してトナーが糊のような機能を発揮し、用紙同士を接着することができる。用紙同士の接着力は、トナーの量や印字面積、圧力シーラー装置の条件により、制御することが可能。

 同トナーを用いることで、印字領域と接着領域を同時にプリントできるため、従来出力後に別工程で行っていた糊付け工程の削減が可能。また、同トナーのプリント位置を変えることで、接着箇所を自在に設定できるため、様々な用途への展開が可能。例えば、用紙の端部に本トナーをプリントし、複数の用紙を接着して冊子にすることや、糊しろをプリントして折りたためば封筒等を作成できる。同社は、同トナーの活用用途を、既存の複合機やプリンターによる印刷市場にとどまらず検証して
いくことで、新規市場開拓に繋がる研究開発を加速していく考え。

本特殊トナー活用例
 
 

注1
富士ゼロックス
社調べ(2020年1月27日時点)

注2新機能性材料展は、1月29日~31日に東京ビッグサイトで開催
注3Emulsion Aggregation製法(乳化重合法)
注4圧力応答性樹脂とは、圧力を加えるとトナーを軟化させる特徴を持つ樹脂





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2020-1-7

世界初 HDR対応の眼鏡型VRグラスを開発

高画質・高音質と快適な装着感を両立
 
パナソニック
~「CES2020」に参考出展

 パナソニックは、4Kを超える高解像度で、世界で初めて※1HDR(ハイダイナミックレンジ)に対応した眼鏡型VR(仮想現実)グラスを開発した。

 第5世代移動通信方式(5G)商用サービスの本格化を控え、VRグラスを用いたスポーツ観戦や旅行の疑似体験など新たなサービス展開が期待されている。高画質・高音質なVRグラスは、没入感の高い疑似体験が可能になる一方、本体が大型化し、ヘッドバンドで頭部に固定する必要があるなど、装着感に課題がある。

 今回、同社は、世界トップクラスのVRグラス向けデバイスメーカーであるKopin社※2と高性能な表示デバイスを共同開発。さらに、テレビやブルーレイディスクプレーヤーなど映像機器の開発で培ってきた信号処理技術とテクニクスの音響技術、デジタルカメラLUMIXの光学技術を融合させることにより、映像に引きこまれるような臨場感あふれる仮想現実を良好な装着感で快適に体験できる、高画質・高音質かつ小型・軽量・眼鏡型のVRグラスを実現した。

 【開発品の主な特長】

 (1)4K超/HDR対応の高画質
  • Kopin社とパナソニックが共同開発したマイクロ有機ELパネルを搭載
  • 画素境界が網目のように見える「スクリーンドア効果」の発生を抑え、自然で滑らかな映像を実現

 (2)超低音から高音まで広帯域再生に対応する高音質
  • 磁性流体を用いたテクニクス独自のダイナミック型ドライバーを採用することで振動板の正確なストロークを可能とし、超低歪再生を実現

 (3)小型・軽量でヘッドバンドのいらない快適な装着感
  • Kopin社・3M社※3・パナソニックで新たに共同開発した光学モジュールを採用することで、歪みを抑えた自然な映像を超単焦点で表示。小型・軽量で眼鏡のような形状を実現

 今後、5G商用サービスの本格化に向け、さまざまな用途に応用できるよう開発を進め、新たな顧客価値の創出に取り組んでいく方針。

 なお、2020年1月7日から10日まで、米ネバダ州ラスベガスにて開催される「CES2020」のパナソニックブースにて、本VRグラスを参考出展する。

※1 HDRに対応した眼鏡型VRグラスとして。2020年1月7日発表時点。パナソニック調べ。
※2 Kopin Corporation。米国マサチューセッツ州に本社を置き、ウェアラブルヘッドセット製品向けにキーデバイスを開発、販売。
※3 3M Company。米国ミネソタ州に本社を置くグローバル企業。化学・電気素材を家庭用品から自動車まで様々な業界に展開。
    




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